光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

TOMIXディオラマワールド

2016-08-31 23:20:06 | 書籍
 先日アパートとかのストラクチャーを買った某中古ショップでは同じユーザーからの出物と思われる鉄道模型関連の書籍も何冊か置いてありました。
 今回はその中から見つけた一冊から

 「TOMIX DIORAMA WORLD」
 15年位前に出ていたTOMIXのジオラマ写真集です。
 あの頃のTOMIXのカタログを見ると大概、見開きで雄大なジオラマが掲載されていたものです。
 本書はそれらの写真をグラビアサイズに纏めたものですが、カタログでは毎年バラバラに掲載されているので何冊か通してみても散漫な印象になりがちなところを大判の一冊に纏めたのですから満腹感は半端ありません。

 というよりも「なんでこんな凄いジオラマを今まで見逃していたんだろう」とすら思えるほどです。

 その一例として下の写真を。

(上掲書P54から引用)
 遠景に冬の平野と山々を配置し、真ん中に川、手前側に駅と小さな町が配された、それだけのものです。
 もしこれを実景として見たとしても「どうという事のない普通の風景」でしかないかもしれません。
 少なくとも「新日本百景」なんかには絶対出てこない景色です(笑)

 ですがこれが「既成品を使ったNゲージスケールのジオラマ(もしくはレイアウトの一部)」となるとこの印象は大いに違ってきます。
 少しでもNゲージをやった人間ならこのジオラマの奥行きが常識外れのサイズである事にまず気付くはずです。
 手前から奥の鉄橋に掛けての部分ですら優に畳一枚かそれ以上の面積と奥行きを使っているはず。



 遠景の山々を入れたら恐らくこのジオラマのサイズは最低でも畳3枚かそれ以上と思われます。

 (但し、遠景に強遠近法を使った場合は多少奥行きは小さくはなります。後で読み返して見たら4M四方のスペースを使っているとの事。3畳どころか十畳間のサイズですね)

 それだけのサイズのベースに小駅ひとつ分くらいしか敷かれていない線路。
 これほど贅沢にスペースを使ったジオラマというのは少なくとも個人のレイアウトでは絶無に等しいと思います。

 ですがそれを実行しているからこそずば抜けたパノラマ感とリアリティが実現していると言って良いでしょう。

(上掲書P52より引用)
 しかもこのレベルのパノラミックなジオラマがムック1冊分の分量で纏められているのですからこれをゴージャスと呼ばずに何と呼ぶのか。

 この事からも分る様に本書に登場する「ジオラマ」は従来のレイアウトとかセクションとかと根本的に異なる発想で製作されている事がわかります。
 運転目的のレイアウトでなく撮影目的の、「特撮映画のミニチュアセット」に非常に近いコンセプトなのです。

 あとがきを見たら本作のジオラマを製作していたのは「彩美」
 東宝作品を中心に映像用のミニチュアセットを手掛けていたスタッフの作品でした。

 メーカーの宣材という性質上既成品のストラクチャーや線路への加工には制約があった筈です。
 実際、注意して見てもTOMIX製品については大掛かりな加工のものは殆ど無く(少なくとも材料が何か分らないほどのものはない)この点では拍子抜けするほどです。

 ですが既成品がただ配置されているだけなのにこれほどのパノラミック感とリアリティ。
 驚かされると同時に製作の配置のセンスの良さにも脱帽させられます。

 そう、「こういうパノラミックな風景を組み込んだレイアウトをやりたい」というのが私の理想のひとつなのですが本書のジオラマはかなりその線に近い物と言えます。

ターミナル駅ビルモジュールの建設・11・駅前高層ビルの照明・その2

2016-08-31 05:04:07 | モジュール4
 ターミナル駅モジュール建設の続きです。

 駅背後の超高層ビルに照明を仕込みましたが、そのままでは内部のLEDが丸見えなので窓に裏張りを仕込みます。
 素材をどうするか考えたのですがLEDの光量の強さを考えると普通のコピー用紙でも十分に光を透過する事がわかったので両面テープで内張りしました。
 更にこれだけだと全ての窓が光ってしまうので黒いビニールテープで消灯している窓を表現しようと考えましたが…

 それでも最初の段階では暗部が妙に歪んだ状態になってしまい腐りました。
 ビニールテープは伸縮性があるので普通に貼ると端の部分が曲がったり伸びたりして見苦しくなってしまう事がその要因です。
 内張りの材質にはもう少し考慮すべきでした。この場合遮光材はアルミテープの方がいい様です。

