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光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

新宿駅のライブカムに「都会」を感じるはなし(笑)

2025-04-30 05:42:09 | 映画・テレビ
 昨年の秋頃に、うちのTVのホームターミナルを更新した際にLANが繋がったため(世間からだいぶ遅れて)晴れて我が家もネットテレビの仲間入りをしました。

 おかげで晩飯どきなんかは、子供がようつべの動画でテレビを独占し、お茶の間風景もだいぶ様変わりしています。
 が、その後の時間帯、わたしがテレビを独占している時は同じようつべでもライブカムの映像を流しっぱなしにする事が多いです。

 以前サブブログで取り上げた「大船渡の山火事の24時間中継」なんかもライブカムの威力を感じるコンテンツでしたが、そんな大事件のない大概の場合はわたしの故郷とか銀座や中野の繁華街の生中継をBGVがわりに流しています。

 真夜中のお茶の間で、ブログの駄文を打っているわたしの前に流れるライブカムはまさに「どこでもドア的なもう一つの窓」みたいなもので周囲の田舎風景とは異なる別世界感を掻き立ててくれます。

 そんな中でも、先日から特にハマっているのが「新宿駅のライブ映像」
 と言っても駅前の雑踏とかではなく駅の手前の高架区間を広角で捉えた映像で、新宿駅ならではの10線並進のパノラマを見せてくれます。

 鉄道模型では余程の大レイアウトでも10列車同時運転なんてできないですから楽しい事夥しい(笑)

 山手線をはじめ総武線、中央線、湘南新宿ライン、埼京線が居並ぶだけに夜の11時過ぎでも何本もの列車が行き交う映像が流れますし、背景のビル街もかつてのネオンサインに代わってマルチビジョンの洪水状態。
 まさに「大都会のダイナミズム」の先端を体現した画面を堪能させてくれます。

 これがスマホとかタブレットだったらここまでのインパクトは感じなかったと思います。あくまで「窓を思わせる大画面」だからこその驚きなのでしょう。

 他のライブカムでは無音状態だったり適当なBGMを付けたりして却って無味乾燥な印象なのに対して、こちらは実際の音場も流してくれるので列車のジョイント音をはじめ近所の喧騒や救急車のサイレンまで聞かせてくれるのが臨場感たっぷりです。

 田舎者はこういう都会的な活気に溢れる映像に弱いですから、一晩中でもお付き合いしたくなります(爆笑)


 行き交う編成も通勤列車だけはなくE353、東武スペーシアなんかも観られますし、有料化からこのかたガラガラ状態が続いているE233のグリーン車の空きっぷりもリアルタイムで観られたりします。

 驚くべきはこのライブは24時間営業(当たり前か)なので深夜にトイレに立った時になんとなくテレビを点けてみると「列車の行き来のない真っ暗な線路だけが画面に映し出される異世界状態」が拝めて驚きました(笑)

 で、思うのですがこういうタイプのライブ映像、探せばまだまだ出てきそうな気がします(例えば阪急梅田駅の6線並進区間とか)
ライブカムはある意味「鉄オタの魔法の窓」としても機能するものかもしれませんね。

 追記
 今回の記事に触発されて阪急梅田駅を検索したら「頭端ホーム付近のコンコース」のライブカム映像が出てきて「まるで梅田駅構内に引っ越した」ような錯覚を(爆笑)

 (実際の画面を出すと差し障りがありそうだったので似た雰囲気の写真で代用していますがご了承ください汗)

戦隊ヒーローと鉄道から・・・

2023-10-10 05:52:50 | 映画・テレビ

 今回は映像ネタから一席。
 昨年の今頃、当ブログで「電撃戦隊チェンジマン」に秩父鉄道のデキ1が登場しているはなしをしましたが、他にも「アクションシーンに鉄道が絡む」特撮ヒーローネタをふたつほど拾えたので、それを紹介します。

 前回紹介された「電撃戦隊チェンジマン」(1985年)の後番組に当たる「超新星フラッシュマン」(1986年)の劇場版にも秩父鉄道が登場するという情報は昨年の記事の時にレサレサさんからご指摘頂きましたが、それから半年ほどして該当の作品がCSでも掛かったのでようやく観る事ができました。

 この劇場版では敵に追われた主人公たちが通りかかりの貨物列車に飛び乗り(!)逃げ延びようとするが、その列車上に敵が出現!というシチュエーションで秩父鉄道デキ1がまた登場します(笑)
 アクションシーンこそチェンジマンに比べると地味ですが、それでもよく観ると「走行中のデキ1のボンネット上に敵戦士が仁王立ち」という観ている方がハラハラする様な画面があったりします。

 このシーンの撮影は駅構内か操車場を使ったと思われますが画面の隅っこに懐かしの秩父塗装の電車がちょこちょこ映り込むのが観ている方の役得のひとつかもしれません。

 もう一本
 フラッシュマンの5年前に放映された初期の戦隊シリーズの代表作のひとつ「太陽戦隊サンバルカン」の一編、第44話「大脱走 ヘリ爆破」から。


 この回では太陽戦隊の機密書類を持って逃走した親友を追って主人公が敵基地に潜入。親友が実は敵の懐に潜入して首領を倒そうとしていた意図を知るが、二人は敵に追い詰められ空中からヘリで狙われる・・・というストーリー
 で、二人の逃走中にこれまた通りがかりの貨物列車に飛び乗る(またかい!)シチュエーションが出てきます。

 実は本編を観るまでは「どうせまた秩父鉄道なんだろうな(実際、東映のアクションものでの秩父鉄道の登場頻度は非常に高い)」とか思って気を抜いて観ていたら

 こっちに出てきたのは「東武鉄道」でした(驚)
 ED5010と思われるデッキ機関車の次位にはちゃんとヨ101がつながっています。
 牽引するは土砂を満載したトキ1中心の編成で最後尾にもヨ101が付いているのを視認できます。

 こっちはこっちで「敵のヘリコプターから投げられる爆弾が列車すれすれで爆発する」というデンジャラス極まりないロケーション。
 今では到底こんなシーンは撮れない気がします。

 東映戦隊シリーズにはずっと後にそのものずばりの「烈車戦隊トッキュウジャー」というのもありましたが、昭和の時代の旧作ドラマを漁ればまだまだこういうのが拾えそうな感じがしますね(笑)

映画に見るテツドウモケイから「幽霊列車」と「東京五人男」

2023-09-19 05:43:57 | 映画・テレビ
 レイアウト趣味に見る特撮映画、今回は番外編めきます。
 紹介するのは前にサブブログで紹介した「幽霊列車」(昭和24年)に加えて「東京五人男」(昭和21年)をセットで。
 記事のリンクはこちら
真夏のミステリ映画(?)から「幽霊列車」

