財務省の矢野康治事務次官が「月刊文藝春秋」に爆弾級の論文を寄稿した。その内容は「政治家の政策はバラマキばかり」「何をやっているのか」「こんな事では国家財政が破綻する」という強烈な批判といったものである。増税を狙う財務省の悪意が背景にあるのだが、すべての政治家とそれを選んだ国民を馬鹿にしたような発言とも言えよう。
官僚・役人という存在は本来「事務方」であり、政治的な主張をする立場にはない。その意味で矢野事務次官は明らかに立場を超えてやり過ぎており、看過できない増長ぶりを見せていると言えよう。もっとも、昔から実質的に日本の政治を動かしてきているのは官僚であり、長年のその思い上がった感覚が基礎的な立場まで忘却させてしまうほど麻痺していたのかもしれない。
実際にこれはとんでもないことなのだが、マスコミはこれを問題視していない。
不思議である。
なぜか?
2008年に航空幕僚長だった田母神俊雄氏が政府見解と反する論文を発表したときにはマスコミは蜂の巣をつついたような大騒ぎをしたその結果として田母神氏は更迭されたのである。今回の件も同様のケースなのだが、マスコミは大して騒ぎもせず、むしろ財務省側の立場で矢野事務次官を擁護しているのが実態である。
その理由は2つある。
(1)そもそもマスコミには矢野事務次官が出した論文の内容が理解できていない。(蔑笑)
(2)マスコミは財務省とべったり・ズブズブの関係、つまり財務省のポチなので財務省を敵に回すような報道はしない。それどころか、完全に正論である高橋氏の言説を異端(キワモノ)扱いすることで排除しようとしている。この凶悪な姿勢が変わらないから、だから”マスゴミ”と呼ばれるのである。(蔑笑)
日本マスコミの腐敗は行き着くところまで行っている。自分たちの保身と儲け、それと左派勢力に肩入れすることを第一に考え、その為には嘘も報道し、都合の悪いことは報道しない…それがマスコミなのだ。反吐が出そうなほど腐った連中である。
経済学者の高橋洋一氏やジャーナリストの有本香氏などは矢野康治事務次官がやったことを「官僚の矩(のり)を超えている」と指摘する。矢野氏のような人物が財務省の事務方トップであることは絶対におかしいのであり、要するに「本来なら即刻更迭が妥当」と言うほど酷い反則行為をやらかしたのである、矢野氏は。後述するが、その反則行為は”世界の笑われ者レベル”な無知から発している。
それでは、矢野康治財務事務次官の論文がどのように間違っているのかを高橋洋一氏の解説をベースにして記してゆく。
高橋氏は最初から「矢野論文は間違っている」と自信を持って断言する。
この論文を採点するなら、会計学の観点から0点。金融工学の観点からも0点。以上。・・・なほど酷い内容なのである。
1.会計学の観点から
財務省は以前から「ワニの口」という表現を使ってきた。これは矢野氏が言い出したものである。ワニの口とはなにか?
