tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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白川総裁の勇気ある発言

2010年04月23日 11時12分51秒 | 経済
白川総裁の勇気ある発言
 G20出席のためニューヨークを訪れている白川日銀総裁が、22日、現地のエコノミック・クラブで講演し、その際、質疑に答えて人民元切り上げ問題について発言したという報道がありました。
 
 一言で言えば、「アメリカは人民元切り上げの圧力を強めているが、人民元の切り上げだけではアメリカの貿易赤字問題は解決しない。」という趣旨のことを明確に発言されたという報道です。

 一部ビデオもあって、訥々としながらもはっきりした口調で、「日本がアメリカから円高の圧力をかけられた時のことを思い起こせば・・・」と説明を始めたようですが、ある意味では、アメリカのやっていることを、真正面から批判した発言であるだけに、勇気のいる発言だったのではないかと強く感じたのは私だけではないでしょう。

 このブログでも、プラザ合意 の問題と、中国の 人民元切り上げ問題は、何回も論じてきていますが、関連して、日銀は「為替問題には口を閉ざして語らず」といったことも書いてきました。

 今回の白川総裁の発言で、日銀が為替問題について、何を考えているのかが見えてきたことは、本当によかったのではないかと思われます。

 余計なことを付け加えさせていただけば、アメリカの貿易赤字はアメリカ人の消費活動を含む経済活動全体が、まともだった昔 に帰らなければ、何をやっても解決しない問題でしょう。そして、それがアメリカの経常赤字を資本収支でファイナンスしなければならないという問題を引き起こし、今日世界が迷惑しているマネーキャピタリズム、今の資本主義の歪みの大きな原因にもなっているということではないでしょうか。

 もうひとつ付け加えれば、白川総裁は、「バブル当時、物価が安定しているので、安心して金融を緩めすぎた(そしてバブルをひどくした)」という趣旨の発言をされたようですが、物価は金融をジャブジャブにしても、実質国民経済生産性以上の賃上げをしなければ上がらない(ホームメイドインフレ は起こらない)事がわかっていれば、そういう失敗はなかったはずだったと申し上げたいと思います。

 関連して言えば、今の中国は、不動産の価格高騰と、消費者物価指数の上昇の原因の区別がついているようなので、当時の日本より適切な政策が取れるのではないかと感じていますが、どうでしょうか。

 いずれにしても、アメリカが、双子の赤字を拡大してでも、消費を拡大させれば、「景気回復」と喜ぶようなマネーマーケットのビヘイビア、今日の利益は考えても、明日の世界経済のあるべき姿などは眼中になさそうな マネー経済理論はもう終わりにしたいものです。

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