週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

酉の市。

2013年11月08日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
                            竜泉町 鷲神社

 酉の市が始った

 熊手を担ぐひとを見ると、もう年の瀬か、と時の早さを痛感する。 

 今年はいわゆる三の酉で、言い伝えによると、火事が多いということになっている。

 科学という言葉もなく闇が深かった時代、なにより火災を恐れた江戸の民から自然に発生した戒めじゃないだろうか。 

 火消しが走り回っても、猛火の勢いは容易には止められない。一度起こると、本丸も焼け、死傷者が千万単位に及んだことを明暦が証明している。乾燥した空っ風のなか、薪火と炭しか暖房機がないのだから、仕方のないことであった。

    
   
 景気上向きというが、それは大手資本と団塊の富裕層など一部なのだろう。

 中小の経営者は、アベノミクスより大振りの熊手に縋るのが現実である。

 大小様々に衣裳された熊手に囲まれ、威勢の良い三本締めに一服の清涼がある。

 家族と、馴染みのおばちゃんが焼くベビーカステラ屋に出直そうとしたら、小雨が降ってきた。

 この時期の雨は冷たい。

 湯上りに風邪を引いてはと諦めた、次男の残念そうな顔。

    

 
 「焼き待ちて木枯らしびゅうと合わす襟」 海光



 次の日、清洲橋まで走った帰り、仲見世に寄り、人形焼を買った。

 昔懐かしい浅草寺の鳩、五重塔、雷門を模ったつぶ餡のほうを二袋。

 iPhone5S-Gに代えて、ダウンロードしたRUNアプリのGPSで計るとイメージ通りの距離だった。

 何でもできてしまうスマホって凄いのか、怖いのか。

 論議されている秘密のこと。

 力のあるものが人の秘密を知り、暴挙に出ること、そしてその全てを隠せるなんて、これこそホラーではないのか。

 長生きしてもいいことないように思えてくるが、未来ある子供たちを思うと、そうも言ってられまい。

 自分にできること。

 それには文学に希望を託すしかない。

 次の二の酉は11/15(金)、三の酉は11/27(水)でござる。

 人形焼やカステラを食って笑って。

 そんな他愛ない小さな幸せがいつまでも続くことを願う