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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

RCEPの議論に注目

2017年02月27日 21時28分39秒 | 国際経済
RCEPの議論に注目
 今日からRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)の交渉会合が神戸で始まりました。
 以前、アメリカの入っているTPPは何となくうさん臭くて、アジアの自主性を貫ける RCEPの方がアジアの国々は安心できるのではないかと書きました。

 現実は、まさに「奇なり」で、アメリカがTPPを否定し、折角の環太平洋の国々の自由貿易への努力は水の泡となり、結果的にRCEPだけが残るという事態になりました。

 TPPが何となくうさん臭いというのは、万年赤字のアメリカが、自由貿易のために国際協調の輪に入るという事はどう考えても、さらなる自由化を推進するためとは思えない、多分力ずくで、アメリカが有利になるような中身にしようとするだろうと見ていたからです。

 しかし結果は、結構まともな線に落ち着くような様子になり、これではアメリカとしては譲歩のし過ぎで、赤字は減らないんじゃないかなどと考えていたのですが、最後は、トランプ大統領の登場で、とんだ予想外の結論「アメリカはTPPなど認めない」、即離脱(規定によりTPPは成立しない)という事になりました。

 大統領が変わったことで、「アメリカは得にならないことはやらない」という考え方がはっきりしたのかもしれませんが、お蔭様でRCEPの方が、本格的に脚光を浴びることになってきたようです。

 まだ始まったばかりで、これからの議論がどう発展していくかが問題ですが、RCEPには中国、インドも入っています。アメリカの政治的混乱で、否応なしに「アジアの世紀」の本格化が加速しなくてはならないのかもしれません。

 中国、インドといった巨大国が入って、またいろいろと違った難しさがるのかもしれませんが、ホスト国である日本がどれだけの役割を果たせるか、注目も浴びるでしょうし、それに立派に応えられるリーダーシップか調整能力かを発揮しないければならないでしょう。

 独り立ちした日本の力量、そして、アジアのアジアらしい共生の思想が、どこまで可能性と実現性を持つのか、日本、そしてアジアの実力が試されることになるのでしょう。しっかり見守りたいと思います。

 
 


トランプ政権はドル・レートをどう見ているのか

2017年02月24日 11時56分40秒 | 国際経済
トランプ政権はドル・レートをどう見ているのか
 トランプ政権は、中国や日本を為替操作国だといいました。これで日銀は、金融政策がやりにくくなったなどという解説もありましたが、トランプ政権の登場で当初円安になっていた円レートが、昨今はじりじりと円高方向に動いているようです。

 報道によれば、FRBのイエレン議長は、今年は金融正常化促進の方向を考えていたようですが、トランプ政権の経済政策が、リーマンショックの反省からの金融システムの健全化路線といささか違うようなので(ドッド・フランク法の廃止など)、従来の路線が見通せなくなり困っているようです。

 現状では、トランプ大統領が何か言うたびに、為替市場はそれを反映し、ドル高になったりドル安になったりしています。トランプさんは、為替に介入するつもりはないのかもしれませんが、結果的に為替操作になってしまっていることは現実でしょう。

 現状では、トランプ政権の経済政策は、何はともあれ、内需拡大、アメリカ・ファーストで、史上最低に近い失業率の下でも、遮二無二雇用拡大を推進するということのようですが、ただでもコスト高のアメリカで、さらに人件費が上がりそうな政策ですから、アメリカの競争力は弱体化の方向でしょう。

 早くシェールオイルやガスを一杯掘らないと国際収支の赤字はますます増えそうです。
 まさかその結果を「為替操作国がアメリカに沢山輸出をするからだ」とは言わないと思いますが、今でもドルは高すぎるなどと言っているのでどうでしょうか。
 盟友「シンゾー」の国には手加減してくれるのでしょうか。

 ムニューシン財務長官は、ゴールドマンサックス出身ですから、為替の事は知悉しているでしょう、インビューで低金利は当分続きそうと発言(今のドル安は容認)、長期的にはドル高が望ましいと優等生のお返事です。

 トランプ大統領は為替問題には大変関心が深いようですし、日本も円レートには極めて敏感です。今後の為替動向は、大げさに言えば、日米経済の命運にもかかわりそうです。

 FRBと政権の考え方の食い違いで、ますます混迷しそうな為替相場ですが、トランプ大統領は、自身の一挙手一投足が為替に影響し、世界経済を不安定にするような状況に思いを致し、為替の安定、各国経済の安定に、少し本気になって欲しいものです。

アメリカの利上げ遠退く、日本は?

