光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

今月の入線車・KATOのキハ25(但しJR東海の)

2021-09-30 05:31:29 | 車両・気動車

 今月入線の新車から。
 私個人の感覚では「キハ25」と聞くと真っ先に連想するのは「国鉄キハ20系の片運転台車」です。

 キハ52とキハユニ26が幅を利かせていた故郷の線路では、キハ25は滅多に目にしない存在でしたが。
 ですから先日店頭で「KATOのキハ25の2両セット」のパッケージを見つけた時、反射的に「キハ52セット」を探し始めたアホな私がいたりする訳で。

 実際はキハ25はキハ25でもJR東海のキハ25だったのですが。

 という訳でキハ25の1500番台です。
 今回のモデルは高山本線仕様と紀勢本線仕様の2タイプがあり細部が異なりますが私が入線させたのは紀勢本線仕様の方です。

 JR東海の方のキハ25の外見上の特徴は一言で言って「パンタのない313系」といった感じの外見です。
 とは言っても完全に313系のコピーという訳でなく「313系のつもりで前面をじっと見ているとだんだん変な気分になってくる」様な微妙な相違があります。特に表示幕の数が減ったためにおでこが広く見えるのには違和感があったりします。

 同じKATOの313系と並べてみるとなんとなくキハ25の方が顔が平べったく見える気もするのですが、側面ではステンレス車体のビード表現がない方がキハ25です。
 ですがわたし個人は313系の持つ「113系の進化系」みたいな雰囲気自体は好きな方なのでこのキハ25もそういう好ましさを感じます(大体、感じなかったらそもそも入線などさせませんしw)
 

 片側台車駆動の足回りですが2連での平地走行は問題なし。313系との併結を試しても面白そうな存在です。
 夢想・・・というほどの事もないのですがもしこのキハ25が岩手の、例えば山田線とか北上線とかを走る風景を想像してみると案外違和感なく溶け込んでしまうのではないか、そんな気がするのです。

 そんなところも今回入線を決めた理由だったりします。

カラーブックスの「日本の私鉄 近鉄」

2021-09-29 05:26:53 | 書籍
鉄道ネタのカラーブックスから。
今回は「日本の私鉄1 近鉄」(廣田 尚敬 鹿島 雅美 共著)をば

実は私の手持ちのカラーブックスで近鉄の本はこれが3冊目です。
カラーブックスの「日本の私鉄」シリーズで初めて出たのが今回の「近鉄」でしたが本書の初版は1980年。それ以後もシリーズが連綿とリリースされ続けましたが、1983年には早くも1の補巻としてその後の3年間で登場した新型を中心にした「近鉄Ⅱ」が登場。

時代が一回りした1989年には新生「日本の私鉄」の2巻目で3冊目の「近鉄」が追加されました。
私がこれまで入手してきた「近鉄」もこの2冊目、3冊目でしたが私個人としては最新型も良いですが、個人的に絵本や図鑑で馴染みのある時代の近鉄車が掲載されている一冊も欲しくなります。

そんな訳で折を見ては「カラーブックス最初の近鉄」を探していたのですが、先日ようやく出物を見つけられました。

本書の表紙を飾るのは30000系ビスタカー。そういえば本書のリリースと前後してNゲージの世界でもエンドウとTOMIXがビスタカーを発売していました。
相乗効果と言いますか、見事なタイミングな気もします(笑)

この30000系を中心に、初代、2代目も含めたビスタカーをはじめ、エースカーやスナックカーなどの歴代優等列車が前半を飾り、後半では当時の近鉄のイメージだったマルーンカラーの通勤車。
今は譲渡された北勢線のナロー電車まで網羅されています。

ラストは電気機関車や当時既に引退していた旧型車を網羅し「日本の私鉄」と言うタイトルに恥じない充実度を見せます。
ただ、最初の一冊ということもありまだ消化しきれないところも感じました。
その最たるものは前半の特急車両の解説部分が長くなってしまい、通勤車両のページのかなりなところまで浸食してしまった結果「写真と解説が一致しないページばかり」になってしまいました。
最後の方では「北勢線のナロー電車の写真のページの本文が標準軌ステンレス通勤車の3000系の解説になってしまう」ところまで来ています。

この独特の構成のせいで最初予想していたほどには読みやすくない一冊という印象もあります。
流石に以後にリリースされた「日本の私鉄」シリーズではこの様な変な構成にはなっていない様ですが。