 結局ビルの外装材に使ったアルミテープをちまちまカットして適当に貼っていくことになりました。
 毎日就寝前のひと時をこれに当てて1週間くらいかかりましたか。

 こちらも通電してみるとなかなかの見栄えになったので苦労もそれなりに報われた気が。
 
 前の試作でも思ったのですがTOMIXの総合ビルの外見がビルと言うより「巨大な行燈」みたいなものですのでそれが縦に引き伸ばされた状態ではますます行燈臭さは加速します(笑)
 ともあれターミナル駅背後に聳える32階建てビルのインパクトは相当な物で当初の狙いだったモジュールのランドマークとしての役割は十分果たせていると感じました。


ED91に挑む・番外編・余った動力の使い道のはなし・1

2016-08-30 05:01:40 | 車両・電気機関車

 今年の初め頃に書いた「ED91に挑む」番外編です。
 そして今回の帰省と密接に絡むネタでもあります。


 今年の初めにマイクロのC形動力による「ED91タイプ」を2両切り継いでED91風のED電機を作った話をしました。

 その際動力ユニットは鉄コレの12M級動力を転用するという荒業でどうにかED91をでっちあげました。
 ベースとなったマイクロのED91タイプは2両分の動力の余りを出しましたが、そのうち1両は動力系のトラブルで不動品同然。残り一方の動力も今回の工作で宙に浮いてしまっていました。

 で、「走れる方のED91の動力はどうするの?」

 実はこれにも当てがあるのです。
 と言いますか、ED91が上手くいったら次の工作はこれで行こうと決めている素材がありました。

 実は30年ほど前の「模型とラジオ」の鉄道模型の工作記事の中に「車体スクラッチでEC40を作る」と言うのがあります。
 このEC40の動力に使われているのが今回のED91のそれなのです。

 (実際は凸型の産業用ディーゼル機のそれなのですがED91とはウェイトの形が違うだけの様です)
 動輪にロッドを取り付けなければならないなどの難物を抱えていますが(その前にポールはどうするの?)やろうと思えばやれる条件が揃った訳です。

 しかも動力に加工が必要な時は今回のED91の「不動の動力ユニットを練習用に使える」メリットもあります。

 ここまで書くと随分と威勢がいいですが実はその記事の掲載された「模型とラジオ」は「現住地から600キロ以上離れた実家の本棚の中」

 つまり何より必要なのは「次の帰省の時にでも該当の号を持ち帰る」所から始めなければならない訳です。
 その決意を固めたのが今年の1月の事ですから結構気が長い。
 世間ではこういうのを「鬼が腹を抱えて笑う」とか言います(汗)

 この項続きます。

ミニトリックスのグラスカステン蒸気機関車

2016-08-28 05:58:08 | 車両・蒸気機関車
 帰省の戦利品から

 今回紹介するのはドイツ型です。
 同じドイツ製でも先日紹介したアーノルドの電車は60センチ近い長さのパッケージでしたがこちらは「二軸貨車用のパッケージにも収まります」(笑)

 ミニトリックスの「グラスカステン」蒸機
 見ての通り「旧型電機みたいなデッキが前後に付いた軽便鉄道の単端にも見えるミニ蒸気機関車」と言う趣です。
 しかも短い。

 動輪径こそアーノルドのT2より大きそうですが長さに比べて妙に高い全高のおかげでちんまりしたプロポーションです。
 キャビンに至ってはボイラーの半分位を囲っていそうな大きさで「ガラスの小箱=グラスカステン」という愛称で彼の地では親しまれている機種だそうです。
 確かにヘンではありますが、妙に愛嬌がありますしミニ蒸機の中では図抜けた細密感・凝縮感があります。


 実はグラスカステンのモデルは以前からネットオークションなどでは中古を割合見掛けるモデルなのですがどれもこれも最後には「わたしの手の出ない値段」になってしまうという点で妙に引っかかっていたモデルでした。
 実際、店頭でこのモデルを見つけたのは今回が初めてでした。
 値段はオクより心持安い程度でしたが「その場で試走、コンディションのチェックができる」のはオクではまずできないメリットです。

 今回のモデルのプロトタイプはドイツ国鉄統合前のバイエルン王立鉄道の仕様らしいですがDBの奴よりもシックな配色が嬉しいですね。
 走行性はうちに在籍しているトリックスのT3より幾分いいという程度。
 特にポイントの無電区間に引っかかりやすいですがしばらく慣らしをして当たりが付いてくるとよく走るようになるのはドイツ製中古鉄道模型共通の傾向の様です。

 ミニカーブ対応の二軸貨車でも2,3両牽かせてみるとか、欧州型の2軸客車を引かせるとかが似合いそうなロコです。
 書き忘れていましたがミニカーブ140Rはクリアできます。


 ・・・それにしても、なんでしょうか、これをまじまじと見ていると「デッキの上に人を乗せたくなってたまらなくなります」
 EF57とかDD13ではそんなこと思いつかなかったのに。

