tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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初任給上昇圧力高まる、影響は?

2018年04月24日 22時24分17秒 | 労働
初任給上昇圧力高まる、影響は?
 今年度の大卒初任給について日経新聞電子版が主要企業についての調査結果を発表していますが、2400社ほどから回答が得られた結果、最高は40万円で、30万円以上が11社などと報じられていました。

 こうした企業で、此の初任給をベースにして年功的に上がっていったら大変なことになるでしょうが、恐らく成果主義で、高い初任給で優秀な人を集め、後は年々の成果で決めていくという欧米流の賃金制度なのでしょう。

 それにしても、円レートが100円~120円と円安が実現した2014年以降、新規学卒市場は売り手市場となり初任給は着実に上昇しています。
 もともと日本企業では企業ごとに賃金体系は違うのですが、高度成長の時代から新卒初任給ではそれなりのマーケットが成立していて、引き上げ競争の動きはありました。

 バブルが崩壊して長期不況に入るころ大卒初任給はほぼ20万円で横並びでしたが、その後の就職氷河期を通じて2010年代初頭まで、ほとんど横ばい、多少の下げもあるといった状態でした。
 
 その初任給がここ数年じりじりと上昇に転じています。グラフは最近の高卒、大卒の初任給の推移ですが、円高差益で潤った2014年あたりは特別として、その後、反動でしょうか、上げ幅は縮小しましたが、またじりじりと上がり始めたようです。


(資料:厚労省「賃金構造基本統計」、2017年は経団連調査、2018年については集計発表は来年)

 1980年代半ばまで、日本経済が好調だったころは、企業が競争で初任給を引き上げ、初任給が先輩の賃金水準に追いつきそうになって「中弛み是正」で、数年前入社といった先輩の賃金を初任給とのバランスで引き上げ調整の必要が生じたりして企業の賃金担当は苦労しました。

 初任給上昇はまさにベースアップですから(定昇が無いので)初任給の上昇率が先輩のベア率を超えると賃金上昇のカーブは緩やかになります。ということで、その間、日本企業の賃金の年功的色彩はかなり薄められるといった結果になりました。

 最近の動きでは、まだそこまで行くか行かないかぐらいの所でしょうが、優秀な新卒を確保したいとうことで、初任給を無理して引き上げますと、必然的に賃金体系全体を見直さなければならなくなります。
 かつてのような初任給引き上げ競争は起きないと予想していますが、場合によっては行き過ぎた競争が起きないとも限らないので、企業におかれては、初任給上昇は賃金体系・制度全体とのバランスの中で考えられるよう周到にお考えになることが必要なように思うところです

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