ノス鉄のDB20を加工する・その4

2021-09-28 05:23:46 | 車両・ディーゼル機関車

 先日、動力のコンバートを試したばかりのノス鉄DB20。
 あの後、読者の方からの情報でアルナインのCタイプのロッド付き動力がDB20用に改修されてリリースされるとの事。

 やや複雑な気分ではあります。

 とはいえ、外見上で、まだ煮詰められる所があると思われるので追加の作業をば。
 屋根上に二つ並んだエアタンクですが、それらを繋ぐエアホース(?)の配管を真鍮線で取り付け。

 今回はRM MODELS200号記念付録の「手すり自作治具」が役に立ちました。
 これくらい小さいモデルの場合、曲がりやすい真鍮線よりも燐青銅線の方がかっちり感 が出る様です。

 フロントにカプラーと一緒に開放テコも追加。銀河モデルのEF60用のパーツから流用したものですが、幾分上にずれてしまいました(大汗)
 カプラーも片側はアーノルドですが反対側は雰囲気重視でダミーのナックルカプラーに切り替えました。

 これだけの加工に過ぎませんが、幾分ながらもノーマルとは違う雰囲気になりつつあります。
 作者の腕の下手さ加減については、まあ勘弁してください(大汗)

「テツモシンドローム」とエーダイのスハネフ15のはなし

2021-09-26 05:42:44 | 車両・客車・貨車
 先日更新されたWEBマンガの「テツモシンドローム」

 今回はエーダイとTOMIXのブルートレインネタで盛り上げてくれました。
 実は私自身はブルトレブームど真ん中の世代でありながら24系や14系への関心や思い入れはそれほどではなく、むしろ今世紀に入って趣味を再開した以降にいくつか増備したというレベルです。

 主人公の風奈が前回のはなしで発掘したTOMIXのEF81とDD51に牽かせる客車を物色するはなしですが、そこで登場したのが「エーダイナインのスハネフ15」
 ストーリー上ではスハネフ15をジャンク箱から見つけられなかったためTOMIXやKATOの24系を物色するという流れになっています。

 が、今回初読して「そういえばうちにもスハネフ15があった」のを思い出したのは因縁という奴でしょう。

 さっそく私も引っ張り出しました。
 実は14系以降の新系列のブルトレの模型で私が最初に入線させたのがこのスハネフ15でした。
 中古ショップのジャンクの袋詰めで同じエーダイのDD54タイプ(これが見事な不動品で早々に譲渡してしまった代物でしたが)と共に購入したものです。
 その時は同じエーダイのリレーラーも入手したのですが、この構成から見て元々はエーダイナインの基本セットのバラシだったのではないかと推察しています。
 (DD54タイプとスハネフ1両だけという基本セットが当時ラインナップされていたはずです)

 そんな訳で当初から編成を組ませる訳には行かないという中途半端な状態だったのですが、単独でこのモデルを見ているとエーダイなりの頑張りを感じさせる個性のあるモデルでした。
 銀メッキによる帯の表現はピカピカしすぎてプラモデル臭いのですが、それを別にすれば造形の面ではKATOやTOMIX(もちろん同時期の)に引けを取りません。


 細部のディテーリング成型はやや強め、はめ込み窓の隙間が大きめなものの、鉄道模型としてどうにか見られるレベルと言えます。
 台車の転がりもまあまあ良好でエーダイのEF65との相性は良さそうですし同時期のKATOやTOMIXの65との組み合わせも良かったでしょう。

 ですが中間車が無いので編成美としての印象を語れないのが残念です。
(実際には中間車としてオハネ15もリリースはされていました)

 モデルは当時競合モデルが無かったので「さくら」や「みずほ」などを再現するには重宝するモデルだったと思いますが、A寝台車や食堂車がリリースされず、何となく中途半端な印象があります。

 今では14系時代の「さくら」がKATOから出ていますしTOMIXからも14系15形の「さよなら富士 はやぶさ」セットなどがありますから(とはいえ今は奥の出物か中古でしか入手できませんが)今から敢えてエーダイで編成を組むメリットは殆どないと思います。

 それにしても「テツモシンドローム」
 新作が出るたびに何かしら私の思い出を刺激する題材を繰り出すので全く油断できません(大汗)