 帰省先では何故か日本型の客車を牽く羽目になりましたが、これらも帰省の戦利品ですのでいずれ紹介したいと思います。

エンドウのEF58 またまた

2016-08-27 05:56:17 | 車両・電気機関車
 帰省で入手した戦利品から

 今回の帰省の2日目は旧友と共に県南部の中古ショップめぐりをやって来ました。
 なにも田舎に来てまでそこまでしなくてもとか思うのですが(汗)

 1年ぶりで出掛けた所もあれば、今回初めて足踏みした所もあるのですが、残念な事に多くの店で鉄道模型の中古の品揃えが縮小していたのが目立ちました。
 それでもこれはと思えるアイテムがそこそこ見つかるのは有難い話ではあります。

 今回はそこでの入手品から。

 エンドウのEF58、茶色仕様です。
 うちの鉄道でのEF58の在籍車はKATOがメインだったのですが、ここ2,3年でエンドウのブラス車体のモデルが急に増えています。
 エンドウのEF58の場合、基本的に同一車体の色違いという事になるのですが、色違いでも結構イメージが変わって見えるのが58の面白い所と思います。

 そんなですから、造形や走りについてはこれまでに紹介した所に付け加える事は何もありません(笑)

 登場当時から指摘されていた妙に腰高のプロポーションも、実家のお座敷エンドレスで走らせるとあまり気にならなくなるのは全く不思議です。

ワキ1000「急行便」の群れ

2016-08-26 05:53:27 | 車両・客車・貨車
 今回は貨車の大量増備のはなしから

 近所の中古ショップにマイクロエースのEH10+ワキ1000系列の貨物列車セットの出物があるのですが、ひとセット1万9千円。
 急行便仕様のワキの並びというのは個人的に魅力を感じるのですがこの値段ではどうにも手が出ません。

 そんな折、先日別のジャンク屋でTOMIXと河合の中古貨車を大量に入手する事ができました。
 最近は中古でも500円~どうかすると1000円台でないと貨車の出物がない事が多いので1両辺り300円で貨車を買えるのは非常に有難い事です。
 但しその大半が「ワキ1000」なのですが。

 ワキ1000はTOMIX(ナインスケール)初のボギー貨車としてリリースされた物だけにこれまでも中古の出物を1,2両入線させる事が出来ています。
 が、今回は10両以上が一時に入線した事から件の「EH10が牽く急行貨物列車」が実現できる事になります。

 既入線の手持ちのワキ&ワムフ、これまた以前から持っていた急行便仕様のワムまで動員して17両牽引の(レイアウトのバランス的に)堂々たる編成が実現しました。
 EH10の方は以前「たから号」の牽引機として入線させていたKATOの仕様。
 実はこれと別にマイクロの奴もあるのですがパンタがPS22なので見た目にしょぼいという欠点が(汗)

 ですが貨車の全てをKATOで賄っていた「たから号」と異なり新発売当時から車輪の転がりの悪さに定評のある(笑)香港TOMIXのワキですから手で引っ張って見てもかなり抵抗を感じます。
 案の定走行は「えっちらおっちら」という感じでさしものEH10も少し息を切らし気味でした。

 ところで今回のワキ1000の群れ、所々に河合の仕様品が混じっています。
 同じワキ1000を名乗っていますがTOMIXより窓が多い仕様や逆に全く窓のない物も混じっていて「黒一色に黄色帯」のゴキブリ編成(失礼!)に少なからぬアクセントを添えているのは嬉しい所です。
 良く見ると引き戸上部の表現がTOMIXよりも強く、造形だけ見るとまるで別の会社の製品みたいに見えるのはご愛敬です。

 コンテナが普及する以前は本線クラスではこういう編成の貨物列車が主流だったのでしょうが、それだけに貨車そのもののバラエティで魅せてくれる編成と思います。
 今度運転会で試してみようかと。

趣味の原点をふり返る・46・機関士のおじさんの話

2016-08-25 05:48:47 | 趣味の原点をふり返る
 昨年来、折に触れて紹介してきている「模型工作別冊・鉄道模型工作ガイドブックに関連して。
 私のこの本を譲ってくれた親類のおじさんの話をします。
 というのも本書の印象は本そのものも去る事ながらこれを基にいくつか車輛を自作していた小父さんの思い出もかなり重なっているからです。
DSCN6452.jpg
 この小父さんと言うのが当時国鉄勤務の運転士で以前は蒸機、その後はED75の乗務を主にやっておられました。

 当然の様に住まいも機関区に隣接していた国鉄アパート。
 そのお蔭でまだ石炭の燃え殻の匂いが残っていた機関区やその周辺を散策させてもらえたのも今となっては有難い思い出です。
 (とはいえマニアックな観点でなく国鉄職員やその家族の生活なんかのイメージが強く、いまでも「機関区」と聞いて真っ先に連想するのが扇形庫でも給炭塔でもなく「物資部」だったりするから何ともです)

