司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「歴史的に見た日本の人口と家族 」

2021-02-22 15:22:23 | いろいろ
参議院立法と調査2006年10月6日号
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/20061006.html


 縄田康光「歴史的に見た日本の人口と家族 」が掲載されている。

「本稿では、現在の日本が直面している少子化・人口減少の性質を把握するための一助として、歴史的に見た日本の人口と家族像、とりわけ江戸時代以降の変遷について述べるとともに、今後の日本の家族像について若干の考察を加えることとしたい」(上掲論文)

 日本における「家族」の実態の歴史的変遷について考察されており,非常に興味深い論文である。お薦め◎
コメント

悪質な定期購入契約に刑事罰,特商法の改正へ

2021-02-22 11:41:45 | 消費者問題
讀賣新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/435c1dbc137f130a72ee15429cae331529f98a02

「インターネットで「初回無料」や「お試し」などと宣伝し、実際には高額の定期購入契約を結ばせる悪質な通信販売の被害が相次いでいることを受け、消費者庁が、特定商取引法を改正し、違反事業者に懲役刑の刑事罰を導入する方向で最終調整していることが分かった。」(上掲記事)

 今国会に上程される見込みの特商法改正法案に盛り込まれるようである。


cf. 特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会報告書
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/review_meeting_001/

〇「詐欺的な定期購入商法」への対応
 通信販売の広告において、初回に無料又は低額な金額を提示し、2回目以降に高額な金額を支払わせる、いわゆる「詐欺的な定期購入商法」に関する消費生活相談が増加している。さらに、国民生活センターによると、昨年の定期購入に関する消費生活相談のうち、「お試し」「モニター」等という広告を見て申し込んだなどの申出が含まれる相談は約5割、「連絡不能」に関する相談は約3割となっている。
 このため、「詐欺的な定期購入商法」に該当する定期購入契約を念頭に、特定商取引法における顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為等に関する規制を強化すべきである。具体的には、独立した禁止行為とした上で、規制の実効性を向上させるとともに、違反のおそれのあるサイト等へのモニタリング等を外部の専門的リソースも最大限に活用して法執行を強化するといった抜本的な措置を講じる必要があ。また、「詐欺的な定期購入商法」で意に反して申込みを行わせる悪質事業者を念頭に、解約・解除を不当に妨害するような行為を禁止するとともに、解約権等の民事ルールを創設する必要がある。
 さらに、現状では、「定期購入」に関する消費生活相談の9割以上がインターネット通販によるものであることも踏まえ、特定商取引法に基づくガイドラインである「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」の見直しを早期に実施するとともに、法執行を強化する必要がある。
※ 上掲報告書7頁以下
コメント

消費者トラブル激増,「お試し」のつもりだったのに定期購入に!

2021-02-22 11:26:59 | いろいろ
NEWSポストセブン記事
https://www.news-postseven.com/archives/20210221_1637267.html?DETAIL

「2020年5月には、全国の消費生活センターへのネット通販にまつわる相談件数が、2万6000件を超えました。これは相談件数全体の32.7%で、初めて3割以上を占めました。4~6月の相談件数を見ても、前年比で約1.6倍です。多かったのは健康食品や化粧品、飲料の『お試し定期購入』に関する相談。」(上掲記事)

「お試し」に見せかけて,実は,「定期購入」の契約に誘い込む悪質な手口が増加しているという記事である。御注意を。

cf. 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/wakamono/data/wk-support01.html
コメント

電子署名サービスの覇権争い

2021-02-22 10:50:05 | いろいろ
日経産業新聞記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ073L50X00C21A2000000/


「国内市場は弁護士ドットコムが草分けだが、この1年でGMOインターネットが導入企業数を約40倍に伸ばし、瞬く間に首位に立った。世界大手のドキュサインも加わり、急成長市場の覇権争いが幕を開けた。」(上掲記事)

 電子署名サービスに関する最近の一連の動きが非常によくまとめられている。
コメント

戸籍法施行規則の一部を改正する省令案

2021-02-22 10:20:11 | いろいろ
「戸籍法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見公募
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080235&Mode=0

