tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

5回のナゼ:「なぜなぜ分析」の効用

2016年09月02日 11時06分56秒 | 経営
5回のナゼ:「なぜなぜ分析」の効用
 企業とは何かを一言でいえば「人間が資本を使って付加価値を創り、社会をより豊かで快適なものにするための組織」という事になるのではないでしょうか。
 かりそめにも「企業は出資者の所有物で、出資者に最大のリターンを齎すための組織」などと言わないでください。

 古くは三種の神器と言われたモノクロTV、洗濯機、冷蔵庫、その後は新3Cと言われたカー、クーラー、からーTVなどで我々の生活は豊かで快適になりました。宅配便やコンビニの登場がなかったら、我々の生活は随分不便なものでしょう。
 企業は社会のためにいろいろと役に立つ 多目的な存在なのです。

 ですから社会にとって、企業はいつまでも発展存続してほしい組織です。企業による製品やサービスの提供がストップすると市民生活は混乱します。

 社会の多様な期待に応えるために活動する企業にとって恐ろしいのは「失敗」です。前回も触れましたように、大きな失敗は企業の命運に関わります。
 これも前回触れましたが「日本的経営」の特技である「 QC 5S、JIT、カイゼン」などは、如何に失敗を防ぐかの優れた技法です。

そして今回のメインテーマ「なぜなぜ分析(5回のなぜ)」はこうした技法を支えるもので、失敗の原因究明のために必須というべき「頭の回転させ方」のノーハウです。創始者は「トヨタ生産方式の始祖」大野耐一氏、トヨタグループは勿論、日本中の多くの企業で活用されていますが、最近ホンダでの活用の様子が日経産業新聞(2016/9/1)で紹介されました。

 紙面では、ホンダは「ホンダ版のテキスト」を作って、品質管理担当者の教育訓練を徹底していること。その具体的な考え方、やり方についての説明が解り易く書かれていますが、その中身はそちらをご覧いただくとして、私が感じたのは、「ホンダ版」の理念が、基本的に人を育て、人を生かす方向で考えられているという点でした。

 最初の「なぜ」で、トラブルの起きた原因はAさんが○○をしなかったと解った場合、次の「なぜ」、なぜしなかったのか、に対して、「知らなかった」「忘れていた」「出来なかった」「やりにくかった」などの理由が出てきます。

 その時、「知らなかった」は本人の問題ではなく教育訓練の不徹底が問題、「忘れていた」は忘れられない為の仕組みの欠如、「出来なかった」の場合は技能訓練の不足、「やりにくかった」のならやり易い方法の開発、が必要といったアプローチが説明されていました。

 こうした徹底した「企業のシステムを改善し」誰もが良い仕事ができる「人を生かすためのシステム」に作り替えるという志向があってこそ、人を育て、人を生かす人間中心の日本的経営が世界の驚嘆する製品やサービスを生み出すベースになっていることを強く感じさせられました(「出来ない人は切り、出来る人を探す」といった使い捨て人事ではないのです)。 

 「日本的経営は賞味期限切れ」などと事もなげに言う人の多いこの頃ですが、「モノづくり」から「おもてなし」まで、人を生かす日本的経営の本質を理解し、確り活用する企業が世界から注目されていくのではないでしょうか。

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