tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済の動向と株価の2筋道

2024年01月29日 15時17分42秒 | 経済

昨年来日本の株価は大きく上昇して来ました。政府は、国民の資産形成は「貯蓄から投資へ」という事で2000兆円を越える貯蓄を、NISAなどで誘導して株投資に向け、日経平均を上げ、株価の上昇で資産形成を加速しようという考えのようです。

とはいえ、国民の個人貯蓄の半分は政府が国債発行で借りて使ってしまっていますから、その部分は使えないという事でしょう。

それにしても貯蓄額は膨大ですから、年初から株価が上がったのもNISA枠拡大のせいだなどという見方もあるようです。

以前から、貯蓄から投資へと言って、株投資を奨励して、人びとがその気になるのは株が高い時で、結果はピークの時に買って、下がって損する事が多いなどと言われます。

最近も、株価急上昇で、家内が株で1億円貯めたとか、日経平均はバブル時のピーク38000円を越えて40000円に行くという声もあるようですが、これからはどうでしょう。

株価の動向には大きく2筋の道があるようです。1つは実態経済が好調で、経済成長率も高く、企業収益も増益が期待される時で、これは、健全な株価上昇でそう。

もう一つは、マネー経済の事情で、実体経済とはあまり関係なく、主要国の金融政策や国際投機資本の動きなどで株価が変動する場合で、この場合はバブルやその崩壊も起きます。

勿論この2つの要因は、絡み合っていますから、判断は容易ではないでしょう。しかしそれぞれの要因について気づいていれば、それなりの役に立つのではないかとも思います。

という事で、問題は今の日本の急激な株価上昇について見てみますと、ネットでは家内が株で1億円貯めたとか、日経平均はバブル期の38000円を越えて40000円はいくといった話が飛び交う所は、すでにバブルの雰囲気もあるようです。

この所の株価上昇の大きな要因は、円安で、主要輸出企業の利益の急増、インバウンドの急増など、アメリカの金融政策(金利上昇)によるものもあります。これは現実に利益やインバウンドで売り上げ急増とかいう企業業績好転の結果です。

とはいえ、その原因はアメリカの金利引上げによる円安効果が大きいので、国際投機筋も、FRBの動き、日銀の動き、つまり日米金利差の動向につては極めて敏感、この所の株価の上下動はその反映ですから、実体経済の動きの反映とは言えないでしょう。

今年1年間ぐらいを見れば、日米金利差は縮小するでしょうから、円高になり、株価には下押し材料と見るのが当然でしょう。マネー経済面からは株価は下降予想です。

では上昇要因はと言いますと、今春闘の様相からすれば、賃上げ率は多少高まり、物価は低下傾向ですから、実質賃金はマイナスからプラスに転じ、家計には少し明るさが見え、それが消費需要拡大につながって経済成長が上向き(政府経済見通しは令和6年度の実質経済成長率は前年度の1.6%から1.3%に低下するとのことですが)、日本経済新時代へ一歩踏み出すといった実質経済の回復期待でしょう。

マネー要因は短期的視点のもの、実体経済要因は長期的視点です。さらに、アメリカは自国の都合で今後金利を下げ、日銀は「バブル→崩壊」は避けようとするでしょう。


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