国の歳出は一貫して伸び続ける一方、税収はバブル経済が崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はワニの口のように開いた。また、その差は借金である公債の発行で穴埋めされてきた。・・・と財務省は説明する。マスコミもこれを年中使って説明している。
このワニの口型のグラフは「一般会計税収」となっているのだが、しかし実際には政府には多くの財布があり、一般会計だけではなく種々の会計が存在している。特別会計も政府関係予算(特殊法人等々、百個くらいある)もあるのだ。これらを全部合計しなければ意味がない、というのが本当のところだ。だが、矢野氏・財務省は「一般会計」だけを挙げて「ほら、ワニの口だぁ!ヤバいよヤバいよ!」と言って脅すのである。
一般会計だけでは実態は見えないのだ。本来なら様々な会計を全部合わせて財務諸表を見てやらないと駄目なのだ。財務省が挙げたワニの口グラフは、普通の企業で言えば損益計算書の一部でしかないのである。財政の本当の状況を見るのなら損益計算書ではなく貸借対照表を見なければならない。これが一番のポイントであり、毎年の損益計算の話などは貸借対照表に全部反映されるのである。貸借対照表が一番重要なのだ。
下記は高橋洋一氏が作成した政府の連結バランスシートである。
↑これは特別会計・一般会計含めて政府子会社も全部含めたグループ決算である。枠内背景が灰色の部分は日本銀行の分である。
高橋氏が最初に政府のバランスシートを作成したのは1995年のことである。それまでは無かったのだが、作ってみたら大蔵省の嘘が判ったのであった。大蔵省はこのバランスシートを絶対に外に出すな、と高橋氏に厳命した。高橋氏はそれを守って言わなかったのだが、小泉政権時に小泉総理から要望されたことでついに公開したのである。これが2005年のことだ。
ちなみに矢野康治氏は、この2005年に「このままでは国の財政が危ない」というテーマの本を出している。これは高橋氏が国の財政が何も問題ない事をデータを示して証明した事への対抗である。
ちなみに上図のバランスシートで「資産:1000」「国債:1500」は今でも財務省のホームページに掲載されているのだが、全然報道されていない。それはマスコミの恣意に依るものであろう。その裏には財務省の意向があるものと推定される。
日本銀行は国債資産を500兆持っており、銀行券負債500兆というのが日本銀行のバランスシートである。これらを合わせると政府全体のバランスシートになるのだ。
負債を見てみよう。「国債:1500兆」となっているが、「銀行券等500兆」というのは「形式負債」と呼ばれるものである。「銀行券」とは「お札」のことだ。お札は無利子無償還である。お札を持ってる人に利払いはされない。そりゃそうだろう、お札を持ってるだけで日銀から利子を受け取る人など居る訳がない。お札は無利子であり、しかも無償還なのでこんなものは負債にカウントしないのが普通なのである。カウントはしないが会計上は記さなければいけないものである。だが、無利子無償還なので負債からは消える…そういうことなのだ。
さて、そうなると・・・1500兆の資産と1500兆の負債で
「何の問題もありません」
となるのだ。当然である。
従って
「財政は全く問題ない」
これが結論である。
これが会計学の観点から見た話であるが、このような内容を語らずに「ワニの口で危ない」と煽るのは専門家としては明らかにおかしく、本気で言ってるのなら相当なポンコツである。矢野氏の言い方は非常に不適切なのであり、本当にこう考えているのなら財務省トップの資格はない。文藝春秋も同罪だ。ごく一部の収支だけで日本の財政が危ないと言うのは無知の為せるものであり、お里が知れる、と言われても仕方のないものなのだ。正確なバランスシートは上図の通りであり、これは政府内ではちゃんと知られているものである。
以上が会計的な意味に於ける矢野論文への批判である。
要するに・・・
一部のフローしか見ずに財政が危ないと言っているところが間違いであり、正しいバランスシートで見れば危なくない事は明白なのである。
ちなみに、高橋氏が1995年に作成した上図のバランスシートは、2005年から公表していて、海外で日本の国債を説明する時にはこの図を用いている。だから海外では「日本の国債は大丈夫だ」と評価されているのである。
このように説明すると、必ず「金利が上がったら返せなくなる」と煽る輩が出現する。実は矢野次官もそうだ。しかしそれは馬鹿なことである。負債が上がっても資産の方も上がるので問題はないのだ。収支の一部分(一般会計)だけを見るからあたかも大変なように見えてしまうのである。
これらは高橋氏に依れば簿記をやっていれば判る話、とのことである。
2.金融工学の観点から
矢野論文の問題点は会計論だけではない。矢野氏は15年前から「待ったなしの財政危機」などと言っているが全然はずれているのだ。
