平成21年11月9日最高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38149&hanreiKbn=01
「民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない」
とすると,時効期間は,民法第724条の規定に従うということであろうか。
我妻「債権各論下巻一」は,「利得の範囲を超えて相手方の損害を賠償する点において,不法行為の責任に近づく」(1105頁),「利得者の利得とならない損害を賠償する責任だから,理論としては,不当利得を返還するという制度の枠の外に出る責任である」(1108頁)としつつ,「しかし,不当利得制度を支える公平の原理を貫くために認められたものだから・・・他の利得返還請求権と同様に一般の規定(167条1項)に従うと解すべき」(1108頁)としているが,上記判決のように,「不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定した」ということであれば,時効期間は,民法第724条の規定に従うことになってしまう。我妻説が妥当であると思われるが,説が分かれるところであるかもしれない。
債権法の改正の議論においては,論点に上がっていないように思われる。