大寒桜
「薄紅や卒業までの背丈見ゆ」哲露
大寒桜の蕾がひらいた
たゆたう流れ。空を見上げれば、雲も染みも何もない紺碧が広がっている。
胸いっぱいに大気を吸い込む。
花粉もPM2.5も全開で、平成の世はうかうかと深呼吸もできやしねえが、それでもこの蒼い空には心が躍る。
寒桜の花が川沿いの公園に、艶やかなピンク色を染めている。
カメラを構える人、犬の散歩中立ち止まる人、人も犬もユリカモメの顔もほころぶ。
ようやく長く凍える灰色のトンネルを抜けた。
朝陽も眩しい、浅草に春が来たのだ。
カラダが軽い。
永代橋まで走った。隅田川東岸を行くと芭蕉が見下ろす小名木川に出る。
若い女性、カップル、拙者と同じおじさん。カラフルに纏うランナーが多い。
およそ健康的な人の営みに、ホッと胸を撫でおろす。
西岸を戻って、かつても火除け地、両国広小路の喧噪を思い浮かべる。
大川の風を切りながら、自分だけの小説世界が広がっていく。
これから暑いだろう夏に向けて、やっと自分の季節が来たと思うと嬉しさであふれる。
敦盛の節に近づいた。
人生五十年、下天の内をくらぶれば夢幻のごとくなり。
幸若舞は踊れまいが、いっそ太極拳でも舞おうか。
ソメイヨシノの芽
染井吉野の芽が膨らみはじめた。
仲間と酒を酌み交わす恒例の行事もあと三週間後。
アラフィフでの結婚、男子の出産、児童文学の入賞と仲間の吉報がつづく。
ソワソワとした気持ちのなか、私は自分のペースで、オリジナルの小説世界を書き綴っていく。
春の陽光とともに、スイッチが入った。
とかく生きにくい浮世でございますが、せいぜい風物を愛でて飄といきやしょう
なるほど。
古典舞踊に見られる構え、運び、腰を入れる、直線的な立ち姿は、たしかに体幹トレーニングに相通ずるものがあるようにも思いますね。姿勢がいいと若く、美しく見られる。まして新しい感性が目覚めるとあれば、試さない手はないですな。