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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレは脱出したのか

2013年10月23日 15時30分23秒 | 経済
デフレは脱出したのか
 今国会の冒頭でも「デフレは脱却したのかどうか」という論戦がやられていました。
 このところ日本が経験してきたデフレの原因についての理解がないままに論戦をしてるので、「していない」とか「しつつある」という見解は、単なる印象でしかないようで、大変心許なく感じました。
 という所で、デフレに関する現在の日本の立ち位置を、再確認してみたいと思います。

 もともと日本経済がデフレになったのは、自国の経済運営の故ではなく、外的に強いられた「円高』という為替要因でした。これに対抗する手段は2つです。
① 毎年日本の物価を下げ、(諸外国は皆インフレですから)円高で生じた物価高・コスト高が帳消しになるまで頑張る=これこそがデフレのプロセス。
② 円高にされた分、円安に戻して物価やコストを下げなくてもいいようにする。

 失われた20年というのが、①の過程で、この4月の20円の円安政策が②に当たるものです。
 このブログでも、かつてデフレ解消には$1=¥110~¥120と書きましたが、購買力平価からみて、ギリギリ$1=¥105~¥110辺りで、ほぼデフレ状態脱出という所でしょう。

 皆様の企業でも、恐らく105~110円になったら競争力上は大変楽になるというのが実感ではないでしょうか。それが無理だとすれば、デフレ脱出にはもう少し時間が必要ということのようです。

 勿論時間を掛ければ、自動的に脱出できるのではありません。諸外国は平均3パーセント程度のインフレですから、日本の物価が輸入インフレ(円安による)などで1パーセント前後上がっても年に2パーセント程度は格差が縮小しますから2~3年で5パーセント程度の格差は解消できるという前提です。(この論議では消費税は輸入品にも国内品にも共通ですから関係ありません)

 この物価上昇率の格差の背景には、日本の生産性と賃金の関係はかなりバランスが取れていて、一方、諸外国は一般的に生産性より賃金コストの方が上昇率が高いという実態があります。これこそが日本の強みなのです。

 こう見てくれば、デフレ経済解消には、最低でももう5円程度円安にするか、2007年以前の「いざなぎ越え」のような経済指標は経済上昇というが、企業にも従業員にもあまり実感がないといった状況を2~3年我慢するかといったところだろうという見当がつくのではないでしょうか。
 若し円高になれば、話はその分逆戻りです。

 
 経済事象というのは、原因があって結果があるので、その辺りの因果関係をきっちり押さえておかないと、論戦をしてもあまり実りあるものにはならないような気がして仕方ありません。



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