週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

都電と薔薇

2014年05月28日 | ★江戸っ子エッセイ★



 都心でも30度を記録する暑さが戻ってきた

 戻ってきたというのは、私が無類の夏好きで、この季節を待っていたから。

 各地で樹木の緑が映え、色とりどりの花が目を楽しませている。

 大塚の都電通り一帯は、いまや丸の内のOLが通う隠れ家の店が多い。 

 その坂道に、赤、黄、ピンク、白、桃色の薔薇たちが咲き乱れている。 

 

 豹柄の彩色を施した車両は帝京大学のもの。

 一見、グロいようだが、都バスと同様、都の収入源の一つとして宣伝に勤めているのだ。

 

 桜カラーは、城北信用金庫のもの。

 三井住友(さくら)銀行と間違えないように。

 

 こちらは最新車両だろう。

 富山の市電のごとく欧州レイルの雰囲気もまたいい。

 レトロ車両と旧装飾の車両は撮れませなんだ。

 代わりに、下記の写真を。

 

 「五月空目抜き通りをチンチンと」 哲露

 会社の裏手にある公園に、旧車両が展示されている。

 錆が浮いて、もの悲しい風情ではあるが、昭和40年代に生まれた私の頭のなかでは、東京の景観の主役そのものである。

 

 三社祭のとき、地元の友人と都電に乗った際の記憶が話題にのぼった。 

 私はといえば、今は無き仁丹塔の前で父と安全地帯(都電が道の真ん中で停車するための駅)で手をつないで都電を待っていた記憶が鮮明にある。

 今戸に住む友人は、大川沿いのバス通りを都電で走ったという。

 貧しかったし、ITに慣れた現代人からすると便利とは程遠い時代だけど、人々の顔はどこまでも優しく、大人たちには寛容があり情にもあふれていたように思う。

 松屋デパートの屋上には、スポーツランドがあり、花やしきも入場券などいらず、子供たちには天国だった時代。

 都電に乗って、お出かけする。

 それだけで、ウキウキした気分になれたものだ。

 

 日比谷花壇で、薔薇の花一輪、10年前で800円だった。

 とすると、この沿道の薔薇の価値やいくらほどか。

 なんて、どうも庶民は下世話で仕方ない。

 でも、その価値は十分。

 だって、このバラの花びらを見ているだけで、こころが豊かになれるんだから

  



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