 昭和20年代前半の終戦と戦後の混乱期は、映画の製作もそれまでの様には行かなかったらしく、大掛かりなセットやロケを駆使した撮影が困難でしたし、背景ひとつとっても戦後の荒廃を絵に描いたような風景ばかりだったのだろうと思われます。
 そんな時期のとっかかりに製作された「東京五人男」は「徴用工から復帰して東京に帰ってきた5人の男が戦後の荒廃を目の当たりにしながらも、それぞれの職場で復興に励もうと活躍する」というコメディ仕立ての人情物。
 キャストも横山エンタツ、花菱アチャコ、古川ロッパなど当時の喜劇スターを集め、荒廃した世にユーモアと笑いを届けようと企図された一作でした。

 で、ここまでのどこに「特撮」と「レイアウト」が出てくるのかと言いますと、冒頭の5人が列車で東京に向かうところ、富士山が見える「線路上を列車が快走するシーン」がミニチュアで表現されているのです。
 シーンにしてたったの数秒。向こうからまっすぐ列車が走ってきて通過するだけのカットなのですが、実はこのシーンを撮影したのが円谷英二(本作では本名の英一名義)でした。
 事によると、円谷英二が戦後最初に担当した特撮かもしれません(確証はないですが)

 元々特撮という技術は「いろいろな事情や条件から実車ではできないか困難な事を撮影技術面でカバーする」ものです。
 その目で見ると「ただの列車の通過シーンすら実景で撮れない」条件があったのかもしれない。戦後すぐの混乱期では列車自体が買い出し隊で超満員なのに加えて、鉄道側も保線や車両のやりくりもまともにできない状態ゆえに「画になる列車風景が撮れなかった」のではないかとも想像されます。
 改めてその眼で見るとこの「なんて事のない列車の通過シーン自体が、あの当時のファンタジーの一種」だったのかもしれないという気もします。

 このシーンのレイアウト、というかセットは背景と突堤のシーナリィで博物館のパノラマ展示みたいな雰囲気がありますが、それでもファンタジーでありつつも最低限のリアリティは保とうとしているように感じられます。

 その数年後、一時的に大映で特撮をしていた円谷英二が再び鉄道物に挑んだのが「幽霊列車」
 実はこちらもエンタツ・アチャコをはじめとする当代喜劇スターを集めたミステリ系コメディだったりします。この頃ですら「バスが燃料切れで動けなくなる」とか「軍需物資の横流しを企てる密輸団」とかいまだに戦後を引きずった世相を感じさせる描写があり未だ戦後が終わっていない時期の作品であることを感じさせられます。

 本作のハイライトは「事故で崖から転落する軽便列車」の描写。
 本作唯一のスペクタクルシーンですが、予算の都合か製作態勢の不十分さか、後の東宝特撮の様なミニチュアのスケール感はありません。

 それでも崖から貨車や客車が転落する一連のシークエンスは「落ちてゆく貨車まで演技をしている」かの様な画面が見られ、特撮の神様の非凡さの一端が感じられます。
 ここではポイントが装備された駅周辺や列車が転落する山、崖のセットが組まれていますが、特に駅のセットには「後の鉄道模型のレイアウトで見る様なちんまりした線路や建物の配置」で一見玩具臭いのですが、この頃の日本にはまだ本格的なレイアウトすら存在していなかった事を考えると、当時としては相当に頑張ったセットではないかと思います。

 さて、ここまででは主に特撮のはなしでしたが、幽霊列車のクライマックスは「犯人の運転する蒸気の貨物列車に主演の柳屋金語楼が飛び移り、走行する機関車にしがみつきながら運転席に向かう」というアクションシーンがあります。
 しかも観た限りでは吹き替えは使っていない様なので本作一番の見どころかもしれません。
 登場する列車は今は無き江若鉄道で撮影されたそうで、B6蒸気機関車がバック運転で二軸のダブルルーフ客車と2,3両の貨車を牽く混合列車が視認できます(カットの多くが裏焼ですが)

 ・・・なにか河合商会の2120とノス鉄の客車の組み合わせで再現できそうな気がするw

レイアウト趣味と「新幹線大爆破」

2023-02-05 05:37:14 | 映画・テレビ
 今回はだいぶ前にサブブログで書いた映画ネタの再録です。

 生まれた年代の関係もあるのでしょうか、私の鉄道模型の趣味はかなりな部分で昭和30~50年代のTV・映画の特撮物と重なっている部分があります。
 特にミニチュアワークに絡む部分ではレイアウトの情景創成との共通点が多く、子供の頃に見た特撮物のアングルや1カットに憧れを覚えたり、「こんなカットをモデル化してみたい」と感じる事も多々あります。

 その意味で原点となりうるのは主に昭和30年代の黄金期の東宝特撮なのですが、それについては後回しにして今回は列車が主役の特撮物と言う事で東映の「新幹線大爆破」を。

 作品のストーリーや内容については色々な方が文献やブログで取り上げておられるので、このうえ屋上屋を架すような事はここではしません。検索すれば大体のアウトラインはご理解いただけるものと思います。

 この作品は映画館ではなく、公開から大分経ってからTVで見たのが最初でした。洋画を中心にパニック映画ブームだった時勢に乗っかる形で急造された和製パニック物で初見の当時はストーリーは中々面白かった物の肝心のミニチュア特撮の部分がどうしてもちゃちに見えてしまい少なからずがっかりした覚えがあります。

 それから更に時が経ち、ミニチュアと言うよりもストーリー性に惹かれてビデオやDVDを購入し何度となく見返してきた作品です。ところが、レイアウトを作りはじめてから改めて観直してみると結構侮れないカットがいくつかあるのに気付きました。

 中でも浜松駅で上り新幹線が通過した直後の上り線に下りの新幹線が入替え進入する部分(DVDでは冒頭から26分半位の部分)でミニチュアの浜松駅を上り新幹線がカーブしながら通過するカットには立った数秒のシーンながら鳥肌が立ちます。
 ミニチュア自体はごく平凡なレベルですが何と言っても個人のレイアウトではまず不可能に近いたっぷりした奥行きを利したセットのスケール感に圧倒されてしまうのです。
 聞く所ではこの辺の一連のカットは俗に「八百屋」と言われる全体に傾斜のついたミニチュアセットを組んで動力を内蔵していない新幹線を上から転がし落とす方法で撮影されたそうです。ミニチュア車両に動力がないというのもミソで下手にモーターを内蔵していたらこの部分の走行シーンはこう滑らかには行かなかったのではとも思えます。

