tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

これから伸びる日本経済:2、国土強靭化など

2013年12月05日 10時32分58秒 | 経済
これから伸びる日本経済:2、国土強靭化など
 もう日本では内需はそうは伸びないよ、という意見は結構あります。本当にそうでしょうか。
 経済というものは、どうもそうではないようです。フロンティアは、人間生活の高度化という質の世界にあるようです。そうでなければ、現に日本が戦後、限られた国土の中で、世界随一の経済成長をしたことの説明はつきません。
 我々の生活を、より豊かで、より快適なものにすることを考えれば、経済成長の可能性は無限です。

 そして、多分それは世界の共通の目的になるでしょう。省資源、省エネ、環境浄化、快適な国土建設、海外が日本を見習い、日本の技術を活用するようになれば、日本の平和と安全、経済の基盤は確実になるでしょう。 

 おりしも、昨夜、国土強靭化法が成立、政府は国土強靭化政策大綱の案を纏めたようです。丁度1年前の笹子トンネル事故の教訓もそうですが、安全は世界共通の目標です。

 日本には「転ばぬ先の杖」という諺があります。「安全第一」は最も重要な作業現場の標語です。英語でも Safety pays と言いますが、経済計算をしても、「安全はペイする」のです。事故が起こってからのコストは常に膨大です。

 メンテナンスのコストは、一見無駄のように見えますが、その必要性を洞察する事こそ人間の知恵でしょう。
 戦後建設してきた高速道路を含む交通インフラ、典型的な例として首都高の劣化・改修問題が指摘されていますが、全国各地でトンネル、橋梁等の多くの所で老朽化が問題になっています。

 もちろん事故が起きてからの復旧・復興でもGDP は増えますが、それは、事故を予防するための強化・改修工事とは全く異なるものです。
 これは従来の官庁の単式簿記では解らなくても、民間と同じ複式簿記を導入すれば、バランスシート上で違いは明らかです。
 今、問題にされている、国土強靭化の大事なところはまさにそこです。「転ばぬ先の杖」の考え方が国土強靭化には必要でしょう。此処から発生する国内需要は膨大です。

 他方で、赤字の続く貿易収支をしり目に、経常収支の方は黒字幅を拡大する様相と報道ささています。いつも指摘していますように経常収支の黒字とは「日本国民が汗水たらして働いて創出したGDPを使い残すこと」で、このカネは通常海外に貸し出されることになります。そしてそれは、往々にして、円高誘発の原因にもなります。

 GDPは出来るだけ使い残さず、使い切ってこその内需拡大です。
 従来の発想で行けば、建設国債を発行して公共事業で国土強靭化を図るということになるのでしょう。建設国債でも発行は問題だというのであれば、民間の参加のための方途を講じ、民間の参加意欲を掻き立て、民間の活力を生かしたインフラ投資への道を開くことを多角的に検討すべきではないでしょうか。日本人の知恵が期待されます。