 当時のTMSやとれいんなんかを紐解くと「鉄道職員の作った模型」なんて記事によく当たる様にあの当時は運転士や機関士が鉄道模型に手を染めているケースは結構あったように思います。
 そういえば機関区の周辺には鉄道模型を扱う模型屋が1,2軒ありましたし、その内の1軒は私がNゲージに手を染めるきっかけとなった店だったりします。

 事実この時期に小父さんの手元には「模型と工作」が何冊かありましたし、それらをまとめた「鉄道模型工作ガイドブック(つまりこの本)」は小父さんの工作テキストとしてかなり有効に働いていました。
 昭和40年代前半頃が模型製作のピークでしたが、そのお蔭で「鉄道模型」と「国鉄職員」のふたつのイメージがいまだに私の中でダブって感じられるようになっています。

 この本をテキストに小父さんが実際に作ったモデルは私の記憶によれば以下の通りです。

 151系5連(但し全体の雰囲気はキハ81系に近い)
 クハ103(鶯色)
 ナロ10
 ED75を2両。

 これとは別にクハネ583とクモハ475を1両づつ作っていたと記憶しています。
 あの頃は市販のモデルは宮沢模型のBタンク位なもので殆どが小父さん自作の車輛棚の様相を呈していました。
 (以前紹介しているC58とC54は昭和51年の国鉄退職時に購入したものでした)

 それらの車両は当時の国鉄アパートのリビングの壁面にしつらえられた何段かの線路付きの棚に収められていました。

 たまにアパートを訪問した折、線路にこれまた自作品のパワーパックで通電させて棚の上の列車を前後に走らせてもらった記憶は幼心にも鮮烈なものがあります。
 そんな餓鬼が40年を経てNゲージでレイアウトなんて言うものを作ったりするのですから幼少時の影響と言うのは怖いですね。

 本来ならばそれらを写真つきで紹介たいのですが小父さんが10年ほど前に物故された折モデルの大半は処分されてしまい一部の市販モデルだけが後になって私に引き継がれました。

 それらのモデルは市販の完成品とも本書の作例写真とも違う、細密ではない物の一種独特の温かみのある民芸品的なモデルづくりがされており、この点で昨今の鉄道模型の方向性とは異なるものです。
 実は退職後の小父さんが凝っていたのが紙人形をはじめとしたペーパークラフトや帆船模型だったそうで世間の16番モデルの細密志向は元々小父さんの肌には合わなかったようです。

今月の入線車から・マイクロの781系「いしかり」

2016-08-24 05:22:58 | 車輌・電車
 先日、行きつけの中古ショップで夏のセールをやっておりましてかねて欲しかった車両セット半額になっておりました。

 「かねて欲しかった」と書きましたが、実はそう思ったのはこの前のグランシップのイベント以来です。
 一階の16番の運転でひときわ私の目を引いた「781系」

 これを見るまでは「少し変わった485系みたいな電車」程度の認識だったのですが、いざ走行しているモデルを見るとなかなかに迫力もあり、独特の重装備感がカッコ良く感じられました。
 マイクロが既にNのモデルを出しているのは知っていましたし、この後KATOからもリリース予定と聞いたので出来るなら欲しいと思っていたものです。
 前述の中古屋にも「いしかり」と「ライラック」の2仕様の出物があったのですが如何せん価格が新品と大差なく手が出にくい物でした。

 それが今回半額なのですからこれは食指が動きます。

 マイクロの電車モデルの中では比較的初期の製品なので動力ユニットの床下が幾分ラフなのが難なのですが、全体のフォルムはそう悪くはありません。

 特にこの電車を特徴づける屋根上の重装感はこのモデルでもなかなか頑張った造形と思います。

 幾分旧式なので走行性はそれなり。最近のKATOとかTOMIXに比べると「まるで重戦車みたいなノイズ」を出しますし、線路周りの凹凸に床下が引っ掛かりそうなのはこの頃のマイクロ電車に特有の難点ですが勾配のない平坦線であればそう問題もなさそうです。
 余裕があるならKATOのリリースを待つのも一法ですが、こちらの仕様でも不満は感じないのでまあよしとします。

 第一半額ですし(汗)

偉大なる凡庸の系譜番外編・TOMIXの総合ビル

2016-08-23 05:17:21 | ストラクチャー
 第4モジュールに関連してストラクチャーのはなしを。

 ターミナル駅の駅舎の奥に鎮座している超高層ビル。

 見ての通りTOMIXの総合ビルをいくつかつなげたものです。
 このビル、元をただせば電気街のランドマーク用に10年位前から買い足していたものです。
 電気街時代は単純に総合ビルを6個つないだもので25階建てでした。