〇  改正の内容
1 死亡の届出に当たっての診断書又は検案書の添付省略(新設)
 戸籍法(昭和22年法律第224号)第86条第2項により死亡の届書に添付することが規定される診断書又は検案書について,市町村長が,これらの書面により確認すべき事項に係る情報を入手し,又は参照することができるときは,当該書面を添付することを要しないものとする規定を新設する。

※ どういうケースが想定されているのか?
※ 余談ながら,いわゆる「押印廃止」により,死亡診断書について「記名押印」は不可とされ,必ず「署名」によるべしとされたようである。
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/125658.pdf

2 市町村長が戸籍事務を電子情報処理組織により取り扱うよう努める義務規定の削除(規則第68条)
 令和2年9月28日をもって,全ての市町村長について,戸籍法第118条に基づく法務大臣の指定を受け,戸籍事務を電子情報処理組織によって取り扱うものとされたことから,市町村長に対する努力義務に係る規定を削除する。

※ 戸籍の電算化で,最後に残っていた東京都御蔵島村(東京都の島嶼町村域には郡制が施行されていない。)の電算化が終わったようである。

cf. 時事通信記事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090900759&g=pol
コメント (1)

各種法人の「合併の登記」と「資産の総額の変更による登記」

2021-02-22 07:49:36 | 法人制度
 各種法人(会社を除く。)が合併をし,その変更の登記を申請する場合に,「資産の総額」が登記事項である法人においては,同時に,資産の総額の変更による登記についても申請をする取扱いである。

 えっ? なぜ?

 普通に考えればわかることであるが,登記事項に変更が生じたからである(組合等登記令第3条第1項)。

組合等登記令
 (設立の登記)
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 一 目的及び業務
 二 名称
 三 事務所の所在場所
 四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
 五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
 六 別表の登記事項の欄に掲げる事項

 (変更の登記)
第三条 組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、出資若しくは払い込んだ出資の総額又は出資の総口数の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。
3 第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から三月以内にすれば足りる。

 各種法人に関する登記において,「資産の総額」が登記事項であるものがあるが,これらは,組合等登記令の別表に規定されている。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029

 登記事項とされている法人の主なものとしては,「医療法人」「学校法人」「社会福祉法人」などがある。

 新設合併の場合は,「資産の総額」は,設立の登記の登記事項であるから,申請書に登記事項として記載して申請しなければ,もちろん却下である(同令第2条第2項,第16条第3項)。

 吸収合併の場合は,普通に考えると「2週間以内」(同令第3条第1項)ということになってしまう。いわゆる毎年の「資産の総額の変更による登記」は,毎事業年度末日現在により,当該末日から3か月以内にすれば足りる(同令第3条第3項)ものとされているにもかかわらずである。

 「ん~,厳しい。」と考える向きが多いであろう。さて・・・。

 登記実務は,「申請なければ,変更なし」という考え方である。合併は,資産の総額の変更原因に過ぎないが,期の途中であっても,その変動が顕著であることから,監督官庁の行政指導で,その時点における変動額を登記すべしとする慣行が形成されたものであろうと推察する。したがって,合併の登記の申請と同時でなくてもよいように思われる(まさか,「合併による変更の登記」には,「資産の総額の変更による登記」も包含されると解して,申請の却下事由である「同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき」(商業登記法第24条第12号)に該当すると取り扱われることはないであろう。)。

 とすれば,吸収合併の場合の「資産の総額の変更による登記」については,「合併の登記」と切り離して,準備が整い次第,「3か月以内」に申請すればよいと考えるのが穏当ではないだろうか(組合等登記令第3条第3項が類推適用されるという考え方。私見である。)。類推適用説を採らなくても,過料を課さない運用をするのであれば,特段の問題は生じない。

 コメント欄の御質問は,3月決算の社会福祉法人の合併の場合であり,4月1日に効力を生ずる合併の登記と併せて行う資産の総額の変更の登記(原因年月日は,「令和3年4月1日変更」である。)を了した後に,わざわざ決算期現在の変更の登記(原因年月日は,「令和3年3月31日変更」である。)を申請しなければならないのか,という問いである。

