tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済を失速させない政策運営が最重要の課題

2024年04月27日 16時28分15秒 | 経済

前回は、この所の日本では人口減少という長期予測を軸にして、将来を悲観的に見るのが流行るようですが、大事なことはそれを反面教師にして、嘗てのような元気な日本経済・社会を取り戻して行くことでしょうと書きました。

今回は、今がチャンスなので、3~5%ぐらいの実質経済成長を目指して、活性化の見えてきた日本企業が総力で取り組む時期に来ているという現状認識のもとに、経済の立て直しに経済政策、金融政策も含めて、民間企業労使が思い切って元気を出すような雰囲気を作りを進める必要があると指摘したいと思っています。

嘗てこのブログでは「株式投資大成功の話」という事で、戦後最大の不況と言われた昭和40年不況の時に株価暴落を何とかしようと苦し紛れに作った「共同証券」や「証券保有組合」が結果的には莫大な利益を上げた事を書きました。そしてそれは、その後の「イザナギ景気」があったからだということは明らかです。

今回のアベノミクスの不況では、世界最大級の機関投資家と言われるGPIFや更には日銀が、膨大な株やETFを買い、現状では大変な含み益を得ているでしょう。

日本は1990年代初頭のバブル崩壊の経験も持っています。崩壊の直前まで世界の金融市場を闊歩していたジャパンマネーは忽然と消えて日本は30年不況に突っ込んだのです。

今の東京市場は上場企業の時価総額で落ち目の上海市場を抜いたなどと言われています。現在の株価がバブルなのかそうでないのかには議論もあるようですが、出来れば上ったものを下げない方が、日本経済にとってもプラスでしょう。

前回も述べましたが、それを可能にするのは実体経済としての日本経済が、確り成長する事です。上述のイザナギ景気の経験とバブル崩壊の経験を持っている日本経済です。ここで如何なる経済運営をしなければならないかは自明でしょう。

しかし客観情勢は決して容易ではありません。今年度の政府経済見通しでは、実質経済成長率は昨年度より低くなっています。現状の月例経済報告も明るい物ではありません。

一方政治不信は相当な重症ですし、総理の発言もうつろに響くようで、例の「火の玉発言」も投書欄で揶揄されるような状態です。

アメリカでは国賓待遇でしたが、それがアメリカの経済政策にも反映されることはないでしょう。かつて「ロン・ヤス」と親密だった「レーガン・中曽根」関係の下で、日本は「プラザ合意」で円高を要請され、30年不況の根因を受け入れさせられています。

今、金融政策の流れとしては、アメリカは政策金利の引き下げに向かう状況にあり、日本は政策金利を引き上げる情勢にあります。今、アメリカはドル高が有利なのかもしれませんが、いずれ金利引き下げ動き、日本も引き上げの動きを見せれば、円安は一転円高に転換でしょう。円高が日本経済にいかなる影響を齎すかは誰もがよく解っているはずです。日銀は、常に慎重な動きでしょうが、対応は容易ではないでしょう。

こうした状況の下で、日本に必要なことはまず内需を活発にし、内需中心の好況、高めの経済成長率の実現でしょう、そのためには非正規雇用の大幅削減、賃金水準の国際レベルへの回復、それを支える企業レベルの生産性の向上の促進といった高度成長期と同じ経済循環を、新しい技術革新で世界をリードするような産業構造の高度化の中での再現が必要でしょう。

そしてこうした活動を現場で担うのは日本の企業、企業の労使でなければならないのです。

政府・日銀は企業がそうした活発な活動をするための環境整備に万全を期すべきでしょう。

過去の歴史から学べば、経済外交の失敗(プラザ同意など単純なアメリカ追随)、金融政策の遅れによる円高の容認、不要不急な防衛予算の拡大などには十分留意すべきでしょう。

1985年のプラザ合意以降の失敗の連続から学ぶ事はいくらでもあるはずです。