tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

TPPが本来目指すべきものは?

2013年08月26日 12時25分18秒 | 経済
TPPが本来目指すべきものは?
 TPPに関しては、今秋から暮れにかけて、今後もいろいろな問題が起こって来るでしょうから、その際には、またその点について論じなければならないと思いますが、矢張り今の時点で、この問題はもう少し深く論じておく必要があるような気がします。

 TPPはもともとアメリカが言い出したものですから、最初の発想はアメリカにとって、環太平洋の国々がみんな良きパートナーとして共存共栄の実をあげられるように、というのが本来あるべき原点でしょう。
 しかし最初から引っかかっているのは、アメリカが40年も経常赤字を垂れ流し、何時まで経ってもそれが直せないという「具体的な事実」です。

 ですから、アメリカとしては、多分、TPPによって、自国の赤字を少しでも減らせればと考えるでしょう。第二次大戦後、世界を援助したアメリカと今のアメリカは全く違いますから、多分わざわざ経済的にアメリカの負担になるようなことで、環太平洋の国々の役に立ちたいなどと考えてはいないでしょう。

 国際経済関係ですから、それはそれでもいいと思います。自国の利益を優先しつつ相手国と交渉して、適切なところで折り合い、お互いにプラス、「ウィン・ウィン」の結論に達すれば、まさに望ましい結果と考えるべきでしょう。

 日本で問題になっている農業でもそうでしょう。国土そのものの問題として、なかなか生産性が上がりにくく、日本の農産物は高いといわれます。日本の消費者も安い農産物は歓迎です。TPPでの論議と活動の結果、日本の国土という与件の中で、農産物の生産性を上げ、価格を下げ、結果的に日本の食料自給率を上げることが出来れば、ベストでしょう。
 TPPが日本の農業を壊滅させるのではなく、競争力を持つ農業に早く脱皮するために役立つ会議であれば素晴らしいと思います。

 アメリカの車が日本で売れなければ、売れるような車をアメリカが作れるように協力することが大事で、関税引き下げを延ばしたり、日本の車についての制度を変えろ(たとえば軽自動車問題)というのでは、何ら本質的解決にはなりません。
 かつてトヨタがGMに協力して頑張ったNummiの様なアプローチこそが本物でしょう。アメリカ自身の努力で経常赤字を減らすように日本も各国も力を貸すのです。
 シェールオイルによるガソリン安で、「もう省エネ車は要らない」とフォードが言っているなどと聞きますが、それが本当なら、TPPをやっても無意味でしょう。

 かつて、CSRとNGR(Nation`s Global Responsibility)を書かせて頂きましたが、世界一豊かなアメリカが、世界から金を集めて自国の赤字の穴埋めに使うような構造が世界を不安定にしているのであって、先進国、途上国が出来ることで協力し合い、よりバランスのとれた、故に平和な国際関係を作り上げていくのが、多様な発展段階の国々を含む「パートナーシップ」の本来の在り方なのではないでしょうか(格差門題は次回)。 

 国連の機能が未完成な今の世界においては、こうした「多様共存」を実現する国際関係を多角・多様なシステムで模索していくことが最も大事のように思われます。


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