 また、クライマックスの停車シーンは明らかにミニチュアの新幹線と実景のパトカー、消防車、自衛隊車両と救助隊のエキストラの合成になる夜景なのですがミニチュアがちゃちであるにも拘らず画面全体のパノラマ感(シネスコ画面のメリットを最大に生かした左右の広がり感)のインパクトが強く、その意味でも私の好きなシーンであります。

 他のカットがミニチュア感が強すぎる事や構図に工夫が少ないといった難点もあるのですが今でも見返すたびに引き込まれます。

 と言っても、レイアウトを作る一人として「こんな風なレイアウトを作ってみたい!」と言ったレベルなのですが(笑)

 同じ作品を観るのでも「観客として」と「レイアウトを造る身」とでは結構視点が違ってくるのかもしれません。
 ちなみに本編部分の車内セットですがこちらは実際の車両工場に発注して作った物だそうですのでさすがにこれをちゃちだという人はいないと思います(笑)

 鉄道博物館に0系の大窓車が展示されていますがこの車内に入ると気分はひかり109号です。私も初めて乗った時はずいぶんと浸りました(恥)

七人の刑事・「ブルートレインはふるさと行き」

2022-12-04 05:21:16 | 映画・テレビ
 この間の「古畑任三郎」をはじめとして当ブログでも何本か「鉄道ネタの刑事ものテレビドラマ」を取り上げていますが、今回はその中の一本から。

 その名も「ブルートレインはふるさと行き」という一作です。

 これは数年前にCSで再放送されているのを観た「七人の刑事」(昭和53年 TBS)の一編です。

 本作のオリジナルははテレビ草創期の刑事ドラマの草分けとして知られている長寿番組でしたが、その後10年近いブランクの後、これまた当時人気だった刑事ドラマの「太陽にほえろ!」の裏番組にぶつける形で製作された新シリーズです。
 (出演は旧シリーズから芦田伸介、佐藤英雄、天田俊明が継続、新人として中山仁、樋浦勉、三浦浩一、中島久之が登場、後に本作が初レギュラーとなる宅麻伸、ボクサーとして有名な輪島功一が加入)

 その中の一本である本篇はブルートレイン「富士」の車内で起こった殺人事件の捜査を扱った内容のドラマですが、放映時期が昭和53年という、ブルトレブームのとっかかりの時期に当たります。
 確か本作の直前くらいに同じTBSの「日曜特バン」(TBS版の木曜スペシャル)でもブルートレインの特集が組まれた事がありましたが、或いはそれに合わせて本作のロケもやったのかもしれません。

 鉄道公安官ものでもないのに1時間弱のドラマで主人公が3度もブルトレに乗る描写があったり、たまたま殺人のあった個室の隣の部屋で「録り鉄小学生がテレコを回しており、その中に犯行の手掛かりが録音されていた」とかブームならではの演出がたっぷり(笑)

 本編ではDF50やEF65の500番台時代の24系&24系25型の描写が結構見られました。
 (但し夜行列車の性質上、EF65の走行シーンは殆どシルエット同然の扱いです)

 寝台車内の描写はセットと実車を組み合わせたもののようです。本作と同じ頃に平泉行きのツアーで24系に乗ったわたしからすれば、当時の視聴はそれなりに楽しめる追体験でした。
 それでいて、劇中に出て来るA寝台は個室でしたし、ツアーにはなかった「車内販売」の描写があったりと「あの頃のブルトレ」の空気を感じさせてくれたのは拾い物だったのです(笑)

 その他インパクトを感じたのはゲストに登場する「髪の黒い浜村純」とか酔っぱらいの役で登場している池田鴻(機動戦士ガンダムの主題歌を歌った方ですが役者として同時期の刑事ドラマではちょくちょく見かけます)とかでしょうか。

 七人の刑事と言えば社会派刑事ドラマの古典ですが本作を含む昭和53年のリメイク版(続編?)は裏が「太陽にほえろ!」だったのを意識しすぎて、中途半端に派手さや外連を意識した演出(たとえば馬で現場入りする刑事が居たり、刑事が駐車違反で切符を切られるギャグがあったり)が割と多かったため、ドラマの真面目さとのギャップが目立っていた印象があります。

 ブーム便乗型のこの話もそうした流れを考えていたのでしょうが、こうして観返してみると他のはなしに比べて地味ながら生真面目に作られている印象が感じられて悪いイメージはなかったです。

 因みに「七人の刑事」ではもう一本「ブルートレインの女」というのが製作されていますが、こっちはこっちで「竹下景子の列車ジャック」がクライマックスに来るという驚愕の展開なのですが、専務車掌の役が同じ柳澤慎一だったりとある程度連続性を意識している様です。

鉄道ミステリとテツドウモケイ 番外編「ロンドン指令X」

2022-10-08 05:19:27 | 映画・テレビ
 今回はTVのミステリドラマと鉄道模型ネタの番外編です。

 紹介するのはゲーリー&シルビアアンダーソンの手になる特撮スパイアクションドラマの「ロンドン指令X」
(1969年 放映はNHKにて1970年)

 (講談社「TV映画ヒーローメカ超マシーン大事典」22P より画像引用)
 本作はサンダーバードで有名になった「特撮人形劇」の中でも後期の作品ですが、地上波の放映が本放送のみで40年以上再放映がなかった(21世紀になってからCSで再放映されました)事と作風がサンダーバードに比べて地味極まりなかった事から、今ではなかなか顧みられる事のない作品と思います。

 opのナレーションはこんな感じです(ナレーターはおそらく中江真司)

 静かな田舎町の教会。

 この窓に立つ穏やかな顔つきのスタンレー神父が、実はイギリス情報部の特捜員であることは、誰も気がつくまい。

 しかし、ひとたびロンドン本部から指令Xが飛ぶと、スタンレー神父と助手マシューは秘密兵器ミニマイザーを頼りに、恐るべき国際犯罪網や、スパイ組織の中に敢然と飛び込むのだ!


