tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカは出口に近づいているのか

2013年12月26日 11時06分00秒 | 経済
アメリカは出口に近づいているのか
 何となく円安が進んで$1=¥104円台に来ました。アメリカが超金融緩和からの出口戦略に踏み切ったからでしょうが、過日のFOMCの決定も何か「及び腰」ですね。

 FOMCの発表では、失業率とインフレ率を特に重視していて、失業率6.5パーセント以下で雇用増が進むかどうか、インフレ率が2.0~2.5パーセントに巧く収まるかどうかといったところが「出口到達」への目標とされている様ですが、短期的、表層的な事しか考えていないように思えてなりません。

 失業率が6.5パーセント以下なら満足するというのは、日本とは違うお国柄を考えれば、それでもいいのでしょう、しかし年2パーセントのインフレが健全だということになると、世界の基軸通貨の価値が毎年2パーセント減価するのですから、10年たつと22パーセントもの減価です。他の国の通貨も年率2パーセント以上減価しないとアメリカ(基軸通貨国)の国際競争力はなくなります。それでいいのでしょうか。

 本来、アメリカにとって最も大事なことは、出口戦略を実行する中で、今回の超金融緩和の真の原因であるアメリカの双子の赤字の改善が出来るのかという問題でしょう。
 折しも、シェールガス・オイルという新資源が開発され、アメリカに毎年従来の経常赤字(GDPの2~4%)に匹敵するぐらいの価値をもたらしてくれそうです。これは関連する雇用の増加にも大きな貢献でしょうし、双子の赤字削減(解消)への強力な追い風です。

 それでは此の所のアメリカの経常赤字幅はというと、2013年の予想は対GDP比で2.7パーセントです(世界経済のネタ帳)。2002~2008年は4~5パーセントでしたから、シェールガスの好影響が出ているのかもしれません。しかし赤字は変わりません。

 今回の出口戦略の影響はどうなのでしょうか。アメリカ経済が引き締まって、経常赤字が減るのか、それとも失業減、インフレ傾向、消費増、好景気になって赤字が増えるのか。放置すれば後者の可能性が高いのではないでしょうか。

 アメリカが黒字国になってくれれば、世界経済には大きな朗報ですが、今回の出口戦略ではその関連には全く触れていません。40年以上続いたアメリカの経常赤字が解消するのは相変わらず至難のようです。

 出口戦略はごく表面的な好況の追求で、恐らくアメリカはまた赤字のファイナンスに追われることになり、その結果、一定の時間後に世界経済にまた新たな混乱をもたらし、また超金融緩和で当面を糊塗することになるのでしょうか。
 出口戦略は「本当の出口」には、とても行き着きそうないような気がするのですが。