2017年02月07日 12時48分03秒 | 国際経済
アメリカの利上げ遠退く、日本は?
 アメリカの金融政策の正常化は昨年12月順調に進み始めたかに見えましたが、今年に入って、また先行き不透明になったようです。

 今年は3回の利上げなどと言われていましたが、最近の報道では3月は取りやめになる様で、足元の雇用は堅調で、物価も2%強の上げ基調ですが、、政治の混乱は当分続きそうという事で、先行き見通しを固めることは容易ではないでしょう。

 昨年来の雇用堅調というのも、経済実態を反映しての事なのか、トランプ発言で「雇用創出」が連呼されるのを先取りした形なのか、読み切ることは難しいでしょうから、雇用と物価を判断材料にという利上げ方針も、安易な判断はできないというところではないでしょうか。

 トランプ発言を先取りしてでしょうか、米国各地で最低賃金の大幅な引き上げがみられたりといった動きもあるようですが、ただでもコスト高のアメリカで、「偉大なるアメリカ」の掛け声に反応して、雇用や賃金に対する先取り現象が出るようであれば、トランプ経済政策には黄信号が出かねないでしょう。

 3月の金利引き上げがなさそうということで、ドル安・円高になっているようですが、トランプ大統領は、アメリカの貿易赤字の原因という事で、日本も為替操作国に入れてしまったようです。
 
 為替操作国の定義は難しいでしょうが、リーマンショックの後、異次元金融緩和、2%インフレ目標という政策を打ち出したのはアメリカで、そのお蔭で円は$1=¥120から80円に大幅円高になりました。

 黒田日銀の異次元金融緩和はまさにそのコピーですが、アメリカならOKで、日本がやると為替操作になるというのがトランプ大統領の判断のようです。
 現実には、トランプ大統領のツイッター次第で、$1=¥は1~2円容易に動きますが、これも結果的には為替操作と思う人は多でしょう。

 少し余計なことを書いてしまいましたが、前にも書きましたが、 矛盾の多いトランプ経済政策では、アメリカ経済の安定的な成長、黒字国への転換は容易ではないように思われ、漸進的、着実な経済と金融の正常化を目指しているFRBの路線と整合的に動くことは、短期の思惑はともかく、中長期には極めて難しいでしょう。

 アメリカが利上げを着実に進めるというのであれば、そうは円高にならないという見通しも立ちましょうが、アメリカが混乱を極める中で日本は、経済政策、その与件となる為替政策をどうするのか、ますます問われそうな気がして心配しています。

トランプ大統領のアメリカ:経済政策は矛盾の集積

2017年01月23日 11時07分34秒 | 国際経済
トランプ大統領のアメリカ:経済政策は矛盾の集積
 トランプ大統領の最大のアッピールは「雇用の創出」です。
 皆様ご存知のように、雇用は従属変数で、主体は生産活動です。ですから景気動向指数でも、雇用は遅行指標です。

 経済が活況を呈して初めて雇用は増えるのですが、就任演説の中でも主張しているのは、先ず、海外(特にメキシコ)からの労働力(不法就労)の流入を止めることで、これは当面アメリカ人の雇用を増やすことには合理性を持つでしょう。

 経済活動の活発化については、先ずインフラの整備に1兆ドルの投資でしょう。経済活動活性化、雇用の創出のルールは簡単「buy American, hire American」と言います。

 確かにそれが出来れば雇用は増ええるでしょう。問題は、そうした政策が現実に実施、実行できるかどうかです。
 この辺りは、来月になるトランプ予算教書で、ある程度具体的な政策は出てくるのでしょうが、単純にアメリカ経済の収支計算をしてみても、かなり難しそうです。

 1兆ドルのインフラ整備にしても、今のアメリカのインフラ老朽化を考えれば、とても足りないでしょう。さらにそのカネは政府が出すのではなく、民間の力でという考え方のようですが、経験的にみても容易ではないでしょう。
 マネーゲーマーたちにカネを出させるというのでしょうか。

 もし政府が出さなければならないとすれば、政府の赤字は増えるでしょう。アメリカの痼疾でもある双子の赤字の深刻化懸念は付きまといます。
 何れにしても経常赤字が増大する可能性は高いでしょう。そのファイナンスは、ドッド・フランク法を廃止し国際マネーゲームで調達でしょうか。

 バイ・アメリカンも愛国精神に訴える効果はあるでしょう。かつても、日本製の車を街頭で叩き壊したり、輸入反対の動きはありました。
しかし、アメリカの消費者が、愛国心と同時に「良い品を安く」と考えれば、外国製品はアメリカに入ります。国境で自由経済の流れを完全にストップすることはできません。
自由経済をやめることは猶更出来ないでしょう。

 もし、buy American hire American を徹底すれば、アメリカの物価は上がらざるを得ないでしょう。実質賃金が下がるのは我慢できないでしょうから、賃上げ圧力が強まって、コストインフレになる可能性が高くなります。

 割高のアメリカ製品は、外国では売れないでしょう。アメリカの国際競争力は落ちます。ならば、ドル切下げで競争力をつけるのでしょうか。金融市場の操作はお手の物というのではないでしょうが。