文藝春秋に掲載された矢野論文の中には「破綻する」という表現が出てくる。
「破綻」と言う以上は「破綻の確率を計算しろ」、というのが高橋氏の意見である。ここが問題で、多くの人たちはここが判らないまま何となく「破綻」と言っているのである。(蔑笑)
破綻というのは確率の話である。確率で計算できるのである。
「破綻の確率の計算も出来ないで破綻と言うな」、ということなのだ。根拠薄弱なまま雰囲気だけで「破綻」を言っている人間のなんと多いことか、と嘆く高橋氏である。
破綻の確率の計算は「金融工学」の分野である。これは確かに難しく、多くの人々、特に文系の人間にはかなり無理がある分野かもしれない。
金融工学に依る計算では5年間の破綻確率はだいたい1%(各年0.2%)となる。矢野次官がいくら「破綻だ」と喚いたところで、その確率は「5年間で1%程度」でしかない。この数字をもっと理解しやすく表現すると・・・例えば、今日の降水確率が0%なのに「台風に備えて外出は控えましょう」と言ってるようなものである。どんだけ阿呆か…というレベルであることはお判りいただけるであろう。
まず、普通の人間の認識として「5%以下の確率はほぼ認識できない」のである。従って、「財政破綻は無い」と捉えるのが普通…ということになる。これが金融工学で出てくる破綻の確率なのだ。これがファイナンス論という金融工学の話である。それを全く違う形で言っているから矢野氏は間違いだ、と断罪されるのである。
全く危なくないにも関わらず、「国家財政が破綻します」という矢野次官。こんなことを吹聴する方が逆に色々な意味で危険であろうし、デタラメを言って国民を惑わすのはいかがなものだろうか。きちんと真面目にやっていただきたいものである。
このような話をすると「意見の自由でしょ」と言って話を無効化しようとする人が出てくるが、そもそもこれは「意見ではない」のだ。会計の観点・金融工学の観点から見てデタラメな主張をしているから「それは間違いでしょ」、と言っているのである。平易に言うなら「1+1=5ですよ、皆さん」と主張する人に「それは間違いですね」と指摘する…このレベルの間違いを矢野氏は犯しているのであり、それを普通に指摘している、ということである。矢野氏は基礎知識すら欠如している人物である…ということだ。財務省事務次官である以前に、そもそも役人として驚くほど無知であることをあの論文で自ら証明してしまったのである。こんな人物が財務省のトップを任されている日本。実に恥ずかしく情けない事である。
ちなみにIMF(国際通貨基金)も以前から公式に「日本の財政は大丈夫」と太鼓判を押しているのである。これだけの状況がありながら「大変だー!財政が危ないぞー!待ったなしだー!」とオオカミ少年を演じる矢野氏には恥を知っていただきたいものである。
矢野康治氏・・・どこに出しても恥ずかしい人物である。
次に、矢野康治事務次官の論文に対する政界・経済界などの反応を見てみよう。
経団連や同友会は「いいんじゃないですか?」と言ってしまった。これは非常に恥ずかしいことである。あれで良いと思うのなら会計学も出来ず、とても企業経営など出来ないレベルである。財務諸表を読めません、と白状しているようなものだ。とてもじゃないが恥ずかしくて言えないレベルである。その事をマスコミも誰も指摘していない。指摘できないのであり、正に恥ずかしい連中である。
なぜか。
内容がまるで理解できていないからである。テレビ局は矢野次官の話に乗っかっているが、内容について言えない(理解出来てない)ので大馬鹿を天下に晒す醜態を見せている。(蔑笑)
矢野論文の内容について話ができず、手続き論をゴニョゴニョ言う人々は怪しいのだ。
政界はどうか。
政治家は2つに分かれる。事前に財務省から根回しを”受けた人”と”受けてない人”、である。財務省は何をやるにも事前の根回しは必ず欠かさない省庁である。今回の矢野論文に於いても間違いなく根回しはしていると見て間違いない。
その証拠に岸田総理は本来更迭ものの処分が妥当な今回のケースでも歯切れが悪い。恐らく事前の根回しを受けていて、その段階でOKを出してしまっているからだ。だから今さら更迭などできないのである。あのような0点の論文を書く人物を財務事務次官に任命している時点で岸田総理のお里が知れる、というものである。
財務省に依る事前の根回しを受けてないと思われる政治家はどうだろうか。高市政調会長は「馬鹿にしてんじゃないよ」という言い方で不快感を顕にしている。公明党の竹内政調会長も「政治家はそんなに馬鹿じゃない」と言って同じく不快感を表明している。
改めて過去の経緯を振り返る。
25年前には政府の中に全体のバランスシートは存在しなかった。高橋氏が大蔵省時代に「財政投融資改革をしてくれ」と依頼された時に高橋氏は「バランスシートを作らせてくれ」、と願い出た。実際に高橋氏しか財政投融資改革はできないのでOKが出たのである。それで高橋氏は全体のバランスシートを作成したのだが、いざ作ってみたら財務省が言ってることが全部ウソであることが判ってしまったのである。高橋氏が上司に「嘘だったんですね」と言ったところ、上司は「黙ってろ」と厳命した。それで高橋氏はこの件についてしばらく黙っていたのである。
