鳥越神社の千貫御輿
【夏の野に白いダボシャツ洗いたて】哲露
浅草では、最初のお富士さんが過ぎると、今戸と鳥越の祭りが来る
子供の頃、実家の町内が今戸神社の氏子だったので、鳥越は話しに聞くだけで担ぐどころか見た事すらなかった。
三社祭の本社神輿の一之宮の重さが1060Kgの約1トン強、貫目に直すと、283貫。
鳥越の本社神輿は、なんと3倍以上の、千貫(4トン)ある。
三社祭の本社を担ぐのが浅草っ子の通過儀礼として、隣町の千貫御輿はいつか担いでみたい憧れだった。
宮入の日曜日、家族で見学にいく。
この神社の廻りに、数え切れないほどの露天商が出る。
しかも、昨今見たこともない、全国津々浦々の食材の屋台があって面白い。
図体だけ大きくなっても、そこは子供だ。
食い物で釣ると、父ちゃんにも付き合ってくれるのだ。
高張提灯は、鬼平の時代劇だけじゃない。
下町では今でも健在!
荒っぽさは、三社祭と双璧かそれ以上のようにおもえる。
そのせいだろう、警官の数が半端じゃない。
統率が取れた警備は、かなりの訓練の証。
そろった掛け声に、日体大が多いんだろうな、という長男のひと声に笑ってまう。
おかず横丁側から見ていたら、なかなかこない。
蔵前橋通り、氏子と氏子を渡しながら、ゆっくりと行ったり来たりしている。
ようやく目の前に来た!
町会が渡御した瞬間、天に向かってさした。
いよいよクライマックスだ。
数年前は神社の鳥居傍で見たが、あちこちで乱入するヤンチャな男たちがいて騒然となった。
今年はバリケードが張られ、近づくことは叶わない。
いいんだかどうだか。これも時代の趨勢か。
黒ラベルでホロ酔いになり、露天を冷やかしながら歩く。
その脇を子供らは小銭を握って走る。すれ違う若者の活気がうれしい。
大人たちは、地べたやらビールケースやらに腰掛けて、さらに本格的に飲もうという態勢。
夕暮れ、明かりが灯る。
お江戸の夏が駆け足でやってきた。
角萬の冷やし肉南蛮そば
一葉記念館のそばに、そば界のB級グルメがある。
たまに無性に食いたくなる。
遠方から来られる紳士諸君もたくさん。
夏は麺がことさら旨いのだ。
注文は、ひや肉と一言。大盛りは、ひや大と。
祭りもひと息ついた。
夕刻の日も伸びて、大層気分がいい。
落ち着かぬ気持ちを沈めて、自分自身に向き合わないことにはいつまでも書けない。
送別、壮行、打ち上げ、親睦、再会と宴会がつづく。
どれもサラリーマンとしての人の営み、付き合いだけに仕方ないと諦めているんだが………。
昨夜の同窓との会合は一次会スナック、二次会ボックスとカラオケ三昧、しかも午前二時半まで歌う通しの粋狂。
カラダは疲弊し、酔いすぎの同期になぜだか憔悴した。ここはココロに喝をいれなきゃ。
継続性、才能、どちらも泣きたくなるほどの乏しさ、小ささ。
少しずつ、すこしずつやっていくしかない、そういうことよ