 このジレンマを脱出する方法は大きく2つあるように思います。1つは、シェ―ル・エネルギーを増産して外貨を稼ぐ、つまり産油国になる道です。
 もう1つは、「外国の国境を守る」ことをやめ、核を含む軍縮で原資を賄うことですが、核増強が主張されているようで、難しいでしょう。

 このブログでは、企業のCSR になぞらえて、国については NGR(nation’ s global responsibility)という概念を提唱していますが。いずれにしても、アメリカさえ良ければになりそうで、この概念からは遠いようです。

 アメリカの取るべき王道は、アメリカ(の国民)が徹底して働き、浪費より貯蓄を旨とし、技術分野でも、働き方の分野でも、かつての様に世界に冠たる地位を占めることでしょう。経済指標では「経常黒字国」という形で示されます。

 世界の覇権国、基軸通貨国が、第二次大戦後のような、実力のあるアメリカを取り戻すことがトランプ大統領の念願でしょう。アメリカの成功を願いつつも、例え成功しても、何か一時代遅れたアメリカが誕生するような気がします。

アメリカが最強の為替操作国に?

2017年01月19日 11時47分44秒 | 国際経済
アメリカが最強の為替操作国に?
 トランプさんはいよいよ明日、アメリカの大統領に就任しますが、さて、どんな大統領が生まれるのでしょうか。

 選挙期間週にトランプさんは、中国を名指しで「為替操作国」と指摘し、最近も、中国の安価な製品がアメリカの雇用を奪っていると言っているようです。
 一方、中国の方は、かつては人民元安を経済の生命線のように考え、アメリカその他からの人民元切り上げ要請をかたくなに拒んできました。
 
 勿論共産党一党独裁の国家で、自由化して来ているといっても為替管理は厳然として機能している国ですから、日本などとは違います。
 しかしプラザ合意で円高を安易に受け入れて、「失われた20年」の辛酸を舐めた我々から見れば、その頑張りも羨ましく見えたことも事実です。

 しかし今、中国は、人民元安が過度に進めば、海外からの資本が引き揚げに動く危険を感じ、外貨準備が急減するほどドル売りをし、人民円安に抵抗しているようです。

 トランプさんは知ってか知らずか、アメリカの貿易不均衡はドルが高すぎるからと感じ、ドル安にする必要に言及したようです。
 折しも、FRBは利上げに動き始めています。これは当然ドル高路線です。トランプさんにしてみれば、このままドル高になれば、旗印の雇用拡大も画餅に帰しかねません。

 状況から見れば、ドル高阻止、ドル安政策は、これからのアメリカにとって必須でしょう。国境税や関税は、自由貿易協定やWTOなどいろいろ問題があります。
 しかし、マネー資本主義は為替の自由な変動を認めますし、為替の動きをリードする主要な国際投機資本の主はマンハッタン、ウォール街ににいるようです。

 トランプ政権の閣僚の顔ぶれを見れば、国際マネーゲームを知悉している方々もおられるようです。加えてトランプさんは「ドッド・フランク法」(注)の廃止も言っています。
 日本から見れば、アメリカ主導で$1=¥360と決め、その後、一時は4分の1以下の$1=¥80円にまでドル切り下げを主導した(?)アメリカです。

 アメリカが為替操作国になったら世界最強でしょう。さて、世界経済はどうなり、日本はどう備えればいいのでしょうか。
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(注)銀行の金融商品の自己売買やヘッジファンドへの貸し出しなどを規制するボルカールールを中核とする消費者保護法。

TPP雑感:環太平洋の大国、小国共栄の道?

2016年10月15日 16時21分14秒 | 国際経済
TPP雑感:環太平洋の大国、小国共栄の道?
 もともとアジアの新興国の経済共栄を目指すサークルだったTPSEPに、アメリカが興味を示したのでしょうか、更なる広範囲、高度な自由貿易協定を目指し、アメリカ主導のTPP交渉に至ったというのが基本的な動きでしょう。

 第二次大戦後、超健全で強力な経済力を持つアメリカは覇権国として世界をリードする力を持っていたのでしょう。
 しかし1970年代以降、その力を失い、万年経常赤字国・借金国に転落しても、相変わらず世界のリーダとしての役割を担おうとしています。

 しかし、国でも家計でもそうですが、盤石と思われた黒字国から、外国から金を調達しなければやり繰り出来ない赤字国に転落すれば、矢張り行動の中身は変わって来ざるを得ないでしょう。
 ガリオア、エロアなど敗戦国の困窮に対してまで援助するアメリカから、世界から金を集めなければならないアメリカに変わったのです。

 国際間における貿易・資本移動の自由化、変動相場制の一般化、会計基準の統一といったアメリカンスタンダードの普及促進も、こうしたアメリカ経済の質的な変化の中で考えなければならないでしょう。