「表には出すな」と言われていたバランスシートだが、作成から10年後の小泉政権で小泉総理が「借金30兆円くらい大したことはない」と言い切ったことで騒ぎになった。財務省も大慌てで小泉総理に大して「大変ですよ」と進言したのだが、その時に高橋氏が「このバランスシートを見れば大したことはないですね」と証言したことで、小泉総理は「じゃぁそれ(バランスシート)を出せ」という流れになった。それで高橋氏作成のバランスシートが公表されたのである。
一方、同じ時期(2005年)に矢野康治氏は「決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために」という本を出版している。例の「ワニの口」を出して一つの収支だけで財政危機を論じる著書である。小泉政権で明らかになった高橋氏のバランスシートにやっかみを感じた矢野氏の高橋氏への対抗心なのかもしれない。
高橋洋一氏はこのバランスシートについては自民党の中で説明したこともあるのだが、それは高市早苗氏(現政調会長)には届いたが、岸田総理には理解できなかったのであろう。岸田氏自身が財務省人脈が多い宏池会所属であり、財務省寄りの人物であることも関係しているのかもしれない。
財務省も増税したいばかりに虚偽の主張をするのはいい加減にやめていただきたいものだ。もう既に多くの心ある国民は財務省の主張が嘘であることを「知っている」のだから。
最後にマスコミについて。
マスコミはそもそも今回の件で何がどう問題なのかも理解していない阿呆揃いである。しかも財務省のポチなので無批判に財務省の言い分だけを認める報道をするだけでなく、高橋氏の言説を異端(キワモノ)扱いして排除しようとする。マスコミは本当に腐りきった醜い連中である。
ちなみに政界は矢野次官の意見など全く意に介していない。政界では高橋氏の意見が正しいことは言うまでもない事だからであり、何より国際社会で日本の財政に問題が無い事を示す時に差し出す資料は高橋氏が作成したものなのだ。(笑)
それでも頭が悪く悪意に満ちたマスコミは財務省のヘンチクリンな見解(何処にも通用しない意見)にしがみつくのである。(蔑笑)
☆
官僚・役人という存在は本来「事務方」であり、政治的な主張をする立場にはない。その意味で矢野事務次官は明らかに立場を超えてやり過ぎており、看過できない増長ぶりを見せていると言えよう。もっとも、昔から実質的に日本の政治を動かしてきているのは官僚であり、長年のその思い上がった感覚が基礎的な立場まで忘却させてしまうほど麻痺していたのかもしれない。
実際にこれはとんでもないことなのだが、マスコミはこれを問題視していない。
不思議である。
なぜか?
2008年に航空幕僚長だった田母神俊雄氏が政府見解と反する論文を発表したときにはマスコミは蜂の巣をつついたような大騒ぎをしたその結果として田母神氏は更迭されたのである。今回の件も同様のケースなのだが、マスコミは大して騒ぎもせず、むしろ財務省側の立場で矢野事務次官を擁護しているのが実態である。
その理由は2つある。
(1)そもそもマスコミには矢野事務次官が出した論文の内容が理解できていない。(蔑笑)
(2)マスコミは財務省とべったり・ズブズブの関係、つまり財務省のポチなので財務省を敵に回すような報道はしない。それどころか、完全に正論である高橋氏の言説を異端(キワモノ)扱いすることで排除しようとしている。この凶悪な姿勢が変わらないから、だから”マスゴミ”と呼ばれるのである。(蔑笑)
日本マスコミの腐敗は行き着くところまで行っている。自分たちの保身と儲け、それと左派勢力に肩入れすることを第一に考え、その為には嘘も報道し、都合の悪いことは報道しない…それがマスコミなのだ。反吐が出そうなほど腐った連中である。
経済学者の高橋洋一氏やジャーナリストの有本香氏などは矢野康治事務次官がやったことを「官僚の矩(のり)を超えている」と指摘する。矢野氏のような人物が財務省の事務方トップであることは絶対におかしいのであり、要するに「本来なら即刻更迭が妥当」と言うほど酷い反則行為をやらかしたのである、矢野氏は。後述するが、その反則行為は”世界の笑われ者レベル”な無知から発している。
それでは、矢野康治財務事務次官の論文がどのように間違っているのかを高橋洋一氏の解説をベースにして記してゆく。
高橋氏は最初から「矢野論文は間違っている」と自信を持って断言する。
この論文を採点するなら、会計学の観点から0点。金融工学の観点からも0点。以上。・・・なほど酷い内容なのである。
1.会計学の観点から
財務省は以前から「ワニの口」という表現を使ってきた。これは矢野氏が言い出したものである。ワニの口とはなにか?