プラムの小湊鉄道キハ200の工作、その2

2021-09-25 05:40:37 | 車両・16番
 16番スケールのプラモデル、プラムの「小湊鉄道キハ200」のはなしの続き。

 最初の二日間くらいは昼間の時間を使い上回りの工作を中心に行いました。基本、塗装は最小限にするつもりでいましたが室内の釣り手ばかりはプラの地色というわけにいかず白の色挿しをせざるを得ませんでした(汗)

 車両中央部の6連の窓は差し替えで全閉、全開、半開の3種類から選んではめ込む事ができるのが芸が細かいですが、今回は片側は全て全閉とし、反対側は適当に半開と全開の窓を嵌め込んで、運行中の雰囲気を出す様にしました。

 三日目くらいからは床下機器の製作に取り掛かりましたが、こちらのパーツ構成が半端ない。

 素組みでもエンジンや変速機の類まで一々組み立てるので工程の割には時間が掛かりました。16番スケールゆえに床下のゴリゴリ感が凄い。
 コレが昔のGMの客車キットだったら「ウェイト兼用の一体型床下機器」をねじ止めして終わり」なのですが(笑)

 よく見たら組み立て説明書だって7ページ中4ページが床下機器と台車の工作に費やされていますから、手間が掛かるのは当然ではありました。

 足回りはダミーの台車を組み立てるか、パワートラック組み込みで自走できる様にするかのどちらかを選択できる様になっていますがその差し替えも楽そうなので、ダミーの台車も一応製作する事にし、パワートラックが入手できたら随時差し替える方向で考えることにします。

 ですがそうなると少なくとも黒の成形色そのまんまの車輪が頂けないのは確かで、ここは塗装が必須。やっぱり手間はかかる様です(汗)

ノスタルジック鉄道コレクションの「キワ90タイプ」

2021-09-23 05:38:30 | 車両・気動車
 ノスタルジック鉄道コレクションから今回はキワ90を紹介します。

 数年前に今はなき天賞堂エバーグリーンでワールド工芸のキワ90の出物を見つけ、いっとき悩んだことがあります。
 題材はなかなか面白かったですしレイアウト上でも活躍してくれそうな気はしていたのですが、自走できるとはいえ福沢さんが財布から飛びかねないお値段に躊躇して結局買えませんでした。

 それがプラ製で「タイプ」とはいえノス鉄のひとつとしてリリースされたのには感慨を禁じ得ません(笑)
 しかも箱買いすれば「色違いが2両」確実に入手できる訳ですし。

 実はノス鉄で最初に動力化したのもこのキワ90でした。
 あの時のエバグリの恨みはよくよく私の中に燻っていたものと見えます。
 お値段はワールドの中古と比べても半額くらいでしたし、何よりこのシリーズなら箱買いすれば「色違いの2両を動力スイッチして使う楽しみまであります」

 実車は1960年に小単位の貨物編成の牽引にも使える「走る貨車」として2両製造され、宮崎近辺で短期間使われたものの牽引力に欠けた事から早々と退役、1両が架線工事用の事業車キヤ90に改造されています。

 ノス鉄の動力ユニットはDB20辺りに使うにはロングホイールベース気味で違和感があるのですが、キワ90の実車もよく似たロングホイールベース(但し実車はやや片側にオフセットした軸配置です)なのでノス鉄の中では違和感が少ない方です。

 走行性は十分当鉄道の水準内。2、3両の2軸貨車を牽かせてみたくさせる不思議な魅力があります。
 (103系的な顔を含めてあんなに愛想のないデザインなのにw)

過ぎ行く「鉄夏」2021をふりかえる(汗)

2021-09-22 05:35:57 | その他
 つい今週の初めまで猛暑にゆだっていたはずなのが9月に入った途端に秋の長雨状態に逆戻り。
 しかしお盆の時と違って無闇に蒸し暑いのではなく肌寒さをも感じさせる辺りは「秋の到来」を感じさせますね。

 思えばこの夏は昨年以上にコロナ禍の影響を受ける季節でした。
 急激な感染者数の増加から現住地も警戒区域に指定され、イベント類は軒並み中止。
 私自身も夏場の帰省を見送らざるを得ませんでした。

 気候的には猛暑と長雨が入れ替わりで訪れたため体調的にも落ち着きませんでしたし、一方で長雨のせいで草むしりもできなければ除草剤も使えなかったので1週間も経つと前に上回る勢いで雑草や雑木が伸びまくるのには閉口しました。

