茅ヶ崎海岸
朝5時に起き、山手線から東海道線に飛び乗った
絲山さんのエッセイに、引っ越す町々のど真ん中で、どういう訳か祭りがあるという文があった。
お祭り命のデカイ面した親父が翌日になるとしょぼいオッサンに様変わりする痛切に思わず、笑ってしまう。たしかにいる、いる、そんなオヤジたち。
いや、まてよ!
おいらもそう思われているのじゃないか、と顔が引き攣る。
酒もそう、祭りもそう、一時の狂騒で日頃の憂さを晴らせればいいんじゃないかと思っている。
まして、封建の時代、祭りは鎮魂のためにあった。震災後、考えさせられたことでもある。
人に迷惑をかけさえしなければ……。
そういう点では、禁煙している煙草もそうだな。
いまや高額納税者といえる、酒飲みと煙草飲み。酒は無用なクダや喧嘩ははた迷惑なだけだ。一人二人で静かに、もしくは仲間と陽気に飲む酒は世の優れもの。煙草は何故か吸いたくない者に煙が向かってゆくのが問題なんだよな。
止めちまうとこんなことをほざく。無駄に敵を作ってしまうなァ。
観るアホと、踊るアホ。そりゃ踊るアホのが愉しいはず。
御神輿も担ぎ手の愉悦たるや、やってみないと判るまい。その汗の輝きが見学者をも虜にするのやもしれないね。
浜降祭
「どっこいと 相州浜や 夏トンビ」 海光
御神輿が海に入る祭り。都内では、品川の荏原神社の天王祭かっぱ祭りが有名だろう。
師の家のある茅ヶ崎は、おいらにとって特別な地でもある。
そこで見つけたのが、そう! この「浜降祭」だ。
この祭りの起源は諸説あるらしいが、江戸時代の後期、相模川を渡御する際、寒川神社の氏子と地元の氏子が喧嘩をし、行方不明になったそうな。その数日後、南湖の漁師の網にご神体がかかった。その御礼を兼ねて、海に入って禊(みそぎ)を行うようになったというのがひとつ。
御神輿の傍にいくと、「茅ヶ崎甚句」の唄が聴こえてくる。土着の唄って、味わいがあって、いいもんだ。
相州の土地ならではの「どっこい!どっこい!」という掛け声は、三社で育ったおいらには新鮮である。
午前4時の宮出しは、地元民でなければ到底無理な相談だが、8時頃から始まる「みそぎ」は壮観であり、圧巻である。34神社の御神輿が一斉に海に入ってみそぎを行う。
揃いのカラータオルで締めた34基の神輿は、よく見ると微妙に担ぎ方が違う。これも面白い。
担ぎ棒は、前後を通した2本のみ。
御神輿横に、西洋のドアーノックのような金属がついており、それを「トンッ!カンッ!トン!」と鳴らして練る。
この日は、海の日。今年はじめての海だ。
朝方覆っていた雲が徐々に散り、お陽さまが顔を出した。
目の前に広がる蒼い大空に、群青にたゆたう大海原と白い波の飛沫!
それを一望できる茅ヶ崎の浜を、どっこい!どっこい!の掛け声の下、御神輿と担ぎ手、観客が一帯となる。
あー、いい気分になれた。
隣の浜は、サザンビーチ。
復活した青春の音は、また次回ご紹介しやす
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