国の歳出は一貫して伸び続ける一方、税収はバブル経済が崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はワニの口のように開いた。また、その差は借金である公債の発行で穴埋めされてきた。・・・と財務省は説明する。マスコミもこれを年中使って説明している。
このワニの口型のグラフは「一般会計税収」となっているのだが、しかし実際には政府には多くの財布があり、一般会計だけではなく種々の会計が存在している。特別会計も政府関係予算(特殊法人等々、百個くらいある)もあるのだ。これらを全部合計しなければ意味がない、というのが本当のところだ。だが、矢野氏・財務省は「一般会計」だけを挙げて「ほら、ワニの口だぁ!ヤバいよヤバいよ!」と言って脅すのである。
一般会計だけでは実態は見えないのだ。本来なら様々な会計を全部合わせて財務諸表を見てやらないと駄目なのだ。財務省が挙げたワニの口グラフは、普通の企業で言えば損益計算書の一部でしかないのである。財政の本当の状況を見るのなら損益計算書ではなく貸借対照表を見なければならない。これが一番のポイントであり、毎年の損益計算の話などは貸借対照表に全部反映されるのである。貸借対照表が一番重要なのだ。
下記は高橋洋一氏が作成した政府の連結バランスシートである。
↑これは特別会計・一般会計含めて政府子会社も全部含めたグループ決算である。枠内背景が灰色の部分は日本銀行の分である。
高橋氏が最初に政府のバランスシートを作成したのは1995年のことである。それまでは無かったのだが、作ってみたら大蔵省の嘘が判ったのであった。大蔵省はこのバランスシートを絶対に外に出すな、と高橋氏に厳命した。高橋氏はそれを守って言わなかったのだが、小泉政権時に小泉総理から要望されたことでついに公開したのである。これが2005年のことだ。
ちなみに矢野康治氏は、この2005年に「このままでは国の財政が危ない」というテーマの本を出している。これは高橋氏が国の財政が何も問題ない事をデータを示して証明した事への対抗である。
ちなみに上図のバランスシートで「資産:1000」「国債:1500」は今でも財務省のホームページに掲載されているのだが、全然報道されていない。それはマスコミの恣意に依るものであろう。その裏には財務省の意向があるものと推定される。
日本銀行は国債資産を500兆持っており、銀行券負債500兆というのが日本銀行のバランスシートである。これらを合わせると政府全体のバランスシートになるのだ。
負債を見てみよう。「国債:1500兆」となっているが、「銀行券等500兆」というのは「形式負債」と呼ばれるものである。「銀行券」とは「お札」のことだ。お札は無利子無償還である。お札を持ってる人に利払いはされない。そりゃそうだろう、お札を持ってるだけで日銀から利子を受け取る人など居る訳がない。お札は無利子であり、しかも無償還なのでこんなものは負債にカウントしないのが普通なのである。カウントはしないが会計上は記さなければいけないものである。だが、無利子無償還なので負債からは消える…そういうことなのだ。
さて、そうなると・・・1500兆の資産と1500兆の負債で
「何の問題もありません」
となるのだ。当然である。
従って
「財政は全く問題ない」
これが結論である。
これが会計学の観点から見た話であるが、このような内容を語らずに「ワニの口で危ない」と煽るのは専門家としては明らかにおかしく、本気で言ってるのなら相当なポンコツである。矢野氏の言い方は非常に不適切なのであり、本当にこう考えているのなら財務省トップの資格はない。文藝春秋も同罪だ。ごく一部の収支だけで日本の財政が危ないと言うのは無知の為せるものであり、お里が知れる、と言われても仕方のないものなのだ。正確なバランスシートは上図の通りであり、これは政府内ではちゃんと知られているものである。
以上が会計的な意味に於ける矢野論文への批判である。
要するに・・・
一部のフローしか見ずに財政が危ないと言っているところが間違いであり、正しいバランスシートで見れば危なくない事は明白なのである。
