たまてばこ新聞

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「落下の解剖学」観てきました。

2024年03月19日 12時49分20秒 | 洋画、邦画など
 アカデミー賞脚本賞を受賞したこの作品、さすがに話題とあり、地元映画館にも結構人が来ていました。

 観終わって、主演の俳優さんの存在感が本当にすごかったなと。ドイツ人でありフランス語が上手く話せず、夫と子どもとは英語で会話、そしてフランスへ移住してきた。それだけで日本人の認識の外を突いてきます(想像するだけでも難しい)。この設定は法廷シーンになった時に重要な要素となりました。島国日本人はどれだけ国際社会からかけ離れた国なのか。

 転落死した夫の死因を巡る裁判を通じ、確固たる自分を持った主人公の姿が見えてくる過程が非常に緻密でした。BGMは息子の弾くピアノくらい、あとは音楽無しで会話劇が進んでいきます。その緊張感が素晴らしく、長尺な作品にもかかわらずスクリーンから目が離せませんでした。

 極めつけはやはり、法廷でのUSB再生のシーン。夫婦の関係性が一気にあらわになる様子が怖かったです。この時の主人公の俳優さんのセリフ回しと演技が揺るがない感じがまるで鉄のように冷え冷えしていて強烈でした。

 結局、死の真相は明らかにされることは無く、てっきり謎解きものと思っていたので少々肩透かしを食った気分でしたが、そもそも解くべき謎は死因ではなく家族の形だったんですね。


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