田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヒメケフサイソガニ

2008-05-04 | カニ

田中川河口中央部にテトラがある。テトラの表面及び周辺はマガキが群集している。
大潮を待ってテトラに渡りカニの調査を行った。タカノケフサイソガニとケフサイソガニに加え、ヒメケフサイソガニとマキトラノオガニが見つかった。上の写真はヒメケフサイソガニの抱卵個体。

モクズガニ科 ヒメケフサイソガニ Hemigrapsus sinensis Rathbun, 1929
なお、神奈川県立博物館発行の「酒井恒博士寄贈カニ類標本目録」では、イワガニ科と紹介されている。
ケフサイソガニやタカノケフサイソガニとは異なり、♀の鋏脚にも毛があり、顔(頬部)や鋏脚に点斑は無い。
♂2個体♀4個体を発見。内♀2個体が抱卵していた。
最大個体の♂は甲幅12㎜甲長10㎜。♀は甲幅8~10㎜甲長6~9㎜であった。
なお、タカノケフサイソガニは♂100個体、♀52個体。ケフサイソガニは♀2個体。抱卵個体も見つかった。マキトラノオガニは♀1個体を採集した。
2008.5.3


♂の鋏脚は、同サイズのケフサイソガニやタカノケフサイソガニ♂に比べ大きい。
ケフサイソガニやタカノケフサイソガニのように逃げ回らず、捕まえる時にもはさまれなかった。


ヒメケフサイソガニ♂背面。 甲羅の側縁に3つの歯があり、上方に白い横帯、下方中央(心域)に白い紋が見られる。


カキ群集の中に潜むヒメケフサイソガニ


ヒメケフサイソガニ抱卵個体 
ヒメケフサイソガニは、ケフサイソガニやタカノケフサイソガニに比べ動作が緩やかであるが、抱卵個体は活発に動き回った。甲幅10㎜甲長8㎜。サイズを計測後放逐した。♀の鋏脚は♂より小型で、不動指の外側に毛が生えている。内側には無い。♂より体毛が濃いように見える。

参照 酒井コレクション細密画

ウモレベンケイガニ

2008-05-04 | カニ
ウモレベンケイガニ
田中川干潟のある場所に行くと、このウモレベンケイガニ(イワガニ科)に必ず会える。
私は8年前にこの干潟の転石の下から見つけたが、近頃この干潟の石の下からは見つからない。
ウモレベンケイガニは三重県レッドデータブック2005では準絶滅危惧(NT)に選定されている。
同書によると、県内では大型河川の河口や英虞湾で確認され、潮間帯上部の石の下やアシ原で見られ、小動物を捕食するとされている。
でも、大型河川ではない田中川干潟にウモレベンケイガニは生息している。
文献には記録されていないかもしれないが、何人かの調査委員は生息の事実を知っていたはず。だが、ウモレベンケイガニを担当した委員にはその情報が届かず、現地調査をほとんどせずに文献のみに頼って記事にしたように思える。ウモレベンケイガニの県内分布図には、田中川干潟の位置に印は無い。
田中川干潟では、アシ原のほとんどの場所で彼らを見つけることは出来ない。でも、ある場所に行くと必ず見つけられる。
彼らはいつもこんな感じで静かにしている。ほとんど動かない。捕まえると、脚を折りたたんで死んだ振りをする。
8年前に初めて見つけたとき、この子は泥で汚れているのだと思った。
泥ではなく、全身が短い毛の束で覆われているのだということは後で人から教えてもらった。
このカニのハサミに鋏まれたことは一度も無い。
2008.4.30

キアシトックリバチ

2008-05-03 | ハチ目(膜翅目)
キアシトックリバチ
近くの海岸に行った。かつては砂浜だった。子供時代には、真夏に裸足で歩いて海まで泳ぎに行った。焼けた砂で火傷しそうになった。
今は雑草が生い茂っている。山土を盛り上げた土手も造られた。子供たちに植えさせた松の木もある。
そんな雑草が茂る浜を歩いていて、スズメバチ科のキアシトックリバチと出会った。
腹部第2節に一対の黄色斑紋があるが、小楯板には黄色斑紋が無い。良く似たキボシトックリバチは小楯板にも一対の黄色斑紋がある。
カップルは程なく別れてしまい、別々の方角へ飛んでいった。キアシトックリバチ雌雄の大きさが異なることを初めて目にした。
2008.4.30

キアシトックリバチ

キアシトックリバチ

マキトラノオガニ

2008-05-02 | カニ
マキトラノオガニ
今年の3月に刊行された「鈴鹿市の自然」に中ノ川河口でマキトラノオガニが記録されている。
以前から見てみたい蟹のひとつだったので、田中川の北隣の川である中ノ川に出かけた。
マガキのある所でしか見つからないと聞き知っていたので、ポイントを絞って丁寧に調べた。
マキトラノオガニ♀一個体がマガキの間に居るのを見つけた。
オウギガニ科。甲や歩脚に軟毛が生えている。
カキ礁生物の典型種といわれているが、浦村のカキ養殖場では未見である。
田中川でも一度詳しく調べなければと思う。
2008.4.28

マキトラノオガニ

マキトラノオガニ

マキトラノオガニ
マキトラノオガニ♀のハサミ あわ粒状の顆粒

クロモンサシガメ幼虫

2008-05-01 | カメムシ
クロモンサシガメ幼虫
野菜畑で、敷き藁を取り除いていたらクロモンサシガメの幼虫が走り出した。
なかなか止まってくれない。草の根際や土の隙間に隠れようとする。
地表性のサシガメで、西日本では人里近くで最も多いという。
五齢幼虫だから、もうすぐ真っ黒な成虫に会えるだろう。
2008.4.29