ちなみに、高橋氏が1995年に作成した上図のバランスシートは、2005年から公表していて、海外で日本の国債を説明する時にはこの図を用いている。だから海外では「日本の国債は大丈夫だ」と評価されているのである。
このように説明すると、必ず「金利が上がったら返せなくなる」と煽る輩が出現する。実は矢野次官もそうだ。しかしそれは馬鹿なことである。負債が上がっても資産の方も上がるので問題はないのだ。収支の一部分(一般会計)だけを見るからあたかも大変なように見えてしまうのである。
これらは高橋氏に依れば簿記をやっていれば判る話、とのことである。
2.金融工学の観点から
矢野論文の問題点は会計論だけではない。矢野氏は15年前から「待ったなしの財政危機」などと言っているが全然はずれているのだ。
文藝春秋に掲載された矢野論文の中には「破綻する」という表現が出てくる。
「破綻」と言う以上は「破綻の確率を計算しろ」、というのが高橋氏の意見である。ここが問題で、多くの人たちはここが判らないまま何となく「破綻」と言っているのである。(蔑笑)
破綻というのは確率の話である。確率で計算できるのである。
「破綻の確率の計算も出来ないで破綻と言うな」、ということなのだ。根拠薄弱なまま雰囲気だけで「破綻」を言っている人間のなんと多いことか、と嘆く高橋氏である。
破綻の確率の計算は「金融工学」の分野である。これは確かに難しく、多くの人々、特に文系の人間にはかなり無理がある分野かもしれない。
金融工学に依る計算では5年間の破綻確率はだいたい1%(各年0.2%)となる。矢野次官がいくら「破綻だ」と喚いたところで、その確率は「5年間で1%程度」でしかない。この数字をもっと理解しやすく表現すると・・・例えば、今日の降水確率が0%なのに「台風に備えて外出は控えましょう」と言ってるようなものである。どんだけ阿呆か…というレベルであることはお判りいただけるであろう。
まず、普通の人間の認識として「5%以下の確率はほぼ認識できない」のである。従って、「財政破綻は無い」と捉えるのが普通…ということになる。これが金融工学で出てくる破綻の確率なのだ。これがファイナンス論という金融工学の話である。それを全く違う形で言っているから矢野氏は間違いだ、と断罪されるのである。
全く危なくないにも関わらず、「国家財政が破綻します」という矢野次官。こんなことを吹聴する方が逆に色々な意味で危険であろうし、デタラメを言って国民を惑わすのはいかがなものだろうか。きちんと真面目にやっていただきたいものである。
このような話をすると「意見の自由でしょ」と言って話を無効化しようとする人が出てくるが、そもそもこれは「意見ではない」のだ。会計の観点・金融工学の観点から見てデタラメな主張をしているから「それは間違いでしょ」、と言っているのである。平易に言うなら「1+1=5ですよ、皆さん」と主張する人に「それは間違いですね」と指摘する…このレベルの間違いを矢野氏は犯しているのであり、それを普通に指摘している、ということである。矢野氏は基礎知識すら欠如している人物である…ということだ。財務省事務次官である以前に、そもそも役人として驚くほど無知であることをあの論文で自ら証明してしまったのである。こんな人物が財務省のトップを任されている日本。実に恥ずかしく情けない事である。
ちなみにIMF(国際通貨基金)も以前から公式に「日本の財政は大丈夫」と太鼓判を押しているのである。これだけの状況がありながら「大変だー!財政が危ないぞー!待ったなしだー!」とオオカミ少年を演じる矢野氏には恥を知っていただきたいものである。
矢野康治氏・・・どこに出しても恥ずかしい人物である。
次に、矢野康治事務次官の論文に対する政界・経済界などの反応を見てみよう。
経団連や同友会は「いいんじゃないですか?」と言ってしまった。これは非常に恥ずかしいことである。あれで良いと思うのなら会計学も出来ず、とても企業経営など出来ないレベルである。財務諸表を読めません、と白状しているようなものだ。とてもじゃないが恥ずかしくて言えないレベルである。その事をマスコミも誰も指摘していない。指摘できないのであり、正に恥ずかしい連中である。
