tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

食糧価格とマネー資本主義 (1)

2011年02月23日 11時04分20秒 | 経済
食糧価格とマネー資本主義 (1)
 「大工殺すにゃ 刃物はいらぬ 雨の3日も 降ればいい
 江戸川柳ならぬ江戸都都逸です。江戸の職人は「カネは腕に仕込んである。仕事をすればいつでもカネは入ってくる。だから宵越しのカネなんざぁ持もたねぇ」と粋がって、貯蓄率ゼロ、今の日本人とはかなり違っていたようです。 まぁ、落語で知る世界ですが。

 そうした職人気質を揶揄したのが上の都都逸で、「粋がってるのはいいけれど、雨が続いて3日も仕事がなければ、お前ら飢え死にだぞ(野暮な説教)」という事なのですが、これは後世いろいろに言い換えられています。
 「噺家殺すにゃ 刃物はいらぬ 欠伸ひとつで 即死する (某落語家)
 「株屋殺すにゃ 刃物はいらぬ 寄り引け同値でザラバ無し(某相場師)  などなど。

 ところで、ここでのテーマは、一番後の都都逸です。つまり株の値動きが全くないのですから、それでは株屋(今なら証券会社、○○ファンドなど)は仕事になりません。
 止まない雨はありませんが、値動きのないマーケットもありません。マーケットは、需要と供給のバランスがとれたところで公正な価格が決定されるための市場経済の中の最も重要なメカニズムで、マーケットが機能しなければ、市場経済、もっといえば、公正な経済は成り立たちません。

 さて、ここが重要なところです。マーケットというのは、いろいろなものの価格を「公正に」決定する役割を担っているのです。
 では「公正な価格」とは何でしょうか。「需要が多ければ価格は上がり、供給が多ければ価格は下がる」これは正常な価格メカニズムです。価格が上がれば生産が増え、消費が減る、逆の場合はその逆といった形で、需給のバランスを回復させるのが「価格メカニズム」です。

 経済は基本的に、生産者(供給側)と消費者(需要側)で成り立つといわれます。しかし現実には人間はみんな生産者であると同時に消費者です。つまりみんな「生活者」です。
 生活者にとって望ましい「値段」(価格)のあり方とはどんなものでしょうか。需給による価格変動は認めつつも、できるだけ変動の少ない、安定した状態が望まれるのです。生産者として見ても、消費者としてみても、納得のいく値段が公正な値段でしょう。

 問題は、現在の経済社会では、「そうでないビジネス」が、どんどん増えているという事です。値動きがなければ仕事にならない、値動きは大きいほうがいい、さらに、値動きがなければ自分たちが動かしてでも ビジネスチャンスを作る。 これが「マネー資本主義」の基本です。

 マネー資本主義は、安定を望む生活者の生きる経済社会、雇用も物価も賃金も、できるだけ安定成長して欲しい「実体経済社会」とは全く別基準の経済社会です。 そこに問題が発生します。


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