tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ME化と雇用問題

2013年09月20日 11時09分42秒 | 労働
ME化と雇用問題 
 任天堂の第二の創業者というべきでしょうか、山内さんが亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
 多くのマスコミには、任天堂の再生にrついてファミコン開発からしか書いてありませんが、その前に任天堂が出した累損一掃のヒット商品 Game and Watch の思い出を是非書いておきたいと思います。

 ゲームアンドウオッチの最初の作品は確か BALL で、1980年発売です。手のひらサイズの液晶ゲームで、名前通り時刻の表示がついています。単純なロボット人間が、左右の手で順番にお手玉のようにボールを上げては受けるのですが、ボールの軌道が3種類ぐらいあって、左右の手をそれに合わせて延ばしたり縮めたりしないとボールが床に落ちクラッシュです。

 ちょうどそのころ、労働経済の分野では「ME化と雇用」の問題が花盛りで、「企業(工場)のME化で大失業時代が来る」といった意見が多かった記憶があります。
 当時、よく顔を出していたOECDのLMP(labour management programn)でもこの問題を取り上げました。

 「任天堂さん、これはいいものを作ってくれました。」とわたくしは大喜びで、電気店に買いに行きました。ところが電気店では「ゲームアンドウオッチ」を知らないのです。たまたま知っている店員さんがいて「あ、あれはおもちゃですから、うちにはありません。玩具店に行ってみてください。多分あるでしょう。」という事でした。

 早速駅ビルのおもちゃ売り場で買って、OECDの会議に持って行きました。
 会議で私の言いたかったのは、「ME化で、工場などの省力化は進むでしょう。しかしMEは今後色々な産業分野を拓くでしょう。そこでは雇用が増えます。」ということで、「日本ではすでにこんなものを開発して売っています。雇用の喪失より、新たな雇用の創出を考えた方がいいのではないでしょうか。」
ということです。

 会議で隣に座っていたイギリス代表の大学の先生でコンサルタントをしているという男が、「僕の子供がきっと欲しがるだろうから、良かったら譲ってくれないか」というので「ご子息にプレゼント」と言ってあげてきました。

 「ME化と雇用」といった問題が、世界的に話題になった頃の、懐かしい想い出です。

 その後の任天堂さんの発展はすごかったですね。ゲームは買いましたが、任天堂さんの株を買っておくという才覚がなかったのが後から考えれば、残念です。