田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

群れるヒメセグロケバエ♂

2012-10-05 | ハエ目(双翅目)

ケバエ科トゲナシケバエ亜科のヒメセグロケバエ Penthetria velutina Loew. 1858

いなべ市藤原町の聖宝寺.草むらで群れるケバエを見つけた.どれも♂ばかりで,♀を見つけることはできなかった.どうやらヒメセグロケバエのようである.

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,ヒメセグロケバエは光沢のない黒色の胸部と細い後脛節および基付節を有することによってヒメセアカケバエと異なる.体長6.5~8.5mm.成虫は6~10月にかけてきわめて普通に見られる.

栃木県のケバエ(中村,2009)によると,体長,雄5.5~8.5mm,雌7.0~8.0mm.雄全身黒色.ヒメセアカケバエより小さく,翅が細い.雄の後付節は細く,膨らまない.トゲナシケバエ亜科の特徴としては,触角が短く,すべての節を合わせても頭部より短い.R4+5脈はゆるやかに湾曲する.

極めて普通に見られるというが,私が見つけた場所は標高が200m以上もある自然度抜群の山地,藤原岳への登山口であり,ヒメセグロケバエとは初めての出会いである.三重県ではこれまで正式な記録はなされていないと思われる.
2012.9.29






翅は褐色,縁紋は明瞭,r-mからのR分岐茎部とM脈のそれとはほぼ等長.(新訂原色昆虫大図鑑Ⅲ)
Penthetria属の特徴はR2+3脈は長く,R4+5脈と並行するように伸びる.(栃木県のケバエ)


顔のくぼみはヒメセアカケバエより大きい.(新訂原色昆虫大図鑑Ⅲ)