tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2014春闘:労使に論議して欲しいこと

2014年02月16日 16時37分57秒 | 労働
2014春闘:労使に論議して欲しいこと
 長い間春闘も出来なかった円高不況から脱し、ようやく正常化路線に乗ったかと思われる日本経済の中で、久しぶりの春闘が、いよいよ労使の論議たけなわの時期を迎えようとしています。

 本当に久しぶりの本格春闘ですから、労使双方とも、春闘のやり方を継承していない幹部も増え、何となく戸惑っているような状況も見受けられるところです。

 かつて、日本の労使は「日本経済社会の安定帯」を共に自負し、それぞれの心情や理論構成、アプローチに違いはあっても、目指すところは「それぞれの企業、産業の発展による日本経済の安定的発展」を目指すところは共通でした。

 この伝統は基本的には、今も確実に受け継がれているようですが、もう一つ、さらに進んだところで言われていた「春闘は、労使を中心にした国民的学習集会」という点については、労使の論争はいささか単純化され過ぎているような気がしないでもありません。

 これも春闘についての知識が不足してしまっているマスコミのせいかもしれませんが、「労組はベアにこだわり、経営側は、賃上げには多様な形が」というのが主たる主張の違いといった印象を受けています。

 一方、今の日本における経営、経済の問題点を見ると、収益好調なのは、どちらかというと製造業大企業中心で、同じ製造業でも中小企業では未だ好況感には、なお遠い所も多いようです。

 また、景気回復が言われながらも、非正規労働の比率は一部には増加も感じられるような状況で、不安定雇用のもたらす生活の不安定な所帯の増加、所謂格差社会の問題の改善はいまだ今後の見通しは定かでないようです。

 かつて春闘では、労使は共に「日本経済社会の安定帯」との視点から雇用か賃金かの問題が論議され、雇用が第一義といわれ、消費拡大には、賃金上昇と雇用の安定のどちらが有効かが論議され、大企業と中小企業の格差改善には下請代金の問題や労労問題(労働者間の配分問題)も巻き込んだ労使共通の課題といった問題も論議のテーブルには載っていたと記憶しています。

 さらに今日的課題で言えば、「円レートと海外生産・国内回帰の選択」といった問題も、国内雇用を重視した場合、労使共通の問題点であり、重要な関心事項のはずです。

 今年はいわば春闘再開第1年です。先ず「ベア」と「多様な賃上げ」が主題になるのはやむを得ないでしょう。しかし、労使は「日本経済社会の安定帯」、春闘は「国民的学習集会」を目指すならば、さらに進めて、日本経済の質的構造の底上げを目指す上記のような諸課題についても、是非 視野に入れていただき、お互い腹を割って、真剣に話し合って欲しいと思うところです。