 このように内容は普通にスパイアクション物なのですがSF的な要素は「人体を縮小して諜報活動を行う」くらいなもので、派手さはないものの不思議とアダルトかつウィットに満ちた小品という印象の作品でした。

 さて、この話のどこに鉄道模型が絡むかと言いますと、第5話が「列車消失に絡むアクション物」を扱っている話という点なのです。

 巨額の古紙幣をロンドンから郊外の処理工場に運ぶため、専用の現金輸送列車が仕立てられ運ばれる事になった。
 しかし鉄道側の警備責任者を首魁とする強盗団は現金の強奪を目論み、トンネル内で分岐する今は廃線となっている支線を使って現金を列車ごと盗み出す作戦にかかっていた。

 かねて彼らの存在を警戒していたスタンレー神父はミクロ化して貨物のアタッシェケースに忍び込ませていた助手・マシューと共に列車に乗り込み、警備にあたるのだが・・・


 というのが大まかなストーリーです。
 本作が制作される少し前にイギリスでは現金輸送列車を襲撃して25億円を強奪する事件が実際に起こっており、これにドイルの「臨時急行列車の消失」の要素を絡めた物が本作と言えます。

 画面的な見どころはなんと言ってもミニチュア(というか鉄道模型)を駆使した「列車の暴走シーン」
 スーパーマリオネーションと呼ばれたこの種の人形劇のシリーズはサンダーバードをはじめ何本か作られていますが、全編鉄道を舞台とした物は案外少ないのです。

 元が人形劇の世界の表現なだけにミニチュアの列車描写は基本的に違和感がない物ですが、走行シーンを眺めていると「レイアウト(というかモジュール)が主役のドラマを見ているような錯覚」を覚えるのがなんとも(笑)
 基本的に線路周辺のシーナリィしか表現されていないので視覚的な奥行き感に欠けるところが却って「レイアウトっぽさ」を感じさせてくれますw

 信号所をはじめとするストラクチャーやアクセサリがカットによって使いまわされている所なんかも何かレイアウト的です。

 現金輸送列車はおそらくプロトタイプのないオリジナルの単行車両と思われますが、自動車のミニチュアとの絡みで大きさの違いに違和感を感じるカットが一瞬あるので、車両自体は事によるとHOかOOの模型をベースにしたものかもしれません。

 今回のはCSでの再放映を機会に何の気なしに見始めたシリーズなのですが、案外な拾い物でした。

鉄道ミステリとNゲージ 番外編 「古畑任三郎」と小湊鉄道

2022-08-27 05:12:20 | 映画・テレビ
 久しぶりの「鉄道ミステリとNゲージ」ネタから
 今回は番外編です。

 主演の田村正和氏の物故以来、やたらとCSで掛かる様になっている「古畑任三郎」(1999 CX)

 まあ、それも宜なるかなで何度再放映されても見飽きる事がないだけの魅力のある作品と思います。
 一見「刑事コロンボ」のエピゴーネンの様に見えて、よく観るとたまにコロンボではやらなかった題材やシチュエーションに積極的だったりと意欲的な作りであることもその一因かもしれません。

 さて、その古畑任三郎ですが第1シーズンで「全編が走行中の新幹線の車内だけで構成された一幕もの」があったりするのですが、第3シーズンの最終話でも鉄道がメインに来る話が存在します。

組織の秘密を握るアイテムを持って逃亡を図った裏切り者を追う過激派組織の殺し屋。
やっとの思いで裏切り者を始末することには成功したが、彼が殺される直前に乗っていた列車の車内に組織の手がかりであるキーホルダーのついた鞄を放置していた。
だが、殺し屋がそれに気づいた時には既に遅く鞄は駅の遺失物扱い所に保管されてしまい、うかつに手を出すことが出来なくなっていた。
それを知った組織のリーダーは鞄の奪回の為にある策を思いつく。

問題の列車を管理する私鉄会社の集中制御室に謎の男から脅迫電話が届く。
それはなんと「現在走行中の最終電車を乗っ取った」という宣言だった。
続いて脅迫者は身代金としてその日の売上金の1000万円を要求してくる。

とある私用でその部屋に居合わせていた古畑任三郎は、列車ジャック自体の危険度が高い事や、小銭ばかりの売上金を要求して来た事などからその脅迫に不自然さを感じるのだが・・・


 というのが大まかなストーリー。

 シリーズとしての本作が刑事コロンボやエラリークイーンズミステリーなどのエピゴーネンである事は夙に知られていますが、今回は更に新幹線大爆破や劇場版の機動警察パトレイバー2を彷彿とさせるシチュエーションが加わり最終話にふさわしいゴージャスな一編となっています。

 さて、この話で舞台となるのは設定上架空の私鉄という事になっていますが、実際のロケに使われているのは小湊鉄道でした。始発駅である五井駅前の「サンプラザ市原」のビルも本社の社屋に見立てて撮影されていますが実際の社屋はそのビルを背景にした2階建ての事務所の写真がネットで検索できます(笑)

 (実は最初にこの話を観た時、ローカル風のホームの造りやクラシカルな車輛に比べてあまりにもアバンギャルドなデザインのビルとギャップの大きさに「ビルだけ別の場所でロケしたのでは?」と思ったほどなのですが、後に小湊鉄道の番組を観たら本当にそういうビルが駅前にあるのを知って驚きました汗)

 まあ、あの当時でも劇中のような仰々しいATCルームはあまりないのではないかという気もしますが、これはおそらく「新幹線大爆破」を彷彿とさせる意図があったのかもしれません(実際、明らかなパロディシーンもあります)

 実はこの列車ジャックは外部からATCにハッキングした犯人グループが演出した「幻の列車ジャック」です。
なので異常事態が進行しているのはあくまでATCの画面上だけで実際の最終列車は通常通りに走っているというのがストーリー上のミソです。
 この辺は上述したパトレイバー2の「幻の空爆」(レーダー上に架空の爆撃機を出し、自衛隊のスクランブル発進を仕組む)のシチュエーションそのまんまなのですが、スタッフがどれだけパトレイバーを意識していたかは謎です。

 さて、肝心の列車ですが小湊鉄道が舞台なだけに登場するのはキハ200。
 劇中ではこれが3両編成で深夜の鉄路を疾走します。一応車内描写もあり東北辺りの田舎の私鉄とは一味違う微妙に垢抜けた車内のイメージがわたしには妙に新鮮だったりします。

 そのキハ200、昨年の今頃プラムの16番キットを作っていました。これを作っている当時はまさかこんな主演作があるなどとは夢にも思わず(笑)
 前にも紹介したようにキハ200はNゲージでも鉄コレでリリースされています。ただし1種類しかないので劇中の3連を再現するのはそれなりに難しそうですが。

 列車ジャックの理由がかなり無理のある設定な事とか、最終列車の種別が「705E」なんて呼ばれているところ、五井で終点なのに「走ってきたのが都会から来る下り列車」という設定とか、冷静になればツッコミどころも多いのですがエンターテイメントとして見れば、これはこれで楽しめるのも確かで、シリーズ最終話という事もあってそれなりに盛り上がります。

 余談ですが、本編で途中から公安の刑事に化けて登場するテロリストのリーダー役は江口洋介、また20年前だったら犯人役が多かった佐々木功が生真面目で子煩悩な列車指令を好演し、大活躍します。
こうしたキャスティングの妙も本シリーズの魅力のひとつですね。

秩父鉄道デキ1と「とある特撮ヒーロー物」(笑)