 サブプライムローン問題・リーマンショック発生で、アメリカの信用は低下し、それでも経常赤字のファイナンスに苦慮しなければならない中でのTPP主導です、当然日本でも警戒感は強いのが実態です。
 しかし、交渉当時、甘利代表は頑張ったのでしょう、フロマンさんの考え方もあったあのでしょうか、大筋合意が達成され、現政権は批准を急いでいます。

 自由貿易志向は原則正論です。しかし本当の中身は現実に動かしてみなければわからないのかもしれません。
 ところがここにきて、言い出しっぺともいうべきアメリカが、トランプ氏は兎も角、クリントン氏までTPP反対を表明する事態になっています。

 種々問題の取り沙汰されるISDS条項などはあまり論議されていませんが、大筋合意が、アメリカに有利であれば、アメリカは反対しないはずでしょう。
 ここにきて反対を唱えるアメリカ、批准を急いで、アメリカに圧力をかけようとする日本といった何か逆転の構図になっています。

 とすれば、大筋合意の内容は日本の有利なのでしょうか。それとも、有利不利ではなく、国際経済秩序をキチンと整備していこうという正論に則って現政権は批准を急いでいるのでしょうか。

 国会論戦は、利害が生じる産業の問題が中心のようですが、アメリカを説得して日本が指導力を発揮するというのであれば、TPPの理念も、環太平洋の大国も小国もともに手を携えて成長と発展を目指すような、利害関係の調整だけでない日本らしい理念が必要と思われるのですが、そうした準備はあるのでしょうか。

リーダー(基軸通貨国)の混迷は世界を混乱させる

2016年10月13日 10時47分47秒 | 国際経済
リーダー(基軸通貨国)の混迷は世界を混乱させる
 経済問題だけでなく、それを背景とする政治や国際・国内紛争も含めて、世界はかなりの混乱状態にあります。第3次世界戦争を言う人すらあります(私は人類の知恵を信じていますが)。

 この混乱を激化させないためにも、各国経済、そして世界経済の安定的発展は必須です。そのためにも、まず主要国はあらゆる経験、知識、学問を総動員して、一国経済、世界経済の安定発展への方途を模索すべきでしょう。
 第一の目標は、国内、国際を通じた格差社会化の阻止だと考えています。
 
 しかし、現状は問題が多すぎます。最も気になるのは資本主義の「マネー化」です。
 経営者が資本家にとってかわった経営者革命は、マネー資本主義の盛行で様相を一変しました。かつて「チューリッヒの小鬼たち」と言われた国際投機資本は、今や「マンハッタン、ロンドン、フランクフルト、ルクセンブルグの大鬼たち」に進化し、攻防と興亡を繰り返しながら、富の偏在、格差社会化を作り出しているようです。

 一方、福祉社会化は忍び寄る格差社会化と、先進国が一様に(先んじて日本が)悩む高齢化でその持続性が問われるようになり、一般庶民の先行き不安感を強めつつあります。

 矢張り今のマネー中心の資本主義は、根本的な資本主義のやり直し「マネーから実体経済へ」の改革が必要なのでしょう。
 そして、その前提は、本当のところを言えば「基軸通貨国アメリカの万年赤字」の是正でしょう。

 アメリカが経常黒字国になり、健全経済を取り戻し、マネー取引でファイナンスをしなくてよくなれば、G7、G20、OECD、国連での議論の様相も変わるでしょう。

 高齢化対応は「実体経済」の成長の中で計画されるようになり、余計なことを言えば、GPIFの活躍は後退するでしょう。

 アメリカの大統領選挙のあまりに情けない中傷合戦を興味本位に議論するのではなく、アメリカという猫の首に、「万年経常赤字を直すことが基軸通貨国の責務」だと、誰がどう鈴をつけるかが問われているように思います。

タックスヘイブン問題、追補

2016年05月10日 10時48分10秒 | 国際経済
タックスヘイブン問題、追補
 昨日タックスヘイブン問題を書かせていただきましたが、今日の朝日新聞朝刊の2面トップに、
 「パナマ文書 闇の一端
   タックスヘイブンの金融資産、日米GDPの合計以上か」
という記事がありました。 ご覧頂ければと思います。
 
 かつて「格差の拡大:マルクスの時代、ピケティの時代」で取り上げたピケティ氏ら350人の学者が、タックスヘイブンをなくすよう求める書簡を発表したことから書き起こしていますが、書簡では「タックスヘイブンが世界経済をゆがめていると強調している」とのことです。

 今度の伊勢志摩サミットで取り上げられるかどうか解りませんが、世界経済の安定発展のためには、こうした、「合法的に世界経済の正常な発展を阻害する」ような問題についての根本的な解決が必要でしょう。