 それ以後、ジオタウンの高架駅舎の店舗部分をエントランス階に作り直し、総合ビル自体も更に継ぎ足したので今ではトータル34階建て。
 子供の頃東京見物で登った当時日本唯一の超高層ビルの霞が関ビルにほぼ並ぶ代物になりました(笑)

 これができるのもTOMIXの総合ビルの拡張性のなせる技なのは間違いありません。
 なのは良いのですが、私個人の印象としてはこのビルはこうでもしないと映えない性質のストラクチャーと思っています。

 以前日本メーカーのNゲージのビルについて苦言ともつかない駄文を弄した事があります。
 そこでは敷地に対してメリハリのないのっぺりとした「ただの箱」みたいなのが多いとか言いたい放題でしたが(汗)それらの特徴の殆ど全てが当てはまったのがこのTOMIXの総合ビルでした。
 これ位のビルならあって当然の筈の非常階段(もしくはそれを思わせる造形)がなく窓周りの配置もなんだかおざなり。
 階数が9階建てですが縦横の比率が悪くて安定感を欠く点(2~4階分の中間階を抜いて5~7階建て程度にすればどうにか安定して見えます)
 建物としてはかなり大きいにも拘らず周囲を見回して見ても「これに似たビルが見当たらない」と言う悪い意味での個性発揮。

(あのGMの中型駅ですら、水道橋の某マンガ出版社のビルに似ているのに)

 そんな具合なので吊るしの状態ではレイアウトに置きにくい建物のひとつでした。
 これまでに当レイアウトでは「電気街の駅ビル」及び「第2モジュールの駅前百貨店の新館」と言った使い方をしてきましたが何れも何らかの形で手を加えています。

 とはいえ壁面、窓ガラス、エントランスの1階部分など個々のパーツだけを見れば中々良く出来ているアイテムではあります。
 ですから改造のベース、又は「マテリアルの塊」と捉えれば結構使いでのある建物ではあります。
 (但し最低でも切り継ぎ改造ができないといまひとつぱっとしない)

 今回の様な超高層ビルでは7個半のビルを継ぎ足しましたが、これ位の階数がないとこのビルのデザインが映えないと思ったからです。
 その意味では個人的には「やった甲斐があった」と思える佇まいになりました。

 皮肉な話ですが、ジオコレ、ジオタウンなどでビルの製品化が相次ぎちょっとした地方都市のレベルのビル街が吊るしの製品だけで構成できるほどになった事でようやくこの総合ビルの「個性的なデザイン」も生かせるようになった気がします。
 そう見ると、中間階をぬいたり足したりできる構造や表裏で異なる造形、一旦ばらせばマテリアルとして使える部品が多いというこのビルの真価がこれから発揮されてくるのではないでしょうか。

 実はTOMIXのビル系では「ラウンドビル」「スクエアビル」も同じ様な傾向があります。
 どちらも2,3セット買って高層化すると意外と見られる雰囲気になりますし階段部や屋上手すり、上屋などで使えそうなパーツも多い)

鉄道ミステリとNゲージを語る13「急行出雲」から

2016-08-21 05:10:05 | 小説
 今回は鮎川哲也の「急行出雲」から

 大阪で起きた殺人事件の容疑者が出雲に乗車したアリバイを主張、所が該当の車両の客は誰ひとりとして被疑者を見ていない。
 被疑者は本当に出雲に乗っていたのか、もしそうならアリバイは何故消されたのか。
 これが本作の大まかなあらすじです。


 本作の肝は列車編成で素人がイメージしがちな思考の盲点を突いたところ(編成ファンなら常識でしょうが)にあります。
 これを応用して幽霊車両を設定できるという点では意外と応用範囲の広いトリックかもしれません。

 解説で作者自身が述べている様に本作のもうひとつの肝(こちらが実はメインですが)は真犯人が被疑者に掛けた「アリバイ消失のトリックを見破る所」にあります。
 今でこそこういう構成はそれほど珍しくない(特に倒叙推理が増えている現状では尚更です)でしょうが当時は探偵の側が被疑者のアリバイを立てようとする構成はそれなりに目新しかった気もします。

 余談はそれ位にして
 「出雲」と言うと今なら「サンライズ」と付きますが(笑)歴代の出雲はブルトレあり、キハ58ありと結構バラエティに富んでいます。
 本作が書かれた当時の「出雲」は調べた範囲では「DF50が牽引する10系客車主体」の頃の様です。