2022-07-27 05:22:37 | 映画・テレビ

 今回は先日見た特撮ヒーローものに意外な客演をしていたロコのはなしです。

(講談社「テレビマガジンヒーロー大全集」132Pより画像引用)
物はCS放送でたまたま観ていた「電撃戦隊チェンジマン」(昭和60年 ANB 東映)の劇場版。
本作は現在まで連綿と続く東映戦隊シリーズ中期の傑作とされる一本です。

悪の組織が火山の噴火を偽装して周辺の住民を強制的に避難させ、その間に地球を破壊する爆弾を仕掛けようとする陰謀にチェンジマンが立ち向かうというのがストーリーのアウトライン。
物語の中盤、火山から避難する住民の中の一人の少年が家に置き去りにしていた飼い犬を助けに行こうとするのですがその為に「駅に停まっていた機関車を勝手に運転して家に向かう」という展開(!)
少年を助けるために急行するチェンジマンと列車を止めようとする敵組織の三つ巴のトレインチェイスが展開したのには驚きました。

その場面の主役というのが現在は全機退役して保存機しか残っていない「秩父鉄道のデキ1」だったりします。牽引しているのも事業車と思われるトキ500の編成(当時のこととて後尾にはちゃんと緩急車が付いています)

そのデキ1編成が駅構内を疾走するくらいだったら驚きませんが「駅構内の犬走部分をロードバイクで列車と並走」して飛び移ろうとするヒーローとか「走行中のトキの上で数人が格闘戦を行い2、3人が走行中の貨車から投げ落とされる」上にとどめが「走行中の実車に弾着、爆発が絡む」「ラストは列車が走行中の鉄橋から川へダイブするヒーロー」とまあ、やりたい放題の描写の連続(笑)

実は秩父鉄道は東映のヒーローものやアクションドラマでよく登場する私鉄でして、少なくとも昭和の終わり頃までは「鉄道の絡むアクション=秩父鉄道でロケ」というのが定番でした。当ブログでもそのうちの一本として「大非常線」というのを取り上げた事があります。
「大非常線」と秩父鉄道
(まあ、当時の国鉄や大手私鉄でここまで無茶なロケをやらせてくれるところもそうないでしょうが)

ですがそこで登場する編成は大概デキ200とかデキ300みたいな箱型デッキ付きELが牽いている事が多く(牽引するのにホッパ車が多いのでアクションシーンが見栄えがするのでしょうか)デキ1というのはわたし的には割と新鮮でした(笑)

あいにくわたしの手持ちにはデキ1はありませんが、今回は外見が比較的似ている弘南鉄道の機関車の写真でお茶を濁させていただきます。

「恐怖の夏休み!暴走する新幹線」

2022-03-12 05:20:07 | 映画・テレビ

 今回はネタ的に脱線気味のはなしですがご勘弁をば(こんなのでも一応鉄道ネタですし)

 先日、ネット広告で知ったのですがタカラトミーのトランスフォーマーシリーズに「0系新幹線が変形するロボット」が発売されるとの由。

 上の写真は旧作に登場する列車の合体ロボットですが、今回のはこれのリニューアル、グレードアップ仕様らしいですね。

 デザインを見る限りロボットのかっこよさに破綻はありませんし、何より「本当に25M級車体の0系先頭車の姿に変形できるらしい」と言うのはわたしには大きな訴求力です(笑)
 聞くところではHOスケールで設計にはTOMIXが全面協力しているとの由(TOMIXってHOの0系を出していましたっけか?)

 その凄さに驚いていて、ふと思いだしたこと。

「そういえば0系新幹線がロボットに変形する実写特撮ドラマがあった」
 ちょうどその作品がCSで放映されていますし、この機会に取り上げてみるのも一興かと。

 作品は昭和52年に放映された「大鉄人17(ワンセブン)」(MBS ・東映)の一編「恐怖の夏休み!暴走する新幹線」

 本作は昭和50年代に放映された巨大ロボット特撮物の一本。人類抹殺を企む巨人頭脳「ブレイン」に作られた巨大ロボットの「17」は自らの意志で人類を守るためにブレインに反逆。唯一心を通わせる南三郎少年と共にブレインが繰り出すロボット軍団に戦いを挑むと言うものです。

 夏休みのある日、三郎少年たちが乗った博多行き「ひかり23号」が突如暴走を始めた。
 名古屋も新大阪も勝手に通過し、爆走する新幹線。三郎少年を救出するために出動する17。
 だが突如ひかり23号は線路を外れて宙を舞う!
 実はひかり23号は三郎少年を捕獲するためにブレインが送り込んだロボットにすり替えられていたのだ!
 17の前でひかり23号は「巨大な新幹線ロボット」に変形(いや、変身?)する!!


 と言うのが大まかなストーリーです。

 本作の2年前に同じ東映は劇場用映画の「新幹線大爆破」を製作しましたが、その際に実物大の車内セット(実車と同じパーツを使用した労作!)を製作しています。
 その出来の良さと、当初は不入りの為に赤字だったと言われる製作費回収の穴埋めのためか、直後の時期から東映(やセットをレンタルされた他の制作会社も含めて)で新幹線関連のドラマや映画が何本か製作されています。

 恐らく本作もそのひとつですが、セットとは別に「大爆破」の走行シーンや特撮シーンのデュープがかなり使われており、画面的にはあたかもプチ「新幹線大爆破」みたいなノリになっています。
 ひょっとしたら本作は「大爆破」の素材を最大限に利用するために捻り出された一編かもしれませんね。

 そして、問題の「新幹線ロボット」ですが

 なんと言いますか、とりあえず0系の顔がついていますが、プロポーションは寄せ集めのプラレール風。
 武器は「ヘッドライトから乱射されるミサイル」「自分の車輪を外して転がし相手を転ばせる」と妙に芸達者です(まあ、敵方のメカですからトランスフォーマーみたいなかっこよさを求めてはいけないか)

 本作は前後編になっていますが後編が今から楽しみです(笑)

 余談ですが、この新幹線の車内セットは後に「バトルフィーバーJ」(昭和54年)のある話で、そのものずばりの「撮影所のセット」として登場しています。
 ここでは「車内セットを外から見るとどうなっているのか」もわかるカットがあるのですが、まるで「でっかいビールの木箱」みたいでその落差に少なからずがっかりさせられますがw


更に余談。
この記事をメインブログに上げた後、弟から追加の写真が届きました。トランスフォーマーも昔の仕様だと今回の新幹線ロボと大同小異だった事を知りました。

 更にバンダイのマシンロボの新幹線ロボは顔が17の新幹線ロボそっくりだった事実も知ります(爆笑)

