tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平成25年度の政府経済見通しを見る

2013年01月29日 15時04分13秒 | 経済
平成25年度の政府経済見通しを見る
 昨日、平成25年度の政府経済見通しが発表になりました。全体から見て、新政権は、「日本経済再生にいよいよ本気だな」と感じられるものになっています。

 もちろん、行き過ぎた円高が20年以上も続いた長期デフレの後で、急激に円高を是正し、デフレ解消、多少インフレになってもいいから成長経済を取り戻すという「大技」をやるわけですから、簡単ではありませんし、誰も経験したことの無い事ですから「見通し」を建てるのも容易ではありません。

 すでに、「円安誘導は怪しからん」などという見当違いの発言も入り、まだ円高是正の成否も不明確ですから「とらぬ狸の毛皮の値段」論じるのも多少気が引けます。
 ただ、これで、日本の本気度を確りと示し、「何があっても今までのような理不尽に屈するつもりはない」という確固たる意思表示が読み取れなければならないというのがこの経済見通しの使命でしょう。
 
 その意味では。この経済見通しは「ほぼ合格」なのではないでしょうか。最下欄の「経常収支対GDP比」は、私は、思い切って±0でもいいと考えていましたが、災害復旧と原発処理に金がかかった昨年度の0.9から1.0パーセントへというのも、まあまあでしょう。赤字にして外国から借金するようなことはしない、という日本らしい所の表れと言えば、後は、それをどう諸外国が判断するかでしょう。

 一番上の、成長経済への明確な復帰、GDPの名目実質の逆転、デフレからインフレへの転換は、まさにこれが本来の目標ですからから。MUSTですね。
 10パーセント円安で、大まかに言えば、日本経済は「ドル建てで10パーセント縮小、それを、1~3年で回復とすれば「年に約々3パーセント」の成長ということですから、円建とドル建てのギャップを、2.7パーセントGDP増と0.2パーセントの物価(GDPデフレータ)上昇で埋めるという計算です。
 資源価格の影響もうける消費者物価は1パーセント上昇。これも妥当でしょう。

 就業者は27万人(0.4%)増え、失業率は0.3%下がり、生産(GDP)は名目2.7パ-セント、実質2.5パーセントの上昇ですから、当然賃金も上がるわけで、この数字は、多分、2パーセント弱で、閣議了解が閣議決定になれば、分配国民所得の内訳として発表されます。

 今、春闘の場で問題になっているのは、定昇問題が中心ですが、こうした成長経済の構図がはっきりすれば、当然、1人当たり雇用者報酬という形で賃金水準の上昇が政府経済見通しの中に出て来るわけで、本来これは労使の問題として、労使間で論議されなければなりません。

 こうしてまともな日本経済の姿が、枠組みだけでも見えてくるというのは、本当に久方振りで、これも基本的には、プラザ合意(1985年)以来の行き過ぎた円高が是正されるのが前提ですから。今の為替レートの決定方式も含む、マネー資本主義というものが如何に世界経済を毒しているかが知られるところです。