tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1割の円安で何が出来るか(何に使うか)

2013年01月22日 08時55分30秒 | 労働
1割の円安で何が出来るか(何に使うか)
 現状、円安は行き詰まりの様子です。$1=¥90に爪先がかかったり外れたり、どうしたこの階段1段を登れるかという所でしょうか。
 口先と金融で、実体経済が動くには、それをよく理解した企業の具体的な行動がなくてはなりません。政府は、企業が本気で行動を起こすために何をしなければならないか、1月29日に閣議決定する来年度予算の中で、企業に伝えていかなければなりません。

 企業、そして国民は、「頑張れば頑張るだけ円高になって苦しむといった時代は終わった」と確信した時、必ず積極的な活動に入るでしょう。そうした「国際為替環境」を作るのは政府・日銀の役割で、それをベースに成長経済を取り戻すのは、企業の役割でしょう。

 いくらまで円安にすればいいのか、というのは、私も良く受ける質問ですし、テレビで(安倍総理のブレーンと言われる)エール大学の浜田教授も記者の質問を受け「$1=¥100」辺りと答えて言うのを見ました。

 企業の経営者、企業で働く方々の感覚からすれば、企業が 「これなら、国内に投資してもやっていけそうだ」 と思うところがまさにそこです。
 そして、日本の企業は、本来、従業員を最も大事にする伝統を持っていますから、多少無理をしても、出来ることなら国内で生産しよう、国内の仕事を増やそうと努力するはずです。そして、従業員・労働組合は、それに応える気持ちは確り持っています。
 
 為替レートが正常な水準に戻れば、何が出来るか、そして労使は何を優先すべきか、こうした議論が早く復活することを願うところです。
 経済学で図式的に言えば、雇用賃金の改善と言いう事でしょうが、今の日本では、もう少し、具体的に現実的なポイントを見ておくべきでしょう。

 それは、円高デフレ不況で、どこに最も皺が寄ったかを直すことから出発すべきでしょう。端的に言えば、企業はこの十数年、コスト削減のために、やってきたことの裏返しです。10パーセントの円安は、日本国内のコストが国際的には「10パーセント下がった、」ということです。これは順次、労使双方に均霑されるべきものです。
 まずは、非正規雇用の是正、非正規雇用は本来、正規雇用で働きたくない人のための制度です。就職氷河期問題、新規学卒の安定採用の復元、教育訓練費の徹底削減から新入職員の導入教育の徹底、安全から始まる現場・管理者教育の再興、生産性上昇に応じた賃金の引き上げの復活、・・・・。
 日本の安定した労使関係は、こうした問題への取り組みを、労使の信頼関係の下で話し合うことを可能にするでしょう。

 これらが出来て初めて、失われた20年の中で劣化を続けてきた日本社会が、以前の安定した日本社会に戻る体制が整うのではないでしょうか。