特撮映画とNゲージのはなし

2022-03-09 05:01:07 | 映画・テレビ
 今回はレイアウト趣味から見る特撮映画のネタから

 ものは2013年公開の「ウルトラマンサーガ」


 この作品で個人的に注目し、期待していたのが「都市破壊シーンや空中戦シーンなどで150分の1のビル街のセットが登場する」点です。
 これまでの常識ではミニチュアというのは可能な限り実物の大きさに近づけるために大きく作るとのが原則とされ(子供の頃図書館で読んだ特撮映画の撮影法の本でも書かれています)殊に縫いぐるみの怪獣やヒーローが暴れる場合は中のスーツアクターの身長から逆算して25分の1から40分の1(ゴジラなどの設定身長が伸びたため)のスケールでセットが組まれるのが普通でした。

 Nゲージの市販の建物類が特撮セットで使われる事もあるにはあったのですが例えば昔の東映戦隊シリーズなどで補助的な使用がされる程度だった訳です。
 それが今回ウルトラマンの映画でセットが組まれる。どんな画になるのだろうかというのが興味の中心でした。


 クライマックス近く、東京の上空でウルトラマンサーガとゼットンが空中戦を行う所などでこのセットが登場します。
 今回の場合はヒーローと怪獣の空中戦のなかで「密度のある俯瞰風景が見せたくてNスケールを選択した」という所のようです。

 ただしどちらも光線技を乱発するので上空から外れた光線などが下のビルを直撃して破壊するというシチュエーションが目立ち、それを上空からの視点でとらえる必要もあったようです。
 今回ソフトをチェックしてよく見ると確かにビル街にジオタウンやTOMIXのビルなどの建造物が「かなり」使われているのを視認できました。
 ただし戦隊シリーズなどの様にビルを横から見せるのでなく、上空からの俯瞰でとらえているカットが多いので意外にぼろが出ません。


 爆発なども基本的に炎の合成による処理なのでスケールの呪縛(火や水は縮尺できないというのが昔の常識でしたが今ではCGの合成でスケールに合わせた炎を組み合わせられる)がなくこれも自然でした。
 もう一つ工夫されている点ですが、確かにビルの多くに市販のストラクチャーは使われていますがそれらとは別にランドマークになる様な大型のビルをスクラッチしており、それを組み合わせる事で市販品を並べた時に独特のちまちま感を回避している所も参考になった点です。


 もちろん作り手の狙いだった「大俯瞰」の表現のなかで「ビルや道路がリアルに見えるような配置の工夫」がされている点も大いに学べる部分でした。

 実際どんな大レイアウトでも畳二枚分のスペースをフルにビル街だけで表現するなどという事はやらないしできません(笑)ですがもし実際にそれをやった場合どう云う画面効果があるかというのを実際に見せてくれたのがこの作品でした。
 今は特撮の主流はCGとされ、ミニチュアが傍流扱いされつつありますが、質感表現やアナログな配置を要するところでまだまだ存在価値がある事も今回の作品では語っている気がします。

 特撮もののドラマでNゲージのストラクチャーが使われるのは1980年代にGMのキットが使われ始めた辺りが最初と思いますが、ここ20年くらいは主に東映の戦隊ものでTOMIXやジオタウンのビルや一般建造物が使われるケースが多いようです。

 この正月にもそういうのを一本観ましたが「巨大化したコタツ」を表現するのに表「本物のコタツの周囲にTOMIXのマンションやジオタウンの大型ビルが並べられている光景」なんてのがあって、これには頭がクラクラしました。
(これは決してお屠蘇に酔ったせいではないと思いますw)

NHK特集「ジョバンニの銀河1983」と謎のBタンク

2022-02-22 05:06:30 | 映画・テレビ
 今回も「テツドウモケイの出てくる映像」ネタをば。

 前回「核戦争後の地球」でNHKの特撮とそこに出てくる鉄道模型を取り上げましたが、前回とは別なアプローチでファンタジーを映像化したものを取り上げます。

 ものは1982年放映のNHK特集「ジョバンニの銀河1983」
 本作は宮沢賢治の没後50年を記念して製作された一作ですが、当時のNHKの特撮と多様な素材を駆使して「銀河鉄道の夜」を映像化したものです。

 宮沢賢治が童話作家の顔とは別に、化学や天文学にも造詣が深かった事は今も語り継がれているところです。
 中でも当時「石っこ賢さん」と言われていた鉱物学の研究については今でも多くの研究資料が遺されています。

 (ポニーキャニオン NHK特集名作100選「創造の世界編」LDより画像引用)

 銀河鉄道の映像ではそれらの鉱物標本を偏光顕微鏡で捉えたファンタジックな写真を背景に、模型の列車を合成する形で999とは別な形で「銀河鉄道のファンタジー」を映像化することに成功しています。
 (もちろんVTR特撮の機材が潤沢に整備されていたNHKだからこそ可能だった面もあったと思いますが)

(ポニーキャニオン NHK特集名作100選「創造の世界編」LDより画像引用)

 ここに登場する銀河鉄道はおそらく市販の模型を使ったと思われるのですが、安全弁付近の発煙ギミックが付いている事、模型でもHOやNゲージではなかなか再現されないネジ式連結器を装備している点から見て、それなりのラージスケールモデルだったのではないかと思われます。

 これらを元に映像化した「銀河鉄道の夜」ですが、過去のアニメや映像と異なる独特なファンタジックさに引き込まれます。
 実は本作も本放送時にβⅢでエアチェックして何十回となく再生してきたのですが、そのうちどうしても高画質の素材でみたくなり、10年ほど後にLDが出た時には速攻で予約・購入した経緯があります。

 (って、このLDというのが「他のドキュメント9作と抱き合わせのボックス仕様」つまり本作一本を観るためにLD5枚も購入する羽目になったという曰く付き汗)

「地球炎上」とNゲージの103系

2022-02-10 05:02:12 | 映画・テレビ
 久しぶりに映像作品と鉄道模型ネタです。

 サブブログでは昨年紹介している「NHK特集・核戦争後の地球・第一部 地球炎上」(1983年 NHK)
 本作は各国の科学者の助言のもと、誰も見たことのない(あっても困りますが)核爆発化での都市の破壊を映像化した想定ドキュメントで、NHKの製作としては空前の大スペクタクル映像番組でもありました。

 7月上旬の午後2時、東京タワーの上空2400メートルで1メガトンの核が爆発した時どの様な現象が起きるかという想定のもと、爆心直下・5キロ圏(新宿副都心、渋谷のNHK放送センター)10キロ圏(江東区大島団地、羽田空港、湾岸のコンビナート地帯)で起こりうる惨状がTVフレームの中で再現された一大想定スペクタクル。

