tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府の投資要請と企業の行動

2015年10月20日 14時44分18秒 | 経済
政府の投資要請と企業の行動
 先週の10月16日、政府と財界が「未来投資に向けた官民対話」をやって、政府から、企業は儲かっているのだから、もっと積極的に投資をやってほしいという要請があったとのことです。

 安全保障問題が一段落したから。今度は経済政策中心ということで大変結構なんことですが、政府は春には賃上げをしろ、秋には投資をしろと産業界に異例の注文をすることに何か大変熱心です。気持ちはわかるとしても、何か筋違いのような感じがします。

 政府主導と言われた春闘についても書きましたが、政府の「金がたまっているのだから投資しろ」というのを聞くと、いわゆる「モノ言う株主」が企業に対し「資金を有効に活用していない。もっと投資を積極化して株価を上げる政策をとれ」と要求するのと似ているように感じてしまいます。

 早く株価を上げたい、早く経済成長率を上げたいと成果を急ぐのもいいですが、「急いては事を仕損じる」という諺もあります。
 確かに$1=¥80が120円になって、企業収益は回復しました。だからすぐ投資をしろと言っても、例えばエネルギー限って見ても、火力か、原子力化、再生エネか、国の政策、世界の大勢、国民の意識などの先行きは不明です、大型投資は何十年の先を見なければなりません。

 この間まで政府は日本の人口は将来8000万人台になるなどという推計を示して超高齢社会の警告に熱心でした。これでは企業は国内投資には二の足でしょう。
 その代わり、海外投資には積極的で、おかげで貿易収支は赤字になっても海外投資の収益で経常収支は大幅黒字です。

 政府があまり「投資、投資」というと経団連のように「国策として武器輸出を推進せよ」などという要望を出し「政府の方針に従っているのだから安心して投資ができる環境」を作ってもらおうなどという意見が出るのかもしれません。

 人口1億人が確保できても、日本の国内マーケットには限度があります。日本の技術水準、製品・サービスの評価は国際市場でも十分に理解され、日本企業の投資行動は世界を見据えたものになっています。

 こういう時代に最も重要なのは、世界中と仲良くすることでしょう。政府どうしが反目しあって「しかし政治と経済とは別だ」といってもこれは説得力がないでしょう。政府はもっと高次元の問題に着目して日本経済がスムーズに発展できるような「経済環境政策」を考えないと、経済の発展に対して時代遅れになってしまうのではないでしょうか。


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