 組合等登記令を形式的に読むと,「申請しなければならない」であるが,無益なことであり,また上記のとおり,登記実務は,「申請なければ,変更なし」の考え方であるから,私は,スルーしてもよいと考える。監督官庁がどのように考えるか次第といえようか。

 登記実務の考え方としては,概ね上記の整理でよいと思われるが,各種法人には,監督官庁(の担当者)という,時に理解不能なモンスターが存在していることから,随時調整の上,進める必要がある。
コメント (3)

令和元年改正会社法施行通達及び改正商業登記法施行通達が公表

2021-02-20 20:53:44 | 会社法(改正商法等)
商業・法人登記関係の主な通達等
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html

 下記の通達が公表されている。

・「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」〔令和3年1月29日付法務省民商第10号〕

・「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」〔令和3年1月29日付法務省民商第14号〕
コメント

富山にて

2021-02-20 20:08:01 | 会社法(改正商法等)
 本日は,日司連中部ブロック北陸地区研修会で,「株式交付及びハイブリッド型バーチャル株主総会について」をお話。

 タイトルは,仰々しいが,本日の研修会自体,「メイン会場+サテライト会場+WEB参加あり」で,正にバーチャル参加型研修会(双方向ではないので。)である。

 前半は,改正商業登記法及び同規則における実務+コロナ禍の株主総会及び取締役会の実務等,後半は,令和元年改正会社法における実務,という構成。

 とまれ,無事終了。御参加いただいた皆様(運営の皆様は特に),お疲れさまでした。
コメント

民事裁判手続のIT化,中間試案がまとまる

2021-02-19 22:07:30 | 民事訴訟等
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE193U70Z10C21A2000000/

「訴状の提出をインターネットでできるようにし、口頭弁論のオンライン出席を可能とする。法務省は2022年に改正案を国会に提出し、2025年度の本格運用開始を目指す。」(上掲記事)

 近々,パブコメである。

cf. 法制審議会-民事訴訟法(IT化関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003005.html
コメント

「基礎からわかる供託【第2版】」

2021-02-19 16:09:58 | いろいろ
磯辺慎吾「基礎からわかる供託【第2版】」(金融財政事情研究会)
https://www.kinzai.jp/item/b13583/

 司法書士が,実務上,供託に関わる場面は,非常に少なく,そういう意味では,供託手続に習熟し難い側面がある。

 今般の民法及び不動産登記法の見直しに関する改正法案において,「供託」がキーワードとなる場面がいくつかあり,おさらいをしておきたいと考えていたところ,手頃な入門書が見つかった感。

 近時の債権法の改正や民事執行法の改正に関しても織り込まれており,良書であるように思われる。お薦め。
コメント

「実現間近か、株主総会の“完全”オンライン化」

2021-02-18 00:24:58 | 会社法(改正商法等)
ITmedia BUSINESS
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2102/17/news011.html

「昨年、アステリアが実施した「出席型」の株主総会では、プロ向けの映像配信サービスを利用して総会の模様をライブ配信した。議決権を有する株主は、9567人で、そのうち2900人が「出席」している。リアル会場に出向きリアル参加した株主もいれば、一部はバーチャルで参加した。興味深いのは「リアル会場の出席者も、登壇者の映像を別室から視聴しながら、手元のスマートフォンなどを経由して投票や質問を行った」(平野氏)という点だ。」(上掲記事)


「出席型」の要件を満たしているのであろうが,このリアル会場の出席者のうちの「一部」は,複数会場パターンのような感も。

 余談ながら,このアステリアの社長は,高校の同級生である。しかし,不思議なことに,在学中も,そしてその後も,全く同じ空間を共有したことがない(たぶん)。まあ,そんなこともあるかな。
コメント

離婚後の単独親権は「合憲」

2021-02-17 23:34:33 | 民法改正
産経新聞記事
https://www.sankei.com/affairs/news/210217/afr2102170034-n1.html