しかも調べた範囲ではこれが書かれた当時の牽引機は電化区間ではEF58、非電化区間では先述のDF50の他にC51や時期によってはC12が牽引していたこともあったとか。
 東京を出る時は結構な長編成ですがあちこちで切り離されて徐々に短くなってゆくと言うこの編成の特徴がよく出たはなしですね。

 私の手持ちでこれが再現できるかと思ったのですがフル編成では「ナハ11が大量に必要」なのにうちの手持ちがナハフを入れてもたった3両だったので早々と挫折。
 結局「それっぽい編成」のレベルにとどまります。


 あの頃の長距離急行は分割併結当たり前みたいな所がありましたし、多客期や団体扱いで増結車が加わる事もそう珍しくなかった時期ではあります。
 そんな背景を念頭に置いてレイアウトやお座敷運転なんかで同様の編成を組んでみるのも面白い気がします。

 「架空の小説の通りの列車編成」というのは実車準拠が幅を利かせている最近の模型運転では結構大穴の様な気もしますし(笑)

ターミナル駅ビルモジュールの建設・10・駅前高層ビルの照明・その1

2016-08-20 05:07:09 | モジュール4

 モジュール工事は駅ビルやホームの照明の据え付けが済みましたが、今日は裏手の超高層ビルの照明を組みつけます。
 前にも書いたとおり、市販の総合ビルの組み合わせなのでこれをそのままベースに載せるとトップヘビーになる恐れを感じたので先日秋葉で仕入れたアルミ製の照明固定用のバーをブルに差し込み二重のベースに差し込む形にしました。
 これでビル自体の強度と安定を確保すると同時に照明の組みつけやすさを狙います。

 アルミ製のバーはビルの高さに合わせてカット、テープLEDもバーに貼り付け、これをビルに串刺しにします。
 こういう時に上下に貫通した照明用の穴が開いているTOMIXの総合ビルの構造は重宝します。

 最上階には電球色のLEDを組み込み、併せて内装も仕込みプロムナードルームにしています。
 インテリアはTOMIXの高架駅店舗部分からの切り出しと、鉄コレのクロスシート車の内装を廃物利用(笑)
 実はこの部分は今回の工作に掛かる3年くらい前から既にやっていたのですが高層ビルそれ自体の敷地の当てが付かず休止状態だったものです。
 今回は当てが付いたから良かったですがグランシップがなければどうなっていた事か(汗)

 仮配線を済ませて点灯すると一応灯りは点きます。
 が、LEDのバーが室内といえどもかなり目立つ印象。
 更にこれは予想していましたがプラ製のビルの壁面からの透過光も馬鹿になりません。
 後者については壁面にアルミテープを貼る事で対処する積りでいますが前者は難題です。

 窓の裏側に白いシートでも貼るかと思いますが32階分のパーツ全てにこれが貼れるかどうか。
 事によるとこのままグランシップに持ち込みになるかもしれないというぎりぎりのスケジュールで工事は進行します。

「たまるたまるジャンクパーツ」のはなし

2016-08-19 05:05:32 | 思いつくままに・考察
 この間書いたレールの余りの話の姉妹編です。

 最近は平日休や日曜日に用事がない時にはおおむね草むしりか家の中の整理をやる事が多いです。
 こうかくとまめまめしい印象を受けられるかもしれないですが、実態は全く逆で特に整理は時間ばかりかかって殆ど進まない事の方がはるかに多いですね。

 その原因のひとつが「モデルにおけるむやみなジャンクパーツの山」だったりします。
 車両工作だけならまだしもレイアウト関連のパーツも溜まりますし、そもそも「鉄道模型でない様なガラクタ」までも取っておいてしまうのですからなかなか減りません。
 
 この手のジャンクパーツの罠は
「取っておけばいつかは使うかもしれない」というはっきり言って「根拠のない期待」にあります。
 事実車両工作とかレイアウト工作なんかやっているとごくごくたまに「あの時取っておいたあれ」が意外に役立ってしまう事があるのですから始末が悪い。
 一度こういう経験をしてしまうと何となく捨てるのが怖くなってしまう訳です。

 しかもこの手の取っておいたパーツという奴は大概「あっちにちょこちょこ、こっちにちょこっと」という具合に分散されてしまうので更にたちが悪い。
 大体にして肝心の工作時に「そういえばあれ、どこだったっけ」となった時に「パーツ一個探すのに丸一日」なんてマヌケを晒す事にもなります。
 実は以前工具でも同じへまをやっており「小さい工具箱に分散していた」時にも同じ経験をします。
 

 ですから、今回はせめて一か所に集中して置いておこうと思い立ちます。(肝心の工具箱自体を何処へやったのか忘れやすい)