 すでに、世界各国における税制の整合性といった問題も提起されています。
 こうした問題を、国家間の調整で行うのか、適切な国際機関が役割を担うのか、「国家の主権」にかかわる問題だけに、今の国際情勢の中では解決は容易ではないでしょう。
対応する人類の知恵が問われているのではないでしょうか。

タックスヘイブンと世界経済

2016年05月09日 11時36分18秒 | 国際経済
タックスヘイブンと世界経済
 パナマ文書がいろいろな意味で世界中に影響を広げそうです。

 解説によれば、パナマは「海外で上げた収益には課税しない」のだそうで、ならば、そこに会社の籍を置いて(便宜置籍船にパナマ船籍が多いように)例えばシンガポール(キャピタルゲインに課税しない)でマネーゲームで稼げば、政金なしになります。

 タックスヘイブンには正式な定義はないようで、通常、国としては数十の名前が上がり、それにスイス、ベルギー、ルクセンブルグ、オールトリアなどの世界有数の金融センター、さらにはシティーオブロンドンの金融特区、アメリカのデラウエア州などのそうだという見方もあるようです。

 ではそこの集まっているおカネはどのくらいかといいますと3000兆円前後などいう説があります。日本のGDPの6倍という巨額です(よけいなことですが、日本の個人貯蓄1600兆円というのはこれに比べても凄いですね)。

 これからもっといろいろなことが分かるでしょうが、「ゴキブリ」などは「1匹いれば最低5匹は隠れている」などと言われますからもっと増えるかもしれません。

 問題は、「税金逃れは怪しからん」ということのようですが、さらに根本問題を言えば、この金額が何に使われているかでしょう。

 日本の個人貯蓄は巨額ですが、一千何百兆円かは、政府や地方自治体が借りて(国債・地方債など)一応国民のために使っているので「まあいいか」ですが、おそらくタックスヘイブンの金は、国際投機資金になって、キャピタルゲイン獲得に使われているのでしょう。

 これが途上国援助や社会保障の充実に役立つように使われているのなら、結構かもしれませんが、多分、ほとんどは、巨万の富を蓄積した法人・個人が、さらにキャピタルゲインを得るために使われているのでしょう(もちろん資金洗浄などの悪徳行為も)。

 繰り返し述べていますように、 キャピタルゲインは富を作り出す行為ではなく、富を移転させる働きしかありません。
 つまり、このおカネは、社会(地球人類)を豊かにするためではなく、多分おカネを持つ人にますますおカネを集中させるため、格差社会化推進のために使われているのです。

 巨額のおカネが社会のために富を生み出すのに使われず、強欲なおカネの亡者にさらに富を集中させるために存在している・・・、これでは経済発展の大きなマイナスでしょう。

 世界経済の不振が大きな問題になっている今日、タックスヘイブン問題が、いかなる議論と行動の発展を見せるか、注意深く見守る必要があります。

変動相場制の不都合な点

2016年05月07日 10時01分41秒 | 国際経済
変動相場制の不都合な点
 前回、サミットで変動相場制についてのまともな論議をやってほしいと書きましたが、その理由も少し書いておきたいと思います。

 学者や専門家の中にも、変動相場制は合理的だという考えもあります。理由は、世界には競争力の強い国も弱い国もあるが、通貨価値がマーケットで決まる変動相場制では、競争力の弱い国の通貨価値は下がり、競争力を回復するし、強すぎれば通貨高になって、競争力の国際的なバランスはマーケットによって、実現されるから、大変合理的なシステムだという説明です。

 力のある国の通貨価値は上がりますから、通貨価値が高まることはその国が優れたパフォーマンスを上げている証拠の勲章だという見方もあります。
  プラザ合意で日本が円高になった時 も、円高は日本の価値が上がったことで日本への勲章だから喜ぶべきだと言われた方も当初は大勢いました。

 確かにそういわれればその通りですが、経済社会の進歩発展という立場から考えるとこれには決定的な欠点があります。

 世界の国々は、それぞれにより豊かで快適な国づくりをしようと頑張っています。科学技術や、社会制度をより優れたものにして、良いモノやサービスをより安く提供し、しかも快適な生活環境を維持しようとしているわけです。

 一方にはずっと遅れた国もあります。そうした国は、科学技術を学び、生産性を高め、良い社会制度を作って先進国に追いつこうと努力をしなければなりません。

 こうした国の間で為替レートの調整が行われた場合、どうなるでしょか。
 頑張り屋の国がいくら頑張って生産性を上げても、その分通貨高になって競争力は強くなりません。逆に頑張らない国ではは通貨安になって、そのままでも競争力が付きますから、特に頑張る必要は無くなります。
 科学技術や経済社会のシステムを高度化して国民経済の生産性を上げるメリットは減少します。

