前回に引き続いてレイアウトへの強遠近法の応用についての考察を図りたいと思います。

一般的にミニチュアで強遠近法を使う場合、その目的は大抵の場合、写真か映画の撮影という事になります。
ミニチュアの風景では奥行きの不足を補うために遠近法を使いますが、それは「遠近感を誤魔化しやすい一眼の風景でなら威力を発揮しやすい」からです。
(極端な例ですが黄金期の東宝特撮の怪獣映画ではステージの奥行の大きさを活かして「怪獣の暴れる遠景の手前に人間を演技させる近景を組み合わせる」という荒業すら使っています。これがまた下手な合成よりもリアルなのです)

しかし二つの目で風景の距離感を感じる人間の場合、奥行きの無さを感じやすいのが問題となります。
これは小スケールになるほど露わになりやすい欠点で、一部の立版古を除いてレイアウトの作例で遠近法が使われにくい一因になっていると考えられます。
特撮アーカイブセンターの展示では、その弱点をある程度カバーするためにミニチュアセット自体の奥行きを深くする事で、ライブで眺める場合でも遠近感を感じさせやすくする様になっています。
(展示のスペースは目測でも教室一部屋分はあったと思います)

ですから、わたしが家のレイアウトで同じ効果を得ようとしたら、可能な限りの奥行きを取る必要があるだろうとは考えていました。
今回の実験では2,7mの奥行を確保しましたが、Nゲージスケールではこれくらいがどうにか破綻しない見え方となる下限かもしれません。
更に条件としては、畳一畳半のスペースでも線路の密度を最低限に留め、街並みやシーナリィを見せる事に主眼を置いた風景づくりでないと却って線路配置が玩具っぽく見えるリスクもあり得ます。博物館の大レイアウトの殆どが後者に該当しますが、これは「あくまで車両模型を見せる事が目的」であって風景を見せる事のプライオリティが薄いのでコンセプト自体は正しいと言えます。
その意味で、この手は一部の大レイアウトに見られる「スペース一杯に線路を敷き詰めた、いわゆる線路お化けには向かない」手法ではないかと思います。鉄道模型でこれに近い効果を上げている実例としてはかつてTOMIXのカタログ写真に使われたパノラマ写真(「TOMIXディオラマワールド」として写真集になっています)がありますが、これも撮影スタッフの中に特撮関係の方が居られた模様で、線路の配置はヤードなどを除けばごく低い密度になっています。
今回の方法の効果のもうひとつのメリットとして、上から見下ろす構図の方が下から見上げる場合に比べて視点の幅を広く設定できる事が上げられます。
同じ高さの範囲であれば横方向への視線の移動も容易ですし「視点を上にずらしても下から見上げる場合に比べて構図が破綻しない範囲が広い」事から、ライブで眺めてもそれなりにリアルな見え方になる様です。

今回の実験では遠景1/150、近景1/43のスケール差であれば奥行き2,5mのパノラマでもそこそこの効果が感じられました。逆にいうなら小スペースのヴィネットのレベルでは強遠近感の効果は立版古でもない限り限定的になるだろうという事でもあります。
今回は遠景により小さいミニチュアを配置し更に遠くの遠近感を出す手法をまだ試していませんが、最近は遠景用を想定した小スケールのミニチュアもいくつか製品化されているので、いずれはそれを含めた応用法を検討してみたいと思います。

一般的にミニチュアで強遠近法を使う場合、その目的は大抵の場合、写真か映画の撮影という事になります。
ミニチュアの風景では奥行きの不足を補うために遠近法を使いますが、それは「遠近感を誤魔化しやすい一眼の風景でなら威力を発揮しやすい」からです。
(極端な例ですが黄金期の東宝特撮の怪獣映画ではステージの奥行の大きさを活かして「怪獣の暴れる遠景の手前に人間を演技させる近景を組み合わせる」という荒業すら使っています。これがまた下手な合成よりもリアルなのです)

しかし二つの目で風景の距離感を感じる人間の場合、奥行きの無さを感じやすいのが問題となります。
これは小スケールになるほど露わになりやすい欠点で、一部の立版古を除いてレイアウトの作例で遠近法が使われにくい一因になっていると考えられます。
特撮アーカイブセンターの展示では、その弱点をある程度カバーするためにミニチュアセット自体の奥行きを深くする事で、ライブで眺める場合でも遠近感を感じさせやすくする様になっています。
(展示のスペースは目測でも教室一部屋分はあったと思います)

ですから、わたしが家のレイアウトで同じ効果を得ようとしたら、可能な限りの奥行きを取る必要があるだろうとは考えていました。
今回の実験では2,7mの奥行を確保しましたが、Nゲージスケールではこれくらいがどうにか破綻しない見え方となる下限かもしれません。
更に条件としては、畳一畳半のスペースでも線路の密度を最低限に留め、街並みやシーナリィを見せる事に主眼を置いた風景づくりでないと却って線路配置が玩具っぽく見えるリスクもあり得ます。博物館の大レイアウトの殆どが後者に該当しますが、これは「あくまで車両模型を見せる事が目的」であって風景を見せる事のプライオリティが薄いのでコンセプト自体は正しいと言えます。
その意味で、この手は一部の大レイアウトに見られる「スペース一杯に線路を敷き詰めた、いわゆる線路お化けには向かない」手法ではないかと思います。鉄道模型でこれに近い効果を上げている実例としてはかつてTOMIXのカタログ写真に使われたパノラマ写真(「TOMIXディオラマワールド」として写真集になっています)がありますが、これも撮影スタッフの中に特撮関係の方が居られた模様で、線路の配置はヤードなどを除けばごく低い密度になっています。
今回の方法の効果のもうひとつのメリットとして、上から見下ろす構図の方が下から見上げる場合に比べて視点の幅を広く設定できる事が上げられます。
同じ高さの範囲であれば横方向への視線の移動も容易ですし「視点を上にずらしても下から見上げる場合に比べて構図が破綻しない範囲が広い」事から、ライブで眺めてもそれなりにリアルな見え方になる様です。

今回の実験では遠景1/150、近景1/43のスケール差であれば奥行き2,5mのパノラマでもそこそこの効果が感じられました。逆にいうなら小スペースのヴィネットのレベルでは強遠近感の効果は立版古でもない限り限定的になるだろうという事でもあります。
今回は遠景により小さいミニチュアを配置し更に遠くの遠近感を出す手法をまだ試していませんが、最近は遠景用を想定した小スケールのミニチュアもいくつか製品化されているので、いずれはそれを含めた応用法を検討してみたいと思います。