今回の日曜美術館は、 『春、こころの桜 日本画家・奥村土牛』です。

豊臣秀吉が盛大な花見を催したことでも知られる桜の名所、京都の醍醐寺。
その三宝院の境内に悠然と 立つ樹齢150年のしだれ桜があります。
この桜を描いたのは、奥村土牛(1889~1990)です。
私の撮影した、今年の三宝院の大枝垂れ桜です。

昭和の名画100選にも選ばれた作品です。
「醍醐」1972

優雅にしな垂れる花びらは、やわらかな陽射しをまとい、透けるような美しさです。
醍醐寺三宝院の桜に出会ったのは74歳、師匠の7回忌法要のときです。
ここの桜に究極の美を感じた土牛は、数日にわたり写生に没頭しました。
それからおよそ、10年、今年こそとの思いで書き上げたのが「醍醐」83歳の作品です。
流麗な線を重視する日本画にあって、土牛の絵はその常識と大きく異なるものでした。
輪郭があいまいにもかかわらず、奥行きと質感を感じさせる花びらは、薄い色を100回以上も塗り重ねるという手法で描かれています。


土牛は幼い頃から絵が得意で、16歳のとき画塾に入門し、日本画を6歳年上の小林古径に師事します。
小林古径は後に日本画壇を牽引する画家となります。
代表作のひとつ「髪」1931

土牛は古径から、ひたすらものをよく見て描くことを学びます。
写生の大切さを 説いた古径の教えを土牛は生涯守り、対象を食い入るようにみつめ、何度もその姿を写し取っ たといいます。
「雨趣」1928
画像では伝わりにくいですが、霞がかった集落、降り注ぐ雨の一筋一筋を描いています。


「壺に桜」

「浅間山」

「信濃の山」

柿の写生

鯉の写生


「緋鯉」1947

「聖牛」1953

「舞妓」1954

「城」1955

「鳴門」1959年、70歳の作品です。
薄い白の絵の具を何度も塗り重ねる独自の画風に到達します。

「茶室」1963

「門」1967

「吉野」1977

「醍醐」も幹を中心に描き、広がる枝はあえて描いていません。
狭い構図だからこそ、幹や花の繊細な表情が伝わってきます。
そして、画面に描かれない枝や花を想像することができます。
最後にもう一度「醍醐」。

忙しかった4月も終わり、ホッと一息ついています。
4月のお仕事の評価をこれから受けるので、気分的には完全にのんびりできませんが・・・。
先日のツツジのお写真、見事でしたね。
これからしばらくは、花々と新緑が美しいので
街歩きも楽しいです。
今月中に京都に行こうかと考えています。
いつものようにバタバタで、のんびり街歩きができるかは疑わしいですが、出来たら鈴虫寺にお礼参りに行こうかと・・・。
お仕事、おつかれさまでした。
この数日、もうひとつの天気だったのですが、今日は暑いくらいでした。
気温もぐんぐんあがり、京都も真夏日です。
今月京都にお越しになるようですが、お天気に恵まれたらいいですね。
新緑の京都もいいですよ。
私は昨年、退職直後のアレルギーで、5月はさんざんでしたが、今年は今のところ順調です。涼しい午前中にあちこち出歩くつもりです。