 こんな折ですから実車の鉄道を利用する頻度は殆どなくなりましたし、都会に遊びに行く等という行為もできません。

 結局自宅で模型を弄るか、近場のショップ(模型屋も中古屋も)を巡るかするしかなかった夏でした。
 あと、例年なら暑さにかまけてほとんどやらない自宅のひとり運転会の頻度も高かったと思います。

 昨年の今頃は積みキット化していたペーパーストラクチャーをひたすら消化していましたが、今年は一転して車両工作、それもレストアや軽加工をメインに16番のプラモデルにも手を出すという点で昨年よりもバラエティのある手の使い方ができた感じがします。

 あと有難かったと言えばWEBマンガで鉄道模型ネタが出てきたり、鉄道模型関連の書籍で電子化された物に当たった事でしょうか。
 炎天下の昼間では工作すら億劫になりがちでしたから本屋に行かなくても取り寄せが利く「電子書籍の読む鉄」ができる事は大いに助かりました。

 かくして今年の「鉄夏」も過ぎてゆく訳ですが、せめて現状がこれから落ち着いてくれることを祈るばかりです。

葛飾区亀有公園前派出所を作る その2

2021-09-21 05:32:50 | ストラクチャー
 前に紹介したこばるの「亀有公園前派出所」の製作 その2です。

 キットメイクの最初は外壁の組み立てから・・・なのですがこのキットの場合は最初の段階で「外壁のディテール取り付けとデカール貼り」をやらせます。

「組み上がってからの塗装」を考えていないキットの様ですが、予めパーツ毎に塗装しておけば(準備期間が長くなりますがw)あとは結構楽しく工作できます。
 なお、外壁の色ですがアニメ準拠のストラクチャーにこだわる気がなかったのでクリーム1号(スカ色アイボリーですね)で塗装してあります。


 二面の外壁をベースに接着したら嵩上げされている和室の床板と内壁、障子やドアの組みつけ。
 建物としての形態が単純なキットですが、こうした内装のプロセスがかなり工作らしいもので真面目に「大工さんになった気分」が味わえます。

 天井の蛍光灯とペンダントも取り付け、和室にはデカールの畳を貼り付けました。

 さて、ここまで来て考え込んだ事。
 前回書いた通りこのキットにはこれでもかという位に「事務機や家具、台所用具のパーツ」が揃っています(ここまでやっているだけに「便器がない」のが不思議に感じられるくらいです)
 本来ならばこれも塗装、組み立ての上派出所内部に配置するのが筋です。

ですがこのキットの場合、間取りが複雑な上に窓が小さいので折角のファニチャーを組み付けても一部を除いて外から見えないのです。
 屋根を外せる構造にして中を覗き込む様な使い方を想定している模様でアニメグッズとしてはこれは非常に正しい方向なのは間違いありません。
 
 ですが曲がりなりにもレイアウトやジオラマの用途を想定していると、これがなんとももったいなく感じてしまうのです。

 いっそこれなら「家具の類はストックして他のストラクチャーに転用したい」と思えました。

 私の手持ちで言うなら、昨年暮に製作したパーミルの自動車修理工場の事務棟なんぞは外から丸見えな位に窓が大きいのに中が「空き家状態」
 ここに事務机とロッカー、流しと湯沸かし器があるだけで相当に雰囲気を変えられそうなのです。
 こんな例はまだまだあるのですが・・・

 すでに「こばる」さんももう無いのですが、これらの家具、事務機、台所なんかを単品パーツで売ってくれればどんなにありがたい事か!
 (田舎の駅舎の内装にも使えますし)

 因みにこのキットの凝り具合は内装だけでなく外に置いてある小物にまで及んでいますがそれについては次回以降に。

鉄道ミステリとNゲージ・番外編「まもなく電車が出現します」とオハ50

2021-09-19 05:20:29 | 小説
 手持ちの本がネタ切れでそろそろ打ち止めかなと思っていた「鉄道ミステリとNゲージ」

 そんなタイミングでネタが補充できたのは不思議ですw
 ただし今回は番外編的な位置付けになりますが。

 これまで紹介してきたミステリは基本的に実車の鉄道を舞台にしたものばかりでしたが、このところ漫画のジャンルで「鉄道模型が題材の作品」がいくつかヒットできていますから小説のジャンルにもそういうのが無いかとチェックしていました。
 今回はそうしてヒットした一作から