 戦後の通貨の動きを見ても、£1=1008円だった英国ポンドは今は155円、$1=360円だった米ドルは今は106円です。
 結果的に先進国が、生産性を上げずに、競争力を維持するために役に立ったのが変動相場制です。

 近年、日本も$1=80円を120円に切り下げて、アベノミクス大成功と言っていますが、イギリスやアメリカの通った道に一歩踏み込んだということでしょう。

 そんなに頑張らなくても、為替レートが調整してくれるからいいよ、というのが変動相場制の意義で、頑張り屋には損で怠け者に得なシステムということになるのです。

 さらに今日の変動相場制には、もう一つの大きな問題があります。それは、為替レートは本当に正常なマーケットによって決まるのかという問題です。

 アメリカが今回、日本、ドイツ、中国などの5か国を、為替政策のよう監視国に入れたことに見られますように、為替マーケットへの影響力は基軸通貨国が決定的に有利でしょう。
 そして、為替マーケットのメインプレーヤーである国際投機資本は、ほとんどアメリカ本拠のようです。
 「マーケットは正しい」といっても信用する人は今では余りいないでしょう。

 これでは、世界経済がうまく機能するのは至難です。今の人類には、これだけの知恵しかないのでしょうか。それでは情けないというのが前回の指摘の趣旨です。


伊勢志摩サミット、財政出動か為替問題か?

2016年05月06日 12時41分33秒 | 国際経済
伊勢志摩サミット、財政出動か為替問題か?
 安倍さんは伊勢志摩サミットを控えて、日本流根回しでしょうか、各国を回っています。議長国の首相がそこまでやるというのは、大変丁寧で結構なことだと思いますが、何とかいい成果に繋がって欲しいものだと思っています。

 報道によれば、各国首脳に財政出動について打診しているようですが、安倍さんはスティーグリッツ氏などからレクチャーを受けたとしても、あまり賛成の国はないでしょう。
 財政出動しても、そのあとが不安でしょうし、今の消費不振は、格差社会化のせいが大きいですから、効果より悪影響が懸念されると解っているのでしょう。
 もちろん日本自身も事情は同じです。

 すでにアメリカなどが打ち出していますように、何か、為替問題のほうが、本当は重要な課題だと、認識されてしまっているような感じもします。
 率直に言えば、今の世界経済がこんなにおかしくなった原因には変動相場制が大きな役割を果たしているのですから、今回の議長国であり、為替政策に翻弄されてきた日本としては、こちらの問題を取り上げるべきなのでしょう。

 もともと貨幣価値というのは経済活動における「メートル原器」のようなものですから、メートル原器が伸び縮みしたのではモノの正確な設計図が書けないのと同じように、通貨価値が変動したら、正確な経済計画や経営計画の策定などは不可能です。

 そんなことは人間は疾うに解っていたので、出来るだけ価値が変わらない「金」を通貨にしたのです。
 しかし、通貨を管理する基軸通貨国が、きちんとした経済運営をしないものですから、限度を終えて通貨量が増え、金との兌換が出来なくなり、ずるずると変動相場制になってしまうのです。これは「通貨の汚染」、マネーポリューションです。

 かつては「悪貨は良貨を駆逐する」などと言われました。第一次大戦後には「為替ダンピング」問題が起こり、そうした問題が起こるたびに、人間は通貨の価値をきちんとしようと反省してきています。

 第二次大戦後で言えば、そうした反省に立って、ブレトンウッズ体制を作ったりするのですが、人間は本来「だらしがない」のでしょうか、それとも楽して儲けたいと考えるのでしょうか、何度でも同じ過ちを繰り返すのです。

 今回の伊勢志摩サミットでは、「プラザ合意」為替レート変更(過度な円高)の恐ろしさを実体験し、今また円レートの動きに一喜一憂している日本が議長国になるですから、少し人類社会の将来について本当に役に立つようなことを話し合ってもらいたいものです。

 世界人類にとって、もっと重要なのは、覇権争いや戦争、紛争の問題でしょう。こうした問題からは人類は、何とか早く卒業してほしいと思う所です。

 一方、サミットの主要議題が経済問題であるならば、ニクソンショック以降、ずるずると嵌まり込んだままになっている変動相場制を放置するのか、それとも人類がもともと希望する「安定した通貨価値」の問題について、何か新しい知恵はないのか、本気で取り上げてもらいたいものです。

TPP決着の中身と説明を聞いて

2015年10月21日 10時54分43秒 | 国際経済
TPP決着の中身と説明を聞いて
 TPP決着の細かい中身を見て、「よくここまでやったな」というのが実感でした。多国間交渉を二国間交渉を活用しつつ進め、最終的に参加国全体の理解を得るという過程を、徹底的に「残業時間延長」で纏め得たのは、画期的だったのではないでしょうか。

 ここまで纏められたのは色々な要素が重なって可能になったということでしょうが、やはり、参加国が「何とかまとめよう」という共通の気持ちを持ったからでしょう。
 長期的な視点で目標を定めたことも効果があったのではないでしょうか。