 爆発の瞬間、東京タワーの周囲で増上寺が、東京駅が、銀座が木っ端微塵に砕け散る。5キロ離れた渋谷のNHK放送センターでは熱線で全てのものが瞬間的に発火、数秒後の衝撃波でガラス張りの局舎が砕け散ります。
 更に10キロ離れた大島の団地では、アパートの一室が発火し30秒後に衝撃波。空港では着陸態勢のDCー8が炎に飲まれ、湾内ではLPGタンカーが空中に巻き上げられ炎と共に四散。
 これらのシークエンスがたたみかける様に映像化され、従来のいかなる作品でも映像化されなかった核による都市破壊の全貌が観るものを凍りつかせます。

 これらの特撮は「板硝子に実景の写真を貼り付け、火薬とガソリンで爆発する瞬間を80倍速のハイスピードカメラで捉える」というある意味アイデア賞ものの撮影法で捉えられたものですがその中の1カットに「丸の内のビル街を通過中の山手線の103系電車が衝撃波で吹き飛ぶ」というのがあります。

(ポニーキャニオン LD「NHK特集名作100選・核戦争後の地球」より画像引用)
 後からメイキングを読んで知ったのですが、このシーンは市販のNゲージの電車をカーテンレールで逆さ吊りし、ゴム鉄砲の要領で射出。ビル街を通過する瞬間に爆発させるというテクニックを使っているそうです。
 当時市販のNゲージの模型というとKATOのそれがまず思い浮かびますが、実際あの頃最も手軽に買える電車の模型だったと思います。



 このシーンは他のそれに比べると「特撮くささ」を感じさせる物ですが、そのリアリティの一端を市販のNゲージモデルが担っていたと思うと面白い気がします。

(同LDより画像引用)
 なお、同番組では銀座の高架を通過する新幹線も同様に吹き飛ばされますが、見た限りではこのシーンも0系の中間車だけは模型を使っている様に見えます。
 (玩具では、新幹線の25M級の長い車体を再現しているものはごく少ない)

「警視庁物語 深夜便130列車」

2021-11-16 05:18:21 | 映画・テレビ
 今回は久しぶりに映画ネタから。
 毎年今時分の時期にはCSのどこかのチャンネルで「鉄道映画特集」か「鉄道ドキュメント特集」が組まれていたのですが、今年はどのチャンネルでもその手の特集がなし。

 それはそれで少し残念ですが以前紹介した「警視庁物語」のシリーズの今月放映の分に鉄道ネタが掛かっていました。個人的に拾い物と思いましたので今回はそれを紹介したいと思います。

 「警視庁物語 深夜便130列車」(1960年 東映)

 ある日、今はなき汐留駅の貨物保管庫に留め置かれた天王寺駅発の荷主不明のトランクの中から死後10日を経過した半裸の女性の死体が発見された。
 犯人はもとより女性の身元も一切不明。
 早速招集された警視庁愛宕署の捜査陣は被害者の身元を追って大阪へ、やがて犯人の行方を追って僅かな手掛かりをもとに徐々に捜査網が絞られてゆくのであった。
 犯人は「深夜便の130列車」で情婦と落ち合う事が分かり捜査陣も列車に乗り込むが、この時点で犯人の写真が手に入らなかったために顔も風態も一切不明。一体乗客の誰が犯人なのか?


 ざっくり書くとこういうストーリーです。

 前に紹介した「終電車の死美人」「魔の最終列車」は冒頭の犯行現場が列車の中というだけで鉄道ファンにとっての見せ場も前半30分だけに集中していたのですが、本作は冒頭の汐留駅、中盤に天王寺駅貨物取扱所が登場。
 クライマックスも当時の沼津、大船駅から急行筑紫、ラストの130列車の車内、深夜の東京駅構内と舞台だけで見せ場が満載。
 このシリーズで一番鉄道ファン向けの内容になっています。
DSCN5838.jpg
 冒頭の汐留駅は早朝4時台の貨物扱いの描写が見所。「急行便」の帯の入った二軸貨車の行き交い、ワキ1000からの荷下ろし風景が拝めますし、当時貨物の玄関口だった汐留駅の活気あふれる描写が続きます。ここまででわずか2分なのですが観ている方はここまででもお腹いっぱいになれます。

 引き続いて大阪へ出張する刑事たちが東京駅から列車に乗り込みますが、ここでも当時最新客車だったピカピカのナハ11の姿が登場。モノクロ映画ですがおそらくこのナハはブドウ色の仕様でしょう。

 クライマックスの舞台となる深夜便列車の描写もまた当時の「茶色いEF58が牽引する旧客列車」次位にはダブルルーフのスハ32がつながっているところが泣かせます。

 更には、いかにも昭和30年代と言った雰囲気の夜行列車の車内描写がなかなか。
 あの頃は夜行とはいえ、寝台列車ばかりでなく旧客の座席車で夜っぴて走る普通列車が当たり前だった時代ですが、車内の寝苦しそうな乗客たちの演技、網棚に載った雑多な荷物、それらの群を縫って検札に回る車掌たちのくたびれ具合の演出が「これこれ、昔の列車はこうだった」と懐かしさに浸れること必至です(笑)

 東京駅に到着後のがらんとしたオハ35の車内の散らかり具合(あの頃はタバコを床に踏み消すのも当たり前、読み捨ての雑誌が床に散乱している光景も見かけたものです)も当時を知る者には相当にリアルに映ると思います。

 また、事件と直接関係ないカットですが聞き込みシーンの中に9600やD51が屯する機関区の描写があったり突堤の上を通過するC57牽引の客車列車とか改軌前後の時代の京成電車が通過するカットもあったりしてどうでもいいシーンでも見逃せないのが本作の特徴です(笑)

 配役はシリーズ常連の堀雄二、神田隆、花澤徳衛の捜査陣を筆頭に、今では名前も見かけない地味な役者が並びますが、よく見るとノンクレジットで若き日の奥村公延、山浦栄の姿が確認でき、さらに堀雄二扮する部長刑事の息子の役で子役時代の風間杜夫も登場していたりします。
 特撮ファンには若き日の中山昭二(ウルトラセブンのキリヤマ隊長)と小嶋一郎(初代ナショナルキッド)が目立つところではないでしょうか。

 さらに余談
 何度もロケする映画作品だからでしょう、登場する130列車の牽引機は茶色のEF58なのは共通なのですが機番は異なる2、3種類が確認できました。
 また、東京に向かう130列車の場面の中に「3両目に軌道試験車を繋いだカット」がありました。おそらく終列車後の間合いを使った試験列車を130列車に見立てたカットと思います。