なぜか。
内容がまるで理解できていないからである。テレビ局は矢野次官の話に乗っかっているが、内容について言えない(理解出来てない)ので大馬鹿を天下に晒す醜態を見せている。(蔑笑)
矢野論文の内容について話ができず、手続き論をゴニョゴニョ言う人々は怪しいのだ。
政界はどうか。
政治家は2つに分かれる。事前に財務省から根回しを”受けた人”と”受けてない人”、である。財務省は何をやるにも事前の根回しは必ず欠かさない省庁である。今回の矢野論文に於いても間違いなく根回しはしていると見て間違いない。
その証拠に岸田総理は本来更迭ものの処分が妥当な今回のケースでも歯切れが悪い。恐らく事前の根回しを受けていて、その段階でOKを出してしまっているからだ。だから今さら更迭などできないのである。あのような0点の論文を書く人物を財務事務次官に任命している時点で岸田総理のお里が知れる、というものである。
財務省に依る事前の根回しを受けてないと思われる政治家はどうだろうか。高市政調会長は「馬鹿にしてんじゃないよ」という言い方で不快感を顕にしている。公明党の竹内政調会長も「政治家はそんなに馬鹿じゃない」と言って同じく不快感を表明している。
改めて過去の経緯を振り返る。
25年前には政府の中に全体のバランスシートは存在しなかった。高橋氏が大蔵省時代に「財政投融資改革をしてくれ」と依頼された時に高橋氏は「バランスシートを作らせてくれ」、と願い出た。実際に高橋氏しか財政投融資改革はできないのでOKが出たのである。それで高橋氏は全体のバランスシートを作成したのだが、いざ作ってみたら財務省が言ってることが全部ウソであることが判ってしまったのである。高橋氏が上司に「嘘だったんですね」と言ったところ、上司は「黙ってろ」と厳命した。それで高橋氏はこの件についてしばらく黙っていたのである。
「表には出すな」と言われていたバランスシートだが、作成から10年後の小泉政権で小泉総理が「借金30兆円くらい大したことはない」と言い切ったことで騒ぎになった。財務省も大慌てで小泉総理に大して「大変ですよ」と進言したのだが、その時に高橋氏が「このバランスシートを見れば大したことはないですね」と証言したことで、小泉総理は「じゃぁそれ(バランスシート)を出せ」という流れになった。それで高橋氏作成のバランスシートが公表されたのである。
一方、同じ時期(2005年)に矢野康治氏は「決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために」という本を出版している。例の「ワニの口」を出して一つの収支だけで財政危機を論じる著書である。小泉政権で明らかになった高橋氏のバランスシートにやっかみを感じた矢野氏の高橋氏への対抗心なのかもしれない。
高橋洋一氏はこのバランスシートについては自民党の中で説明したこともあるのだが、それは高市早苗氏(現政調会長)には届いたが、岸田総理には理解できなかったのであろう。岸田氏自身が財務省人脈が多い宏池会所属であり、財務省寄りの人物であることも関係しているのかもしれない。
財務省も増税したいばかりに虚偽の主張をするのはいい加減にやめていただきたいものだ。もう既に多くの心ある国民は財務省の主張が嘘であることを「知っている」のだから。
最後にマスコミについて。
マスコミはそもそも今回の件で何がどう問題なのかも理解していない阿呆揃いである。しかも財務省のポチなので無批判に財務省の言い分だけを認める報道をするだけでなく、高橋氏の言説を異端(キワモノ)扱いして排除しようとする。マスコミは本当に腐りきった醜い連中である。
ちなみに政界は矢野次官の意見など全く意に介していない。政界では高橋氏の意見が正しいことは言うまでもない事だからであり、何より国際社会で日本の財政に問題が無い事を示す時に差し出す資料は高橋氏が作成したものなのだ。(笑)
それでも頭が悪く悪意に満ちたマスコミは財務省のヘンチクリンな見解(何処にも通用しない意見)にしがみつくのである。(蔑笑)
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