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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人間中心の社会と経済の関係に目を:1

2016年02月13日 09時14分05秒 | 経済
人間中心の社会と経済の関係に目を:1
 このブログではいつも指摘していますが、世界の国々の中でも日本人は真面目で勤勉、ギャンブルなどには嫌悪感が強く、勤労を尊ぶ性格のようです。
 その結果、日本の経済や社会は、比較的安定した成長を維持できるような性質を基本的に持っているように思います。

 また日本人は文字通り「自然」が好きなようです。海や山といった「天然の自然」も、人間関係や社会の在り方でも「自然」が好きで、「不自然」を嫌います。自然との調和、人間同士の調和を「自然」なものとして受け入れる感覚が生きているのでしょう。

 今、日本経済や社会が、何かおかしいのは、多くの人たちが、今の社会の在り方に違和感というか、何か「不自然さ」を感じているからではないでしょうか。

 経済環境で言えば、$1=¥120がらみが自然(購買力平価から見ても)のようで、この点では過度の円高の不自然さは解消されました。(この所の急激な円高はまた些か問題ですが)ということで、為替環境では、大きな不自然さは無くなってきて、日本経済正常化の条件は整ったのですが、国内の企業構造、雇用構造、所得構造などの社会構造の歪み(不自然さ)の方はなかなか直りません。

 本来ならば、政府、企業、労働組合が協力し合い、かつてのような格差の小さい安定した社会構造に戻るよう努力をし、国民の感じる不自然さ、居心地の悪さを払拭して、日本人の健全なバランス感覚を回復し、本来の勤勉さを取り戻すべきところです。
 しかし、企業収益が改善し、株価が上がり、「日本良い国」と外国人が大勢来るようになっても、何か今の日本社会には違和感、不自然さが残ります。

 どうもその根底には「格差社会化」があるようです。もともと日本人は「調和」を大事にしますから格差社会には敏感です。ところが、この所「金持ち父さん、貧乏父さん」などと言われたり、「下流老人」「貧困家庭」などという言葉が多く聞かれます。多くの国民が、日本社会の現状に、何か調和型社会から外れた「不自然さ」を感じていることの証左のように思えます。

 今の政府は、円安実現という実績を誇示しますが、その実績の上に何を築くかという点で、どうも国民の心を的確に掴めていないようです。
 財政政策、金融政策で何とか出来ないかと懸命になっていることは解りますが、国民の心の問題は単純な経済政策では解決できません。
 そのうえ、財政政策は巨大な政府負債で行き詰まり、金融政策はマイナス金利が裏目に出ているようです。

 最近、今の政策では将来の不安感ばかりが先に来て、何はともあれ貯金して自分の生活を守ることが先決になってしまう、といった意見をよく耳にします。この辺りが消費不振の元凶でしょう。

 安倍政権のスローガンは華やかですが、いまひとつ国民の心を掴めていない感じです。何が足りないのでしょうか。(長くなりますので以下次回)