ハエトリグモ科のイソハエトリ Hakka himeshimensis (Donitz & Strand, 1906)
Pseudicius himeshimensisという学名も使われていて,最も新しい学名が何かは私には分らない。
去年の5月に和具大島で撮ったハエトリグモがこのほどK氏によりイソハエトリと同定された。
イソハエトリが載っている手持ちのポケット版図鑑二冊を見比べて調べていたのだが,著者が同じで,載っている写真も同じ,トリミングを変えてあるだけである。二冊の図鑑に出ているイソハエトリとは違う種ではないかとこれまで思っていた。体色や腹部の模様などに変異があるようだが,二冊ともに同一個体の同じ写真が使われているから,変異の程度が分らない。なお,二冊とも学名はMenemerus himeshimensis となっている。
追いかけても追いかけても逃げていくクモで,田中川河口のテトラポッドでも見かけるが,近寄らせてもらえず,離れたところからの写真しか撮れていない。和具大島では砂浜を這いずり回って追いかけた。岩場であったら,接写は難しかったであろう。
『鈴鹿市の自然』には,磯山海岸で記録されていた。中ノ川河口のテトラ周りで獲れたのではないかと推察している。
腹部先端の白い部分は糸いぼ。
偕成社の改訂版写真日本クモ類大図鑑ではHakka属とし,「海浜性のクモで,海岸の岩や礫の間,堤防のテトラポット,流木の上や漁船の中などにいる。敏速に徘徊して獲物を捕食する。成熟期は6~7月。」と解説している。
2009.5.24
イソハエトリの幼体
イソハエトリが暮らす和具大島の磯