司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない

2014-02-17 14:34:56 | 家事事件(成年後見等)
最高裁平成26年2月14日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83947&hanreiKbn=02

【裁判要旨】
共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない

「共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり,遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできないのであるから,その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はない」
コメント

取締役が欠格事由に該当した場合の退任を証する書面

2014-02-17 01:23:42 | 会社法(改正商法等)
 会社法第331条第1項では,取締役の欠格事由を定めている。

 例えば,現に取締役に在任している者が,有罪判決を受けたとき(会社法第331条第1項第3号又は第4号に該当するに至ったとき)は,当該判決が確定した時に,資格喪失により退任する。

 そして,取締役の退任による変更の登記の申請書には,これを証する書面を添付しなければならない(商業登記法第54条第4項)ので,「退任を証する書面」は何かが問題となる。

 原則として,刑事事件の判決書となろう。

 それでは,会社は,取締役の退任による変更の登記を申請するために,どのようにして判決書を入手すべきか。

 刑事訴訟法は,被告人その他訴訟関係人は,自己の費用で,裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる(同法第46条)と定めている。

 したがって,被告人又はその弁護人の協力が得られるのであれば,裁判書等の謄本の入手をお願いすればよい。

 しかし,その協力が得られない場合には,どうしたらよいのか?

 何人も,被告事件の終結後,訴訟記録を閲覧することができるので(刑事訴訟法第53条第1項本文),刑事確定訴訟記録法に基づいて閲覧し,謄写の許可を得て,当該訴訟記録を写真撮影することができそうである。

 よって,退任を証する書面としては,裁判書等の写真を添付することになるのであろう。

 ただし,判決がいつ確定したのかが判ずる必要がある(控訴がされなければ,判決の言渡し後14日の経過により確定)が,おそらく裁判書上に,当該日の記載がされているのであろう。

cf. 刑事確定訴訟記録法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S62/S62HO064.html
コメント (3)