 似鳥 鶏作「まもなく電車が出現します」(創元推理文庫)

 本作はいわゆる「学園ミステリ」のジャンルに属する連作の一つ。

 舞台はとある私立高校。
 文化部の入っていた部室棟の校舎が閉鎖され、そこからあぶれた文化部や研究会が校内の使える空き部屋の争奪戦を始めていた。
 中でも美術室の隣室となっていた空き部屋を巡って鉄道研究会と映像研究会の部員たちが対立し、美術部員たちも辟易していた。
 だがその部屋は美術部の物置で窓を通して室内が見えるものの以前から鍵が紛失しており、更に入り口には内側に大きな石像が置かれ誰も入れない開かずの間だった。

 だがある日、問題の部屋の中に突然1メートル四方のレイアウトが忽然と置かれているのが発見される。もちろん鍵は掛かったままの密室状態。
 一体誰がどうやってレイアウトを密室に入れたのか?そもそもその目的は?
 美術部員の主人公はいきがかり上、受験勉強中なのに好奇心の強いホームズ役の先輩をも巻き込んで謎の探索を始めるのだが・・・

 というのが大まかなストーリーです。
 ミステリとはいえ殺人はもとより盗難事件すら起きない一作ですが、それだけに深刻ぶらずにさらりと読めるストーリーでした。

 さて、持ち込まれていたレイアウトですが設定上はHOゲージ(16番)
 そのレイアウト上には何故か「駅や緑の山々の中にオハ50が1両だけ鎮座している」という異様さ。実はこれが犯人特定のヒントの一つになっています(根拠のリアリティに多少無理はありますが)

 オハ50は言うまでもなく、1980年代以降旧客の淘汰を目的に登場した近代型近郊客車です。私の故郷ではスハ43系や10系を始めとする青い客車たちを廃車に追いやった悪しき存在として記憶される客車でした。
 とはいえ、乗る側からすればドアは自動だし室内は明るいし扇風機は付いているしで乗車環境は劇的に改善していたのですがw

 さて、それはそれとして、
 本編に出てくるのは1メートル四方のHOレイアウトという設定ですが、以前も書いたようにこれは自己完結した運転ができるHOレイアウトとしては最小に近いサイズです。

 オハ50(というかそれを牽引する機関車)の走れるトラックプランは実質真円のエンドレス、側線なしという事になりますか。
 仮にNゲージとしても20M級3両くらいまでが上限といったところでしょう。

 かと言ってこれがパイクやセクションとすると逆に奥行きがあり過ぎてリアリティに欠けます。
 これらの点から推察するに作者は鉄道模型にそれほど詳しくないと思われます。

 因みに本作の感想の中に「大きなジオラマを1人でこっそり運び込めるか?」と言うのがありましたが、運転会でこれに近い大きさのモジュールを持ち運びした経験から言えばこれくらいの大きさならシーナリィとレールの固定さえしっかりしていれば十分可能と思います。

 本作のトリックの主眼は実は密室への侵入方法よりも密室の構築方法にあるのでレイアウト自体は付け足しに近いのですが、鉄道模型のレイアウトをミステリの題材にした短編はまだ少ないと思うのでその意味では貴重な一編と思います。

ノス鉄のDB20を加工する・その3

2021-09-18 05:18:18 | 車両・ディーゼル機関車
  先日来お話ししている「ノスタルジック鉄道コレクション」のDB20のはなしです。

 当初予定していた3軸動力からワールド工芸テンダー動力というダークホースを得て「DD20」と化してしまった泥縄的な展開ですが、せめて元ネタの津軽DC20の雰囲気には近づけたいと思いました。

 台車枠から取り外したエアータンクは二つ一組で屋根に載せDC20っぽいアクセントにします。
 ただ、実車のDC20の写真などを見るとエアータンクがかなり控えめなサイズなので、リアル志向の方には進められません(適当な丸棒を切り出した方がよっぽどそれらしいと思います)
 私の場合は既に4軸の動力になった時点で雰囲気重視に切り替えてしまいましたが(大汗)

