所得格差と資産格差、日本の経験 6
格差の発生についての日本の経験を整理してきました。
一億総中流などと言われた時期、一部には「中流というのは、川の流れのようなものだから、頑張って泳いでいないとだんだん下流の方に行ってしまうのですよ」などという解説もありましたが、中流というのは儚いものでした。
今、安倍政権は「分厚い中間層」などと言っていますが、中流の脆さに懲りたのでしょうか、中間層が分厚いと言えば、それより上も薄くて、下も薄いということでしょうから、確かに格差は少ないということになりましょう。
日本の経験から言える資産格差、所得格差の縮小のために大事なことは、
① 資産価格の上昇などで得られた富は、出来るだけ国内の研究・開発・生産活動に活用し、GDPの拡大を図ること。それで雇用が増え、所得は広く均霑します。
② その為には、国内のコストの上昇を抑制すること。これは日本の労使は実行して来ています。但し円高によるコストの上昇は労使には解決出来ません。国際投機資本の跋扈する今日、円の安定(特に円高阻止)は至上命題です。
③ マネー資本主義を実体経済中心の資本主義に戻すことが必要です。マネー資本主義が現在の資産格差発生の元凶でしょう。
ピケティの言う資産格差の拡大は、資産の生む利子の蓄積よりも、資産価格の上昇による場合が大きいようです。今これは、金融工学の流行という形で、資産が資産を生み、タックスヘイブンを生み、経済においては富の生産ではなく、富の移転が主役化し、巨億の富の所有者(所有国)と、最低賃金を割り込む労働者(国内紛争や難民の絶えない貧困国)といった形で資産格差と所得格差の両方を生んでいます。
「21世紀の資本論」がアメリカで読まれる所以でしょう。アメリカに本拠を置くファンド(プライベート・エクイティ)といったマネーゲームの主役はまさに「新しい資本家」です。資本は常に強欲です。
それにつけても、日本はキャピタルゲイン中心のマネー資本主義ではなく、インカムゲイン中心、実体経済中心の資本主義の実践を貫き、あるべき経済社会の姿を示して、世界経済・社会の安定のために貢献すべきでしょう。 (この項終り)
格差の発生についての日本の経験を整理してきました。
一億総中流などと言われた時期、一部には「中流というのは、川の流れのようなものだから、頑張って泳いでいないとだんだん下流の方に行ってしまうのですよ」などという解説もありましたが、中流というのは儚いものでした。
今、安倍政権は「分厚い中間層」などと言っていますが、中流の脆さに懲りたのでしょうか、中間層が分厚いと言えば、それより上も薄くて、下も薄いということでしょうから、確かに格差は少ないということになりましょう。
日本の経験から言える資産格差、所得格差の縮小のために大事なことは、
① 資産価格の上昇などで得られた富は、出来るだけ国内の研究・開発・生産活動に活用し、GDPの拡大を図ること。それで雇用が増え、所得は広く均霑します。
② その為には、国内のコストの上昇を抑制すること。これは日本の労使は実行して来ています。但し円高によるコストの上昇は労使には解決出来ません。国際投機資本の跋扈する今日、円の安定(特に円高阻止)は至上命題です。
③ マネー資本主義を実体経済中心の資本主義に戻すことが必要です。マネー資本主義が現在の資産格差発生の元凶でしょう。
ピケティの言う資産格差の拡大は、資産の生む利子の蓄積よりも、資産価格の上昇による場合が大きいようです。今これは、金融工学の流行という形で、資産が資産を生み、タックスヘイブンを生み、経済においては富の生産ではなく、富の移転が主役化し、巨億の富の所有者(所有国)と、最低賃金を割り込む労働者(国内紛争や難民の絶えない貧困国)といった形で資産格差と所得格差の両方を生んでいます。
「21世紀の資本論」がアメリカで読まれる所以でしょう。アメリカに本拠を置くファンド(プライベート・エクイティ)といったマネーゲームの主役はまさに「新しい資本家」です。資本は常に強欲です。
それにつけても、日本はキャピタルゲイン中心のマネー資本主義ではなく、インカムゲイン中心、実体経済中心の資本主義の実践を貫き、あるべき経済社会の姿を示して、世界経済・社会の安定のために貢献すべきでしょう。 (この項終り)