光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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マイクロエースのEF14と「とある目論見」

2020-12-13 05:45:57 | 車両・電気機関車

 先日の笛吹川フルーツ公園行きでは近くにある中古ショップもついでに覗いてきました。

 そこでの戦利品はマイクロエースのEF14 ゼブラ塗装です。‘
 本機は模型としても相当にマイナーな形式ですが、それゆえに中古モデルが入手できたのは有難いです。
 
 これでかねてからの目論見がようやく実行できるめどが立ちました。

 EF14の前身はEF54と言い、昭和初期の旅客用電機のEF52のギア比を変更して貨物用にした物でした。
 しかし実車が2両しか存在しなかった上に本線で現役だった時期も短く、晩年はEF14と改番した上に20年以上吹田の機関区で入換機として使われた後、 ひっそりと廃車されたという経緯のあるロコです。
 おそらく国鉄の制式F級電機の中では最もマイナーな存在ではないでしょうか。
(そんなマイナー機がワールド工芸とマイクロで競作になっていると言うのも凄いはなしですが)

 さて、実は私の手元にはあるきっかけで入手したワールド工芸の「EF14の車体だけ」というパーツがあります。
 そう、私の目論見というのは「マイクロのモデルの車体だけをワールド工芸のそれに差し替えてバリエーションを付ける」というある意味バカ真似に近い所業です。

 これはワールドの車体の入手以来これまで何度か考えてきた事なのですが、肝心のマイクロのモデルの出物がないか、あっても高価だったりとなかなか実行できなかったのです。
 今回は良い機会に安価な素材が手に入ったので、かねてからの計画がいよいよ現実化しそうです。

 因みにEF54とEF14の外見上の違いは実質ナンバープレートだけらしいですのでナンバープレートが手に入ればEF54にしてしまうことも可能ですw



 わざわざ同形式のボディコンバートをする以上は何かメリットが感じられなければなりません。

 そこで今回はマイクロとワールドのボディを並べて特徴と相違点を比較します。
 ・・・とはいえ両社のプロトタイプは全くの同一。
 ワールドのEF14のキットが出たのは1990年、マイクロのそれは2004年と14年もの開きがありますが片やマニア向け細密系ブラスキット、片やオールプラの完成品という違いがあり専らボディ材質に起因する違いと、趣味の世界的な感性的な部分の差という形で違いが出そうだとは予想していました。

 実際に並べてみた印象では細密度では両者はほぼ互角のレベル。
 強いて言えばディテールの量ではマイクロが幾分上回る程度に見えます。但しデッキ前面の手すりはワールドの方が別パーツ化でメリハリをつけています。
 
 ですが元々デッキ付きの箱型電機の場合旧製品と新製品で細密度で差が出る事は実は殆どありません。さすがに目立つ屋根上とかデッキ周りではではそこそこ差が出るのですが本来この種のロコの車体は「のっぺりしたただの箱」である事が多いからです。
 肉厚なプラと肉薄なブラスの造形差が出るのは専ら窓周りです。
 物理的に肉薄にできないプラの場合ははめ込み式の窓ガラスで金壺眼の印象を消すことが多く、ブラスでは薄手の透明プラバンを窓に貼り付ける形式が多いのですが、ボディ並みに分厚くなる透明プラを使うマイクロの場合は微妙な歪みが窓ガラス表面に出てしまうことが多いのです。一方でボディも窓ガラスも薄手の素材が使えるワールドの場合はプラバンゆえに平滑感が高く、窓の抜けの良さと相俟ってかなり良い質感の窓を見せます。

 また、屋根上のモニタの窓がマイクロが一体成型の嵌め殺しなのに対してワールドはすべて窓が抜けているのも見た目の質感に貢献している印象です。

 前面の比較ではマイクロの方が幾分左右の窓の間隔が開きすぎている印象があります。見ようによっては結構不自然に見えて損をしている印象です。

 裾周りでは台枠がマイクロの一体成型に対しワールドはこれまた別パーツでボディとの分離感をだしていてこれも好印象。
ワールドのはヘッドライトは点灯こそできませんが、マイクロの方は点灯する物のライト自体が異様に長くなってしまっているので印象面でもワールドは有利です。

 ボディだけの比較でならワールドのボディをマイクロのそれとコンバートするメリットは十分にありそうというのが結論でした。
 という訳でボディコンバートはGOサインです。


理論上はプロトタイプが全く同一なのですからどちらかが著しくスケールアウトしていない限りプラ車体前提の動力部にブラス車体を乗せ換えるのは十分可能な筈です。
外したボディを並べた範囲では大きな寸法差はなかったのでさっそくマイクロの動力にワールドのボディをかぶせてみたら、

「何の問題もなくのっかりました」
ここまでは「ただかぶせただけ」の工作にも何にもなっていないプロセスなので拍子抜けです。
マイクロの動力ユニットには運転席のモールドがされているのですが、それすらもが誂えたようにぴったりとワールドのボディにはまり込んだのですから有難い。

ですが左右分割のダイカスト構造のマイクロ動力は下手にブラスボディを乗せたら通電と同時にショートする可能性があります。
さてどうなるかと線路に載せてパワーパックのスイッチを入れたら

「普通に走りました」

またまた拍子抜けですがマイクロの場合ダイカストの露出部に絶縁塗料を塗っているらしく、そのままでも問題なく走れるようです。
ですが塗料である以上剥離に伴うショートのリスクは残ります。なのでボディとの接触しそうな上部にプラ板のスペーサーをかませ一部にはマスキングテープで絶縁しました。
ただ載せただけだとマイクロのEF14よりかなり腰が落ちますが、台車の首振り角が制限されやすいのでスペーサーで腰の高さを調整する意味はあります。

これが今回の過程で初めての工作っぽいポイントです(笑)
20201105sea (2).jpg
後気になっていたのが発売時期の差で明らかにマイクロの方が好い印象のパンタグラフ。これをワールドのボディに移設しました。
ついでにワールドのキットにはついていなかった避雷器もマイクロから移植しました。
(ホイッスルのみ、ワールドの方が細身でいい印象だったのでそのまま使いました)

という訳で実質20分ほどでコンバートとそれに伴う改修は完了ですw
ワールドのボディを手に入れて以来構想だけは3年位使っていましたがいざやってみるとあっけない物です。

さっそく手持ちのマイクロのEF14と比較しましたが思った以上に印象は違います。
マイクロの塗装がややテカテカしているのに対してワールドの方が落ち着いた色調なのも影響しているのでしょう。
前述したように造形自体の差は殆どないですし、唯一のウィークポイントだったパンタもマイクロのを移植していますから。

何より「マイクロエースとワールド工芸のコラボ」的な意外性が無駄に私を盛り上げます(爆笑)

マイクロのEF14は1号機。ワールドのそれは2号機です。
元々EF14の実車は2両しかありませんから当鉄道では「EF14がフルコンプになった」というおまけつきです。