tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人材育成と人事異動

2015年07月13日 09時58分55秒 | 経営
人材育成と人事異動
 東芝の不適切会計の問題で、カンパニー制に問題があるのではないかと意見が出ています。
 御存じのように、カンパニー制というのは企業内の仕事別の組織を、あたかも1つ1つの会社のように区分して「カンパニー」とし、それぞれのカンパニーが、それぞれに頑張って収益を高めようというものです。

 確かに儲からない部署が、儲かる部署に依存して、全体で収益が上がっていればいいといった安易な意識はなくなるでしょう。しかし一方で、縦割りが強化され、カンパニーの独立性が強まり、カンパニー間のコミュニケーションが悪くなり、全社的な協力体制が失われるなどの欠点も指摘されています。

 組織の在り方などは、どんな形を取っても、長所と欠点があるのは当然で、それを巧く調整し、部分と全体が整合的に全体目標に向かって一体化するようなリーダーシップ発揮するのがトップ経営者(経営陣)の役割でしょう。

 しかし、今期とか来季の利益向上といった短期的な目標に縛られると、往々誤りを犯すことにもなります。日本の経営は、本来「長期的視点に立った経営」、「人間重視の経営」の2本柱が根幹といわれますが、このところ欧米方式の短期的利益が重視され過ぎるケースがあることは残念です。

 いつも書いていますが、企業はゴーイングコンサーンとして長期に安定して発展していくことを求められています。そしてそのために最も必要とされるのが人材の育成です。
 技能のレベルも、技術開発も、組織や経理・財務の管理も、人事管理や労使関係も、そして、それらをトータルに統括する経営者も、全てそこで仕事をする「人間」の心構えやあり方が成否を決めるのです。

 「企業は人なり」と言い、日本企業は長期雇用を前提に人材育成を企業発展の根幹と考えてきました。そして、その中で編み出されて来た重要な政策に1つが、日本的な人事異動のシステムではなかったでしょうか。
 
 総務や経理がうるさ過ぎると文句を言っていた人間が総務や経理に異動になったり、労組の執行委員が人事課長になったり、日本企業は結構融通無碍でした。そして、こうした経験が全体のバランスを理解するうえで大きな役割を果していたのでしょう。

 当面の利益も大事でしょう、しかし、企業というのは、現場からトップまで、人間が動かしているのだという企業活動の原点を考えれば、企業の将来の成長発展のために、どのような人材を育成するかが企業の最も重要な仕事なのだという観点を見誤らないようにしたいものです。


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