 よくホームセンターなんかに置いてある衣装ケース。これのでかいのをふたつ買い一個は車両パーツ、一個はレイアウトパーツと単純に二等分する事にした訳です。
 勿論箱の中は玩具箱さながらに雑然とする訳ですが逆に言うなら「そこ以外にはパーツはない」勘定になるので却って物探しの無駄にはなりません。
 但し、パーツが小さいだけに隙間などに挟まってしまうとたちが悪いですから段ボールの空き箱なんかは不向きです。

ミュンヘンオリンピック電車のはなし

2016-08-18 05:02:52 | 車輌・電車
 先日の上京での掘り出し物から。

 大昔の話になりますが水野良太郎の「鉄道模型入門」(廣済堂)と言う本の中に「模型車両カタログ」と言う一章がありそこでは洋の東西を問わずに様々なモデルが紹介されていました。
 HOが主流と言うご時世を反映して掲載モデルのほぼすべてがHO、16番だったのですがそこに唯一掲載されていたNゲージのモデルがありました。
(とはいえ扱いは「HOとの大きさ比較」程度の意味しかなかったですが)


 それが「オリンピック電車の3連」です。
 ここで言う「オリンピック」とは東京でもリオデジャネイロでもなく1972年頃のミュンヘンオリンピックを指します。念のため。
 本書が出た当時Nの電車と言えば実質KATOの103系しかなかった(GMの111系が二番手で出ていましたが当時は動力車がありませんでした)時期、日本車にない独特の垢抜け感のあるデザインの電車モデルの写真は非常に魅力的に映ったものです。
 (今でもカラーリングのセンスや前面のデザインは卓越していると思います)

 正式名称は420形、ミュンヘンオリンピックに合わせて登場した3連固定編成の交流電車。サイリスタ制御を採用した当時としては先進的な電車でもあります。
 メーカーはアーノルドラピード。


 もちろん当時は田舎の模型屋なんぞにこれが並ぶことなどなく本書で初見以来40年近く実物も模型も見た事がない、それでいて妙に魅力的に見える模型として私の心に引っかかっていたモデルです。

 それが今年初めに例の時計屋さんに出物の中古モデルがあって思わず懐かしさに惹かれたのですがその時は持ち合わせがなく泣く泣くあきらめたモデルでした。

 今回の上京でその時計屋さんに行ったのですがそこの中古ショップはとにかく在庫の回転が速いので有名なところで一度買い逃したモデルが次に来た時にも残っているなどという事がまず期待できません。
 ところがそのまさかが現実になっていました。
 やはりそこの中古コーナーにオリンピック電車が残っていたのです。正直奇跡と思いました。
 そんな訳で今回念願かなってオリンピック電車の入線と相成った訳です。

 それにしてもです。
 モデルとしてもかなり目立つパッケージングとカッコよさなのになぜこれが長いこと売れ残っていたのか。
 最初は私にはわかりませんでしたが、店頭で試走させた時にその理由がはっきりしました。

 普通この手の編成物は「1両づつ出してみて動力やヘッドライトなどのチェックを行う」もので、これは秋葉や銀座に限らず田舎のショップでもまあ同じです。

 ところがこのモデルはそれができません。


 なぜなら「3連の電車が完全に固定されていて一連になっているからです」
 各車輛間はがっちりした金属製のロッドで完全に繋がっており店頭では1両づつばらすことはできませんでした。

 なるほど、50センチ近い長さの、台車が6つも付いている電車をリレーラーなしで線路に載せるのは大概の人は恐れをなすと思います(笑)

 ですがそこはこの電車との再会で舞い上がっている私の事、さっさと載せてさっさと試走、即購入の運びとなりました。

 帰宅後、正式にレイアウトに載せて走らせてみましたが40年近く前のモデルとしてはかなりスムーズな走りを見せます。
 流石にスローは神経質ですが、まあ私には許容範囲でしょう。
 それと何より「室内灯標準装備」それも「動力車にもインテリアと照明がついている」のは結構なアドバンテージです。
 その関係で動力は薄型が採用されていますがおそらく40年前の模型としてはこれは驚異的な事だったのではないかと思います。また、完全に確認していませんが3つの車体を繋ぐ金属製のドローバー(というより固定ロッドと言った方が良さそうな位強固な構造)は通電カプラーの機能も兼ねているらしく、これも走行性に寄与している印象です。

 造形は流石に現在の第一線級とはいかないのですが屋根上の碍子や配線などは今どきのモデルよりも細い位です。
 尤も集電仕様と思われるパンタグラフは相対的にラフに見えますが。


 この編成は言うまでもなく当時の西ドイツの電車で国鉄時代の日本の電車と並べると浮いて見えるのは間違いないですがむしろ最近のJR電車と並べると大きさ以外の違和感があまりありません。
 何となくBMWのセダンのそれを思わせる逆スラントの前面デザインは日本人好みの気もします。

