tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国債残高8000兆円の意味

2014年05月01日 09時42分39秒 | 経済
政府債務残高8000兆円の意味
 財政制度等審議会は4月28日の会合で「2060年には日本の国と地方の債務残高が8000兆円と今の6倍になる」という試算を発表したようです。
 
 察するところ、こうした数字を発表したのは、こんなことになったら大変だ、そんなことにならないように国・地方の政府は歳出を切り詰め、社会保障費も出来るだけ膨張を抑え、国民は増税も覚悟しなければならないということを、国民に理解させたかったからでしょう。

 国会議員の定数見直しや歳費のカット、失われた20年で民間よりかなり有利になった公務員の給与水準の見直し、もともと民間より有利な公務員年金の是正(年金一元化はいつまでたっても実現しませんね)、などを考えれば、政府関係の身を切る努力はともかく、結局は一般国民に将来に負担増を覚悟させようというのが主な狙いでしょうか。

 しかしこの試算の内容では、国民への警告になっていないように思えてなりません。
 もし50年後に国と地方の債務残高が8000兆円になっていたとすれば、今日1500兆円を超える民間貯蓄残高が、50年後には8000兆円以上に増えて、国民は政府にそれを貸しているという勘定になります。

 今でも日本の国債の95パーセントほどは日本国民の貯蓄で支えられているのですし、今後日本が財政危機になれば、ますます外国は日本の国債など買わないでしょう。

 国債は政府には借金ですが、国民にとっては 最も安全な財産です。私も復興国債などを持っていますが、これは大事な財産で、私が死ねば、子供の財産になるはずです。子や孫に借金しているとは全く思っていません。

 日本経済が名目3パーセント実質2パーセントの経済成長を達成し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を2020年に黒字化したら、「国民は随分政府にカネを貸せるようになるんだな」というのがこの数字の意味でしょう。

 本当に国民に危機感を持たせようというのならば、そんな巨額な貯蓄を国民が持てるはずがない。8000兆円になる前に、国債が売れなくなり、財政は破綻、政府はデフォルト宣言ということになり、国債は紙屑ですよというのが本来説明すべき姿でしょう。

 国民が8000兆円を国に貸すことが出来るというのがいわばベストの状態、その前に日本がデフォルトになるというのが最悪のケースということになるのですが、さて、今回の財政制度等審議会は、この試算で「本当は何を言いたいのか」本音を聞いてみたいものです。