 対中国の意識なども言われていましたが、今回は何かアメリカが「すべて自分の基準(利害)で仕切る」といったことが少なかったように感じています。
 アメリカの力が相対的に弱くなってきたのでしょうか、各国が頑張ったのでしょうか、フロマン氏の人柄もあるのでしょうか。
 これは大変良かったと思いますが、そのせいでしょうか、言い出しっぺのアメリカ国内でTPPに否定的な意見がにわかに強くなっています。

 甘利代表は、死ぬ思いで苦労したのだから国内もがんばれ、という趣旨の話をされていましたが、国際利害の調整です。まさに実感でしょう。
 今後は各国国内で、いかに対応に真剣な努力をするかということになります。

 日本でも、すでに国内での関係業界への説明が始まっていますが、ここで些か気になるのが、担当分野の大臣などが「できるだけ影響が少なくなるような政策をやりますから」といった弁明中心の様な発言をしていることです。

 やはり本来の趣旨である「国際的な理解と協調のために、徹底して頑張りましょう、政府も関連業界の構造改革、生産性向上のための支援策を強力に進めます。保護政策をあまり重視するのはTPPの本意ではありませんから」ぐらい言われたらどうでしょうか。
 関連業界はすでに自覚して前向きな取り組みを始めているところが多いようです。

 かつても書きましたように、日本は、域内では最も進んだ国の1つですから不利な面は限られます。国内の調整は勿論大事ですが、域内の各国に対する
調整や支援が、TPP成功のためには大変重要になるように思います。

 アメリカが、赤字国から脱出できない状態ですから、加盟国に対する多様の支援の役割は日本に回って来る可能性は否定できないでしょう。
 そうした役割を、立派に果たしてこそ、TPPを通じて国際的な日本への信頼や評価を高めることが可能になるのではないでしょうか。

TPP大筋合意の今後

2015年10月06日 10時06分17秒 | 国際経済
TPP大筋合意の今後
 大変な難産だったようですが、各国それぞれの政治的事情もあって、昨日TPP交渉は大筋合意に達したようです。まずは2日の予定を6日に伸ばして、徹夜も辞せずとまとめる努力された閣僚会議のメンバー、それを支えた方々の労をねぎらいたいと思います。

 もともと環太平洋自由経済圏といったスローガンは掲げても、発展段階の多様な国々を地域だけでまとめていくとなると、各国の事情は違いすぎ、共通のルールなどは敷くよしもないでしょう。

 自由化をスローガンに共通のルールを敷こうとすれば、それによって利益を得るのは最も経済構造の進んだ国、ということになるのが経済システムの常だからです。
 その意味では、最先進国を以て任じ、基軸通貨国、覇権国でありながら、万年赤字国であるアメリが主唱したというのは、自然だったのでしょう。

 案の定、利益代表の意見の強いアメリカ議会ですから、折角大筋合意しても、少しでもアメリカに不利なら議会が承認しないのではないかといった見方もあるようです。

 確かに、今回は、日本もそうでしたが、アメリカ以外の国が、アメリカに対して、従来にない強硬さを見せたのではないでしょうか。背後には、このところアメリカ流の金融政策が、為替レート問題やサブプライム・リーマンショック問題などで世界中に迷惑をかけ、アメリカの権威が翳って来ているということもあるように感じられます。

 一方何とか纏まった背景には、アジア諸国にとって中国の拡大志向とその政経両面の先行きへの不安が感じられることへの対応といった面もあるのかもしれません。

 大筋合意ですから、これから具体的な各論に入っていくと、どんなことになるのか解りませんが、安倍総理は、大筋合意を歓迎しつつも、農業分野の国内問題には、従来の自然環境保護、景観保護、といった自説を繰り返していました。
 本当の問題は、アメリカ自身の対応も含めて、これからの具体的展開の仕方でしょう。

 前述のように、経済という問題は理論的には、広域化、自由化が良いといった原理原則があります。しかし、現実に経済発展段階が違う国々が協力して、最適な効果を上げようということになると、単に自由化すればいいといった方法論は機能しないでしょう。

 TPPもこれからの現実的展開の中では、より柔軟な実態に即した方法論が必要なのでしょう。今回の長い交渉の中からそうした現実的なアプローチの雰囲気が生み出されてくるようなことになれば、それこそが今回のTPP交渉の最大の成果になるような気がします。

FRBは利上げをするのか

2015年09月14日 10時24分09秒 | 国際経済
FRBは利上げをするのか
 アメリカの異次元金融緩和もいよいよ出口模索の段階から、出口に向かう扉を開け、階段を上る段階に入るのでしょうか。
 9月利上げ説が言われる中で、FOMCは16・17両日ということですが、利上げは延ばすのではないかという観測が強まっているようです。