 余談ですがミュンヘンオリンピックと言うと私がまず連想するのが男子バレーボールの日本チームの各選手を一々紹介していたスポ根ドキュメントアニメ「ミュンヘンへの道」という番組だったりします。あの頃は毎週観ていましたが、題材が題材だけにオリンピックが終わればそれっきりな訳で、そのせいか再放送を観た記憶がありません。

今月のジャンク車マイクロの「922形4両編成」

2016-08-17 05:59:04 | 車輌・電車
 今月のジャンクの花園その2

 モデルとしてはそこそこレアと思いますが。
 マイクロの「922形4連」
 0系新幹線の試作車両をベースに救援車に改造したドクターイエローのご先祖みたいな存在です。

 試作車らしく中間車の窓割りなんかは後にも先にも例のない「六角形窓の連続」
 先頭部には謎の側面表示(これは昔の新幹線の絵本の一部にも描かれていました。どうかすると「山陽新幹線にはこれがついてくる」なんて予告をしていた絵本すらあったくらいです)

 屋根の上には異様なほどの碍子の並び。

 と、試作車ゆえの試行錯誤と言ってしまえばそうなのですが普通の0系を見慣れた目からすれば「出たのはこちらが先なのに妙にパチモン臭い」と言う不思議な印象を伴います。
 因みにオリジナルの試作車は普通の0系と同じカラーリングでヘッドライトがやや細めになっていて未来感はそちらの方が高いです。

 さて、922と改名、改造されたこの編成。
 新品はもとより店頭での出物も今回見るのが初見と言う位に(わたし的に)珍しいモデルです。

 それがなんでまた1両1000円のバーゲンがされていたか。
 
 このコンディションを見れば一目瞭然。
 パンタは全て破損、特徴的な碍子の並びも何本か欠落しています。
 ボディの一部には擦り傷もあったりして。

 前のユーザーはよほど鉄道模型の扱いがぞんざいだったのか、あるいは何かのはずみで派手に落としてしまったのかどちらにしても勿体ない話ではあります。
 幸い走行系には問題がない事は確認したので、パンタと碍子、高圧線をリペアすればどうにか見られそうです。

 碍子の形態が変わる可能性はありますがパンタはKATOかTOMIXのASSYで対応するつもりです。

日本型HOゲージの50年の思い出から・クモハ40のはなし

2016-08-16 05:55:04 | 車両・16番
 昭和39年版の「模型と工作 臨時増刊・鉄道模型ハンドブック」(技術出版)から50年前の16番モデル工作とそれ以降のNモデルの思い出を語るある意味支離滅裂な企画(汗)
 但し今回は諸般の事情(笑)でいつもと少し趣が変わります。


 何故なら今回紹介するモデルが「16番モデル」だからでそれもあってこちらのブログで先行公開させて頂こうかと思います。
 今回はクモハ40から。

 両運転台で単行でも運転を楽しめると言うメリットもあってクモハ40は16番工作向けの素材としては好適と思いますが本書でもきちんと取り上げられています。
ただ、ハードボイルドと言いますか、他の工作記事で前振りに来る実車の解説とか作り手の意欲を刺激するような文句は一切なしでいきなり製作記事に入るところは上記のメリットの大きいモデルだけに少しもったいない気もします。

工作は例によってペーパー車体にバルサの屋根板の組み合わせ。
103系と違ってシルもヘッダもある上に車体のコーナー部を曲面処理する必要のある旧国なので1両だけでもなかなか作り応えのあるモデルと思います。ただ、当時は103系始め151系や153系等の新型電車が爆発的なペースで発表されファンの心を大いになびかせていた時期だけにクモハ40の様な旧国に関心が向きにくい所はあったのではないでしょうか。


 そのクモハ40ですが私のところではNではなくKATOの16番と言う形で入線しています。
 これも記憶に間違いがなければKATOの16番では初の電車モデルだったと思います。

 恐らくクモハ40自体は他のメーカーからもブラスのモデルがいくつも出ていると思いますが、モデルとしてはそれほど注目度の高い機種ではありません。
 それを敢えてKATOがプラで出したという事は単行でも運転できるメリットを重視した結果ではないかと思います(同様の印象は同じ16番のTOMIXの高松事平電鉄5000でも感じますが)

 ペーパーともブラスとも異なるプラ造形の旧国という事で素材の違いからくる印象の差は感じやすい気がしますが多少の肉厚感はあるにせよプラならではの細密感の高さは流石プラモデル大国日本の電車モデルと言った感じです。
 尤も、CADを駆使して設計されたと思しき造形には可愛げのなさを感じる向きもあるかもしれません。

 ですが縁側なんかでゆったりゆらゆらと走らせて楽しむ分にはとても楽しめるモデルなのも確かです。