tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカは財政の崖を回避できたのか?

2013年01月06日 11時18分23秒 | 経済
アメリカは財政の崖を回避できたのか?
 報道では、アメリカが当面財政の崖を回避することが出来たようで、その結果、先ずアメリカで株が大幅に上がり、日本でも1月4日の日経平均は大幅高になりました。
 しかしアメリカは本当に財政の崖を回避できたのでしょうか。

 回避できたと言っているのは、アメリカ自身で、自分でやって「出来た、出来た」と自分が喜ぶのは結構ですが、よそから見れば何も出来ていないとしか見えないというのが本当の所ではないでしょうか。

 もともと財政の崖というのは、いつまでたっても双子の赤字が続くアメリカが、いつかは、自分自身の手で歯止めを掛けないといけないと反省し、今回のように、「いついつ」と期限を決めて、財政赤字の縮減を実行する計画を立てたものでしょう。
 しかし1970年代以来、アメリカはそうした決心で自分の赤字体質を改善できたことは(ほぼ)ありません。

 政府が国民にそれを強いようとすれば、国民は政権党を変えてしまいますし、共和党も民主党も野党になるより国民に迎合する方を選びます。覇権国、基軸通貨国ですから、世界中から借金し、ドルをどんどん切り下げて、遣り繰りしてきました。ですから「今回は出来る」と言っても、結局中途半端です。今回も結果を見れば、そうですね。

 根っこは、稼ぐより余計食べてしまう「キリギリス体質」にあるのに、国民は、赤字脱出という大ジャンプを「背伸びしたままジャンプしたい」と言い、政府は、内心はジャンプのためには一度膝を曲げて、背を低くしなければといつも思いつつ、そうは言えず「アメリカが身の丈を縮めれば(自分の生産力に見合った耐乏生活をすれば)世界中に迷惑をかけるので、それはしませんということになり、世界の国々も、「対米輸出が減るのは困る」と言い、結局はアメリカは借金で赤字を糊塗し、当座を済ませるのです。
 だから今回も、また「すぐそこに新しい崖」が待っているなどと言われるのです。

 しかし、今回はよく見ると少し様子が違います。かなり強いドルの反発力が見られることです。日本から言えば円安です。急激に$1=¥90に迫ろうとしています。何故でしょうか。

 私にもまだはっきりしたことは解りません。しかし今起こっている諸要素の中で、1つ今までにない新しいのは、アメリカでのシェールエネルギーの生産増です。アメリカが世界最大の石油・天然ガスの産出国になるという意見もあるようです。

 FRB(アメリカ中央銀行)の中にも、ドル安維持のために金融緩和は継続という意見が多い中で、この円安、ドル高は異常です。安倍さんの口先介入もあるでしょう。しかしそれにしても・・・、異常なドル高ではないでしょうか。

 タイミングが合っているから、この時点で、正確な分析は不可能でしょうが、新しい要素が入ってきたことは明らかです。
 アメリカは背伸びしたままでも、シェールオイル・エンジンをつければ、ジャンプできる可能性が出てきます。日本には大変な朗報です。