tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

インフレの前兆どう見分ける?

2013年01月04日 20時25分27秒 | 経済
インフレの前兆どう見分ける?
 20年もの間自国通貨の高すぎる評価のために(行き過ぎた円高)のためにデフレ基調の経済が続いた国がインフレになるとき、どれだけの時間をかけていかなるプロセスを辿るかなどは、正直言って、どこの国でも経験ありませんから、解るものではないでしょう。しかし経済学の常識から言えば、何か前兆はあり、それなりのプロセスがあると思われます。

 経済事象の現場を注視していれば、恐らく何か解るだろうと思います。それを正確に読み取り、遅滞なく手を打てば、そんなひどいことは起こらないで済むでしょう。
 プラザ合意のためにデフレになった時も、政府も日銀も、殆どの経済学者も、デフレの原因が円高であることをすぐには理解せず、多くの人達は「デフレだから円高になる」と逆の事を、実はついこの間までも言っていました。それでは手遅れも当然です。

 インフレは多分時間をかけて、ゆっくり遠き始め、ひどくなる時には、はっきりと原因が解るでしょう。多分問題は、先ず分析力・理解力、さらに洞察力の欠如、そして、政策展開の遅れなどに起因することになるではと思われます。 
 現実的には、そうした構造的なインフレよりも投機資本の動きによる心理的なインフレが先行する心配も必要なようで、投機資本の動きを牽制する方が大事になる可能性もあるでしょう。「悪質」な投機資本に対しては、為替管理が最も有効で、日本はそこまでやるぞということを平時からはっきり表明し、主要国の支持を確認しておくことも大事かもしれません。
 
 しかしそれも例えば、現状で、¥が、90円から100円くらいで行きつ戻りつしていれば、特に問題ないでしょうが、120円とか150円を越えて未だどんどん円安になるといった場合には要注意、といった程度の事でしょうか。

 日本は、資源の多くを輸入に仰ぐから、円安がインフレを呼ぶのが心配などいう言説を過大に評価し、心理的に慌てることの方が心配で、この辺は第一次オイルショックの時にはあんなに上がった物価が、第二次オイルショックの時には問題にもならなかった、というあの違いを教訓に、先ず騒ぎすぎないことです。輸入依存度と円安の数字から、正味の物価への影響などは簡単に算出可能です。

 日本経済が構造的なインフレを起こすとすれば、それは円安や輸入インフレが、「ホームメイドインフレ」、つまり賃金コストプッシュインフレに転嫁された場合の事です。
 これには、春闘が活発になり、生産性を超える大幅賃上げが毎年行われることが必須条件ですから、もう日本の労使には良く解っていることで、心配することはないと思われます。

 当面気を付けることは円安のペースということになるわけですが、差当たっては、円高に戻ることの方が心配ですから、落ち着いてよく観察することで十分でしょう。