tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネーから人間への回帰

2012年07月04日 11時06分44秒 | 経済
マネーから人間への回帰
 今のマネー経済学、金融中心の経済政策全盛の時代というのは、歴史の流れから見れば、自由経済、民主主義の発展の中で、たまたま、誤った道に踏み込み、挙句、道に迷って戸惑っているという1つの段階という事になるのでしょう。

 多くの先進国の中で、ドイツや日本などのように、真面目な労使関係を築き上げ、労働と資本への分配関係を健全に保とうと努力する国と、その他多くの国のように、労使の信頼関係が薄く、常に労働分配率が上昇傾向で、それが賃金コストインフレを生み、国際競争力の弱体化からスタグフレーションになり、財政政策に頼った結果、財政も国際経常収支も赤字になり、結局は自国通貨の切り下げで凌ぐという国が出来てしまい、それが固定化してしまうという時期なのです。

 固定化せずに、各国が赤字の年もあれば黒字の年もあるといった状態であれば、「お互い様」で済むのですが、これはどうしても固定化するようです。

 理由は、その根本原因が、国民意識、労使関係(労使の相互理解がどこまで進んでいるか)の成熟度の問題で、こうしたものは、国民性などもあり、一朝一夕には変わらないからです。

 そしてその対応策として、安易な為替レート変更や、国際資本移動で済まそうとするマネー資本主義が考え出され、何とかそれで解決できないかと模索する時代が今日という事でしょう。

 だから、労働経済や労使関係は(本当は最も重要なのに)影が薄くなり、金融工学者がノーベル賞を貰うという困った現象が起こり、世界経済の混乱に拍車がかかるようなことになっているのです。

 この混乱がますます深刻になり、マネーゲームでは解決不能という事が次第に広く理解されて、やっぱり、経済発展の基本は、実体経済にあり、実体経済の成長のためには、それぞれの経済主体(国家経済)における付加価値(GDP)の健全な労働と資本への配分関係の達成が最も大事だった、と気が付いた時、世界経済は正常化に向かうのでしょう。

 これは、経済の主(あるじ)として、マネーに代わって、人間が復権するという事です。
 やはり経済も社会も主人公は人間だった、という事に気づき、マネー経済学に代わって、労使関係、労働経済学の重要性が再認識される日が早く来ることを願うばかりです。