「裁判上で離婚となる場合に、裁判所が父母の一方を子供の親権者と定める民法の「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都に住む50代男性が国に165万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であり、松本真裁判長は「違憲とはいえない」として請求を棄却した。男性の代理人によると、単独親権をめぐる同種訴訟での判決は初めて。」(上掲記事)

 余談ながら,裁判長は,会社法制定時の民事局付の方ですね。懐かしいお名前。
コメント

「民法(親子法制)等の改正に関する中間試案(案)」

2021-02-16 18:52:21 | 民法改正
法制審議会(親子法制)部会第14回会議(令和3年2月9日開催)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00050.html

「部会資料14-1「民法(親子法制)等の改正に関する中間試案(案)」についての審議がされ,同部会資料の内容を一部修正の上で,とりまとめることにつき,部会長に一任された。
 また,この中間試案を意見募集の手続に付すことが了承された。
 なお,中間試案は後日公表予定である。」
コメント

商業登記における押印規定の見直し~原本還付請求で押印&契印なしで申請してみたら?

2021-02-16 12:42:08 | 会社法(改正商法等)
twitter
https://twitter.com/Sd_Kfz142/status/1361485240229711873?fbclid=IwAR1N1MRqJC6R14IEcWwyqIGX39GPutyH6DPPhrFSCXS6koPOqSPEImAEzE4

「試しに申請者の印押さずに出した商業登記の原本還付書類、押さないなら各頁に「原本に基づき複写した(申請者名)」を入れるよう言われてしまった。」(上掲記事)

 ネタですか?・・・・・と言いたくなるような。

 理屈は,わからなくもないが・・・・・こういう補正指示を実際にする登記官がいるとは,馬鹿げている(言葉が悪いのは承知の上。)。

 表面上,認印での押印さえなくせばよい,申請人サイドに過度の負担を課しても構わない,と考えているのであろうか?

 添付書面の原本さえも,押印&契印なしの書類を広く認めた以上,上掲記事のような無益な取扱いは,即刻止めるべきであろう。

 常識的な感覚もない方々が登記申請書等の審査をしているのかと思うと,申請人サイドしては,実に嘆かわしい思いである。
コメント (10)

法務大臣閣議後記者会見の概要「法制審議会に関する質疑について」

2021-02-16 06:18:04 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年2月12日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00170.html

「1件目は,法制審議会総会における「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)改正」に係る答申についてであります。
 今月10日に法制審議会の総会が開催され,「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱」の答申を受けました。
 この答申は,所有者不明土地問題の抜本的な解決に資する改正項目が盛り込まれたもので,時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めております。
 法務省としては,この要綱を踏まえ今国会に所要の法律案を提出するよう準備を進めてまいります。」

○ 法制審議会に関する質疑について
【記者】
 親子法制をめぐって,無戸籍問題の解決や今の親子の在り方に合った制度作りを求める声がある中で,今週,法制審議会の部会が中間試案をまとめました。大臣の受け止めと,今後の議論に期待する点などをお願いいたします。

【大臣】
 2月9日に,法制審議会民法(親子法制)部会は,民法(親子法制)等の改正に関する中間試案を取りまとめたものと承知しております。
 中間試案につきましては,大きく2つの点を内容としておりまして,1つ目は,やはり何といっても児童虐待が社会問題になっている現状を踏まえた民法の懲戒権の規定の見直しです。そして,もう1点は,かねてより私も取り組んでまいりました無戸籍者ゼロ運動ということで,無戸籍者の問題を解消する観点からの嫡出推定制度の見直しなどを内容とするものでございます。
 今後,パブリックコメントの手続を取る予定であると承知しております。
 中間試案で取りまとめられた内容につきましては,いずれも子どもの利益に関わり,喫緊の対応が極めて重要な課題であると認識しているところでございます。
 法制審議会に対して諮問した大臣としては,まずは,部会の議論の状況を見守りたいと考えておりまして,パブリックコメントの結果も踏まえて,充実した調査審議が更に行われることを期待しているところでございます。
コメント