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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新時代の金融政策は実験途上です

2020年11月27日 22時43分52秒 | 経済
新時代の金融政策は実験途上です
 日銀の総資産が急速に増えているというニュースがありました。今や日銀の総資産は600兆円を超えて、日本のGDPの500兆円を上回っています。


        資料:日本銀行

 勿論、異次元金融緩和のせいでこの6年間で2.5倍(年率16%)の増加ですが、この間の経済成長は年率1%前後で低迷、物価も殆ど上がりません。

 今も政府は第3次補正を考えているのでしょうが、これもすべて赤字国債を発行しての資金調達でしょうから、結果的には多分日銀が市中から国債を買い上げ、市中に流動性を供給して、それをあてにして政府が国債を発行するという事に帰着するのでしょう。

 日銀の直接引き受けでないとしても、実質的には同じことで、昔だったら、こんなことをしていたら、ハイパーインフレになって円の価値は暴落、日本経済は立ち行かなくなるという所でしょうが、今はインフレどころか消費不振で物価は下がり気味です。

 そんなことで MMTという新時代の金融理論が出て来て、このブログでもそれを取り上げて検討してみたりしました。

 机上の検討が現実を言い当てるのかどうか、これは時間がたってみないと解らないことでしょうが、いまは、さし当たって平穏です。

 海の向こうではアメリカも、景気テコ入れのために金融緩和(特に量的)を進めようといい、これを放置すれば多分円高必至でしょうから、日銀も国債やETFの買い入れはいつでも増やす姿勢です。

 日銀の資産の中身を見ますと、国債が最大で486兆円、2癌目は(銀行などへの)貸出金で54兆円、3番目が上場投信(ETF)で30兆円、これで9割以上です。

 日銀は、市中にこれだけ流動性(お金)を供給しているのですが、それが経済活性化のために使われているのかと言いますと、(ETFの買い上げなどは、株価のいわゆる官製相場に貢献しているのかもしれませんが)実はあまり役立っていないようなのです。

 というのは日銀の負債の方を見てみますと、421兆円(うち当座預金694兆円)が日銀への預金なのです。ゼロ・マイナス金利で使い道のない金は、最も安全な日銀に預金されているのです。

 経済活動に使われないおカネをなぜそんなに出すのかですが、現代の金融政策では、金融を緩めるという事は経済政策よりも為替政策だからでしょう。日銀が金融緩和を進めると言えば円高にストップがかかるのです。

 そんなこんなで日銀がいくら市中にお金を供給しても、そのお金が使われなければ(日銀に預金されているのでは)インフレにはなりません。
 インフレは株の官製相場形成と、最近の地価上昇に(少々)使われているのでしょう。ですから株はバブルと言われたりしています。

 現状、金融緩和がインフレにつながらない理由はこの辺から見えるようです。将来この状況が変わるとき何が起きるかですが、その辺はまたご一緒に考えてみましょう。