tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本的経営:人を生かす知恵を大事に

2016年09月01日 11時09分33秒 | 経営
日本的経営:人を生かす知恵を大事に
 企業に関する嫌な言葉で「ブラック企業」というのがありあります。多分、その企業の経営者が、企業の何たるか、経営の何たるかを知らず、単純に当面の利益だけを求めて従業員を使い捨てにするといったことから起きる現象なのでしょう。

 かつては日本経済の発展を支えたいわゆる「日本的経営」が広く学ばれ、QC、5S、JIT、カイゼンなどがどこの企業でも「合言葉」になっていた時期もありましたが、「失われた20余年」の中で、企業に余裕がなくなり、経営者は勉強より当面の利益優先、従業員の教育訓練もコスト削減で切り捨てとなった企業も多かったようです。

 しかし企業とは本来、創業の目的があって、それに向かって人間が協力しあって働くというシステムですから、トップから新入社員、パートまで、企業を構成する全員が、仕事を上手にやるか下手にしかできないかで結果に雲泥の差が出るのは当然です。

 日本の企業は伝統的に、素材としての人間を雇用し、教育訓練で育て、育成された従業員の優れた仕事によって発展していくという形をとってきました。
 企業は技能訓練と階層別訓練を併用し、仕事の熟練度や中身のの高度化を進め、人間関係やリーダーシップなどの社会的訓練技法も活用、仕事でも社会でも役に立つ人間を育ててきました。

 こうした優れた人間が育てば、企業は優れた製品やサービスを社会に提供し成長や繁栄を達成できるという考え方です。
 一方この対極にあるのがブラック企業で、人は育てるのではなく使い切ることで利益を出そうという事でしょうか。

 しかし人間が育たない企業では、商品もサービスも、そして企業も育たないでしょう。なぜならば、すべての仕事は人間によってなされるからです。
 多分ブラック企業は長続きしないでしょう。そしてその原因は経営上の失敗や職場における事故、トラブル、不良品の発生といった問題でしょう。時にこれらは巨大なコストを生み、企業の致命傷になります。

 冒頭にあげたような日本的経営の多くの技法は、人間の犯す多様な失敗をいかにしたら減らせるかというところにあって、それは教育訓練によってのみ可能という視点が基本です。

 失敗学の大家、畑村洋太郎氏は、失敗の主要な原因を、大きく10に分類していますが、最も基本的なものは、矢張り、「知らない」「不注意」「きちんと守らない」「判断が出来ない」「十分検討しない」などといったもので、これは本人の責任というより、きちんとした教育訓練がなされていないことに原因があると考えるべきことのように感じられます。
 次回この辺りを、トヨタやホンダでやられている「5回のナゼ」を取り上げて、日本的経営の真髄を見てみましょう。

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