tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

TPP決着の中身と説明を聞いて

2015年10月21日 10時54分43秒 | 国際経済
TPP決着の中身と説明を聞いて
 TPP決着の細かい中身を見て、「よくここまでやったな」というのが実感でした。多国間交渉を二国間交渉を活用しつつ進め、最終的に参加国全体の理解を得るという過程を、徹底的に「残業時間延長」で纏め得たのは、画期的だったのではないでしょうか。

 ここまで纏められたのは色々な要素が重なって可能になったということでしょうが、やはり、参加国が「何とかまとめよう」という共通の気持ちを持ったからでしょう。
 長期的な視点で目標を定めたことも効果があったのではないでしょうか。

 対中国の意識なども言われていましたが、今回は何かアメリカが「すべて自分の基準(利害)で仕切る」といったことが少なかったように感じています。
 アメリカの力が相対的に弱くなってきたのでしょうか、各国が頑張ったのでしょうか、フロマン氏の人柄もあるのでしょうか。
 これは大変良かったと思いますが、そのせいでしょうか、言い出しっぺのアメリカ国内でTPPに否定的な意見がにわかに強くなっています。

 甘利代表は、死ぬ思いで苦労したのだから国内もがんばれ、という趣旨の話をされていましたが、国際利害の調整です。まさに実感でしょう。
 今後は各国国内で、いかに対応に真剣な努力をするかということになります。

 日本でも、すでに国内での関係業界への説明が始まっていますが、ここで些か気になるのが、担当分野の大臣などが「できるだけ影響が少なくなるような政策をやりますから」といった弁明中心の様な発言をしていることです。

 やはり本来の趣旨である「国際的な理解と協調のために、徹底して頑張りましょう、政府も関連業界の構造改革、生産性向上のための支援策を強力に進めます。保護政策をあまり重視するのはTPPの本意ではありませんから」ぐらい言われたらどうでしょうか。
 関連業界はすでに自覚して前向きな取り組みを始めているところが多いようです。

 かつても書きましたように、日本は、域内では最も進んだ国の1つですから不利な面は限られます。国内の調整は勿論大事ですが、域内の各国に対する
調整や支援が、TPP成功のためには大変重要になるように思います。

 アメリカが、赤字国から脱出できない状態ですから、加盟国に対する多様の支援の役割は日本に回って来る可能性は否定できないでしょう。
 そうした役割を、立派に果たしてこそ、TPPを通じて国際的な日本への信頼や評価を高めることが可能になるのではないでしょうか。


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