 もともと雇用と物価の動きが経済の回復を示せば、利上げに踏み切るという姿勢だったわけですが、雇用はそれなりの強さを示す一方、物価は世界の資源価格の低迷で目標の2パーセントにはほど遠い状況です。

 利上げは本来アメリカ経済の問題ですから、国際的な資源価格の影響は関係ないはずで、ホームメイドインフレで目標を決めればよかったのかもしれませんが、今度は消費者信頼感指数がよくないなどと新しい指標も出てきて、予測も混乱状態です。

 地方のFRB 議長の中には強気の人もいて、利上げ、利上げと言ったりしていますが、イエレン女史はもともと労働経済学者で、実体経済を重視するのではないかと私は考えています。

 アメリカにはアメリカの事情があるでしょうし、利上げがあるかないかの予想に参加するつもりはありませんが、アメリカが利上げをすれば、異次元緩和で途上国を潤していたマネーがアメリカに吸い上げられ、途上国の不況が深刻化するといった意見も強く、アメリカ自身が、基軸通貨国の責任をどこまで考えるかも問われる状況です。

 一方では中東やアフリカの混乱も激化し、難民問題が未曽有の深刻さといったこともあり、問題は、単にアメリカ経済の動向と金利政策といった範囲の問題ではなくなっているような感じすらします。

 こうした状況を考えれば、アメリカとしても極めて動きにくいでしょう。もちろんアメリカが経済を健全化し、金利の正常化を進め、世界経済、各国経済が、それぞれに健全化す方向に動くことが一番ですが、現実にはアメリカも不安定、途上国は援助が必要です。

 アメリカは金利引き上げにもっていきたい、しかし途上国から文句が出そう、もうひとつ、アメリカ自体がドル高でやっていけなくなったりする可能性も高いので、利上げはするが、実際にはその悪影響が最小限といった超小幅利上げの可能性などもあるのではないでしょうか。
 先延ばしの可能性も含めて、もうすぐアメリカの考え方(肚の中)が明らかになります。さて、どんな結末になるでしょうか。

混乱期に突入するか、世界経済社会

2015年09月07日 09時29分30秒 | 国際経済
混乱期に突入するか、世界経済社会
 アンカラG20は終わりましたが、 マスコミはその成果の評価には消極的なようです。麻生副総理は中国に不良債権の解消、過剰設備の処理、高齢化への対応など具体的な助言をされたようですが、問題は、中国自体の自己認識でしょう。

 アメリカの利上げの問題には新興国が懸念を示したようです。黒田総裁は、利上げが可能になるということはアメリカ経済が好調の証左で世界経済にプラスとの認識のようですが、経常赤字の拡大を伴っていることには触れていません。

 G20の結果がどこにどう反映されるかはわかりませんが、それが巧く反映されて、世界経済社会の混乱が収拾される方向に順調に進むとは、あまり期待できないような気がします。

 G20の主要なテーマの1つは、世界同時株安だったようですが、これは中国経済の懸念と、米国の利上げ問題の絡まり合いをビジネスチャンスととらえる国際投機資本筋の思惑が渦巻いている中での出来事です。
 実体経済に比べてはるかに巨大なカネが動く投機ビジネスの波乱増幅効果を適切なレベルにするようなことは至難でしょう。

 もともとこうしたマネー資本主義、マネー経済(学)、金融工学などを流行らせたのはアメリカですし、アメリカはその成果を自らの赤字のファイナンスに活用したのですが、そのやり過ぎがサブプライム景気、その破綻によるリーマンンショックで世界的金融混乱を引き起こしたのが現実です。

 その解決策として、バーナンキ流異次元金融緩和を導入、世界中にカネをばらまきながら(基軸通貨ですから)アメリカ経済立て直しを図り、そろそろいいかなと緩和をやめ、金利引き上げに動こうという時、中国の経済変調に重なることになったのです。

 世界同時株安の直接の原因は中国経済の問題かもしれませんが、経緯を辿れば、いままでのG20で何度も問題になっているマネー資本主義の問題が根底にあっての話です。さらにその元を辿れば、アメリカが経常赤字から脱出できないという問題です。

 人類社会の統治能力とかNGRとか覇権国・基軸通貨国の責任とか書いて来ましたが、こうした基本的な問題へのアプローチがない限り、本当の問題解決は不可能でしょう。

 ここからは少し余計なことです。
 アメリカと中国の覇権争いといったテーマがマスコミを賑わせますが、今日の地球社会では、覇権国方式は、どこが覇権を握ってもうまく機能することはないでしょう。

 解決策はレジティマシー(正当性)のある民主的な国際組織、具体的には民主的に運用される国連組織しかない、ということは誰しもお分かりなのでしょうが、そこまで行くのに人類は、これからどのくらいの時間を使うのでしょうか。