 と、こんな具合に見る人が観ると結構楽しめる一作ではないかと思います(ツッコミどころも含めて、ですが)

特撮テレビ映画とテツドウモケイ

2021-11-10 05:46:49 | 映画・テレビ
 今回は鉄道模型ネタとしては搦め手といいますか、少々ヘンな話です(汗)
 なのでそのつもりでご笑覧ください。

 最近、CSで1968年放映の「ジャイアントロボ」の再放映があり懐かしさにかまけて毎度視聴しています。

 その中に怪獣が湖畔の線路で重要人物を乗っていた列車ごと飲み込んでしまう話があったのですが・・・
 「なんですか?コレ!」

 飲み込まれる列車のミニチュアというのがフリーのBタイブ電機の牽引する「湘南カラーのクハ165&サロ165」と言う謎の3両編成!
 (それでいて本編の車内描写は個室A寝台だったりするのですがw)
 本作は予算の不足からミニチュアなども可能な限りプラモやオモチャを活用する方針で臨んだそうですが、このミニチュアも恐らくは市販の16番モデルを線路ごと使ったものでしょうか。


 1977年の「小さなスーパーマン ガンバロン」では等身大のヒーローが新幹線をすくうために大活躍する話ですが、救助シーンではガンバロンに呼ばれた巨大メカ「ヒライダー」が列車を丸ごと吊り上げて移動させるという大技を見せてくれます。

 ここで出てくる0系のミニチュアは大きさからみてカツミ辺りの16番モデルではないかと推定されます。


 これも恐らく市販品の改造でしょう。

 1971年の「宇宙猿人ゴリ」のある一話では敵の怪人が蒸気機関車の牽引する貨物列車を乗っ取るシークエンスがありますが実車のシーンはC58なのがミニチュアでは幹線級旅客機のC53が使われていたりして。

 この回ではヒーローのスペクトルマンが怪獣にタキ3000を投げつけて爆破するシーンもありますがこれもモデルの精密さから見て市販品を塗り替えたものではないでしょうか。

 この様にテレビの特撮では16番(HO)を中心に市販のモデルをミニチュアに代用するパターンが多いと思います。
 ただ、作品によっては「列車と分かれば良いんだ」みたいな考証そっちのけの扱いを受ける事が殆どだったりしますが(涙)

 怪獣物ではなくとも円谷プロの「マイティジャック」(1968年)のある一編では敵組織の秘密基地で空中戦艦からの荷物の積み降ろしシーンにDF50っぽい機関車と無蓋車の編成が登場します。

 他に印象的なのは「アイアンキング」(1972年)の第1話に登場する「ロボットとの比率まるで無視で編成ごと吸引ロボットの掌に吸い込まれる新幹線」とか、「スーパーロボットマッハバロン」(1974年)で敵ロボットに襲われた「EF61電気機関車を電車化したような奇天烈編成」とかがあったりします。
 この様な明らかに市販の模型や玩具をミニチュアに使ったのが丸わかりな撮影は昭和40年代(1966年~1975年)前後の作品に集中している様です。
 中にはティンプートの玩具を無理やり使った物もあったりするのですが、模型を使う場合は明らかに細密感が玩具と異なるのでそれなりに見ごたえがある反面、他のミニチュアとの比率の点で無理のある画面作りの物も多く見受けられます。

 劇場映画の場合だとかなり考証された編成なり車両のモデルが出る事が多いのですが予算や手間の制限の大きいテレビ特撮ではどうしても妥協せざるを得ないところもあるのは確かでしょう。

 それでもたまに劇場映画のラージサイズのミニチュアを流用したケース(東宝、円谷系の作品に多い)もあったりするのでそういうのを見つけるのも面白いですが、ちゃちなのが分かっていても市販品を使ったシークエンスで「あっこれはあのモデルじゃないか?」とかツッコみを入れながら観るという見方もありましょう。

 まあ、これはこれで楽しめないことも無いのですがずいぶんとひねくれた見方である事も確かです(笑)
 流石に最近の作品ではそこまでヘンな描写の物はそうそうないとは思いますが。

TVドラマのレイアウトのはなし二題

2021-03-13 05:36:38 | 映画・テレビ
 最近観たテレビドラマからテツドウモケイ絡みのネタをば。

 ファンの方には今更感が強いとは思いますが昨年夏頃にスタートした「仮面ライダーセイバー」(ANB 東映)で主人公の小説家の経営する本屋さんの中にえらくファンタジックなレイアウトが鎮座しています。
 毎回ドラマの背景にちょこちょこといったレベルでの登場に留まるのですが、NゲージスケールでKATOのチビSL&ちび客車の編成がひょうたん型のエンドレスを疾走。
 全体の雰囲気は欧州風の風景をベースにしながらも真っ赤に塗られた日本の城郭、よく見るとジオコレの町並みなんかもこっそり混じっていたりしてファンタジックなシーナリィ構成となっています。
 しかも各店舗のテナントは過去の仮面ライダーシリーズに因んだ店名が使われているというお遊びも盛り込まれています。

 しかもレイアウトの置台はオサレな書棚も兼ねているといったインテリア志向の高いもの。


 リアル嗜好、細密志向というのとはちょっと異なるのですが、原鉄道模型博物館のレイアウトに似た様な雰囲気も感じられたりします。

 このレイアウトの作者が誰かは知らないのですが恐らくはドラマのスタッフが常設セットの一部として製作した物ではないかと思います。
 レイアウト専門業者とか鉄道マニアとは異なるセンスと発想を感じますから。

 もう一本
 実は私自身存在を知ったのがごく最近なのですが昨年の初めに放映されていたドラマ「純喫茶に恋をして」(CX)の一編にレイアウトが登場するものがありました。
 
 本作は戸塚純貴扮する売れないマンガ家が落ち込むたびに手近な純喫茶を見つけては店内で毎回異なる美人さんの客を見つけては妄想にふけるというフォーマットの「孤独のグルメ」の変形版という趣の作品です。

 その中の第11話で登場する吉祥寺の「ウッドストック」の店内にメルクリンHOゲージのレイアウトがガラス張りのテーブルの下に鎮座しているという趣向。
 (実はこのレイアウト、ゲストの美少女と意外な絡み方をする落ちが付いています)

 本作は実在の店でロケしているので劇中でご店主が語った様に「店主のご主人が自分の子供用に製作した」ものなのでしょう。

 メルクリンの良いところのひとつは「多少玩具っぽく見えるトラックプランでもセンスのいいインテリアとして成立させられる」点にあると思いますが、その点で喫茶店のインテリアにメルクリンというのはこよなく似合う気もしますね。

 (写真は手持ちの写真から雰囲気が似通ったものをセレクトしたもので本題とは直接の関係はありません)