tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

イエレン女史の議会証言:あまり変わりそうもないアメリカ

2014年02月12日 12時19分19秒 | 経済
イエレン女史の議会証言:あまり変わりそうもないアメリカ
 2月11日、イエレン女史の最初の議会証言がありました。バーナンキさんの愛弟子ということなのでしょうから、あまり変わったことはないだろうとは予想していましたが、矢張り当面の流れは変わらないようです。

 まず、テーパ―リングは継続するとのことですが、雇用とインフレ次第で柔軟にという点も従来通りです。インフレ率2パーセントは今のアメリカの経済成長から見れば、1パーセントでいいのではと思いますが、矢張りインフレ気味の方が景気が保つと考えているのでしょう。しかしそれではドルは強くなれません。

 財政はFRBの管轄ではないが、政府債務の上限引き上げは当然やるべきとの考えを質問に答えて言っていますが、仕方ない所でしょう。

 ただ、金融の暴走については、問題を十分認識しているようで、「金融システムの強化につながる規制課題は、経済に長期的かつ重要な恩恵をもたらす」と、マネ―資本主義、国際投機資本を牽制するという一面も見せています。

 雇用については強い関心を払っていることを感じさせる発言は多く、雇用増が自分の予想より少なかったこと、長期失業が構造的に続くことを心配し、労働者の技能向上が必要とまで踏み込んでいるのには、(FRBの管轄外ですが)私も同感です。

 全体を通じて感じさせられたのは、雇用を更に改善し、物価上昇も2パーセントを確保し、アメリカ経済の強さを回復したいという意欲ですが、一方で財政赤字の長期化を心配しつつも、政府債務の上限引き上げは必要ということで、テーパリングは継続しながら、基本的な金融緩和は継続し、財政支出も活用して、アメリカ経済を強くすることに力を尽くす、といった感じのものになっています。

 然し、財政赤字や金融緩和は、アメリカ経済を強くする前に、アメリカの経常赤字の継続(増加?)に貢献してしまって、結局そのファイナンスのための、金融緩和、財政赤維持に行き着くという堂々巡りから抜け出る本当のシナリオにはつながっていない、という印象です。これはアメリカの痼疾でしょう。

 アメリカ経済は、何とか自分を大きく見せようと「背伸び」という無理を続けて来ているのは明らかです。日本流に言えば、「財政赤字・経常赤字(双子の赤字)という2本の竹馬に乗って」という所かもしれません。
 しかし、かつても書きましたように「背伸びしたままではジャンプは出来ない」のです。

 シェールガス・オイルというブースターも力不足のようです。今後もFOMCのたびにガタガタしたり、財政の崖回避に奔走したりという状況は続きそうです。
 矢張り「アメリカは何処へ行く」という心配は変わらないようです。