tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済発展のライフステージと金融

2011年12月05日 12時20分19秒 | 経済
経済発展のライフステージと金融
 前回、アメリカの変心と書きました。第二次大戦中から、戦後世界の安定と平和を考え、ブレトンウッズ体制を用意した周到なアメリカ。バターも大砲もといわれた世界一の経済力を持ち、マーシャルプランでヨーロッパ諸国を、ガリオア・エロア基金で占領地を援助したアメリカが赤字国に転落、世界から金を集めまくるに至る大変化、背後にいったい何があったのかです。

 これには、あまり難しい理論は必要ないように思います。たぶんに国民の心が慣性の法則に従うことによるのでしょうか。

① 一国経済がテイクオフして順調に発展期に入るとき、国民の生活向上期待は、経済成長の速さに達しません。経済成長5パーセント、生活向上2パーセントなら、3パーセント分は黒字になります。経済青年期でしょうか。
② 経済成長の力を国民が理解するようになると、経済成長に見合った生活水準の向上を国民は望むようになります。1960年代のような健全な高成長時代です。ドイツの協調行動時代、日本の高成長・高賃上げの時代です。(壮年期)
③ 成長率は限界を迎えますが、生活水準向上の要求は止まりません。経済変動で不況があっても「昨年以上の賃上げ」といった要求が一般化します。労働分配率上昇の時期を迎えます。経常赤字の年が出てきます。(初老期)
④ 時短や余暇がはやり、経済成長は停滞しますが、生活水準向上の欲求は止まりません。政府は国債発行、ケインズ政策で景気の浮揚を図ります。経済はコスト高になって、競争力を失います。財政赤字、経常赤字の時代に入ります。(老年期)
 
  多少の違いはありますが、大体経済の歴史はこのように動きます。1970年台以降、アメリカ、ヨーロッパ(除ドイツ)は、④の段階に入ったようです。 
 こうした中で、日本とドイツは経常収支赤字国にはならないだけの節度を保っています。
 
 そこで経済は新しい段階に入ります。政権維持のために不況にしたくない政府は金融緩和と借金をし易くする政策(金融工学)で、経常赤字を穴埋めし、不況を避けようとします。

 本来なら、早期に引き締め政策で、国民生活が経済実態より肥大化することを抑えるべきところを、借金でやりくりし、二進も三進もいかない所まで行ってしまいます。ギャンブラー達は「ここで一儲けしようと、進化した金融工学を使って経済混乱に拍車を掛けます。
 今、アメリカ経済、EU経済はここまで来てしまっていると考えるべきでしょう。


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