 ノス鉄の車体はボディと屋根板が別体なので屋根を取り外し、車体はライトグレー、屋根は黒に塗装。これだけでも結構雰囲気が出てくる物です。



 あとはカプラーを都合すればどうにか機関車としては使えそうです。

コロナ禍と「PULMのキハ200」のはなし

2021-09-16 05:16:05 | 車両・16番


 例年の今頃(というか昨年の今頃)なら故郷への帰省をやっている頃合いなのですが、今年は昨年とは比較にならない程のコロナ禍の進展ぶりで故郷も現住地も(ついでにその経路沿いの全ての都府県も)緊急事態宣言かそれに準じた状態となりました。

 結局今回の帰省は見送りとなりましたが、そうなったらなったで本来の帰省に充てるべきだったまる何日かを自宅蟄居状態で過ごす事となり無聊限りなしの状態と相成りました。

 そうなるとこういう機会でもないとできない事をやってみるのも悪くはありません。
 そう思い、開店直後で客のいない近場のショップを覗いたのですが。

 まさに運命なり。

 プラムの16番スケールモデル「小湊鉄道キハ200」のキットが置いてあるのを見つけました。
 現住地でプラムのキットが拾えると思っていなかったので、その点では少なからず意外でしたが「何日かの昼間の時間帯にまとまって手を動かす工作」には丁度打って付けと思えます。

 まあ、お値段は張りましたが帰省の時のガソリン代よりは安いか(笑)

 わたしにとっては16番のキットなんてトラムウェイの玉電デハ60以来ですが、パーツも多く相当に細密感のある構成なので、見るからにデハ60よりも作り出はありそうですねw

 キットは中期型。何しろほとんど衝動買いに近かったので動力ユニットや台車枠まで手が回りませんでした。
 なので今後走行化するかどうかは未定です。
 基本的に素組みで一部必要な塗装は「お天気と相談の上できる範囲で」というゆるゆるな制作方針で臨みます。




 最初の二日間くらいは昼間の時間を使い上回りの工作を中心に行いました。基本、塗装は最小限にするつもりでいましたが室内の釣り手ばかりはプラの地色というわけにいかず白の色挿しをせざるを得ませんでした(汗)

 車両中央部の6連の窓は差し替えで全閉、全開、半開の3種類から選んではめ込む事ができるのが芸が細かいですが、今回は片側は全て全閉とし、反対側は適当に半開と全開の窓を嵌め込んで、運行中の雰囲気を出す様にしました。

 三日目くらいからは床下機器の製作に取り掛かりましたが、こちらのパーツ構成が半端ない。

 素組みでもエンジンや変速機の類まで一々組み立てるので工程の割には時間が掛かりました。16番スケールゆえに床下のゴリゴリ感が凄い。
 コレが昔のGMの客車キットだったら「ウェイト兼用の一体型床下機器」をねじ止めして終わり」なのですが(笑)

 よく見たら組み立て説明書だって7ページ中4ページが床下機器と台車の工作に費やされていますから、手間が掛かるのは当然ではありました。

 足回りはダミーの台車を組み立てるか、パワートラック組み込みで自走できる様にするかのどちらかを選択できる様になっていますがその差し替えも楽そうなので、ダミーの台車も一応製作する事にし、パワートラックが入手できたら随時差し替える方向で考えることにします。



床下機器の設置には寝る前の時間を縫ってとはいえ、3日ほどつぶしました。
ここのパーツは細かいもののパーツの合いが良く、組み立て自体は楽です。

エンジン回りはパイピングから組み立てるものでNゲージとは異なるノリで工作を楽しめるのが嬉しい。
解説書も図版が多く親切な作りなので見ているだけでも楽しめ、工作が済んでからも取っておきたくなる出来だと思います。
(たまに笑える誤植=誤変換に当たるのはご愛嬌。あっ、人の事は言えないか汗)

こうして現段階では床下と車体の主要部分が形になってきました。

このキットは床板のコンバートでディスプレイ用と自走用のパワトラを使い分ける構造になっていますが、交換自体は仮止めレベルでコンバートできそうです。
なのでディスプレイ用のダミーの台車の工作にもかかる事にします。

小湊鉄道の台車は機器の汚損を防ぐために独特の泥除けがついているのが特徴でダミーの台車にもそれが付いているのは嬉しい配慮。
Nゲージではなかなかこうは行かないですし、16番スケール以上の大きさでないと楽しめない部分と言えます。

ですが、そこまで凝った台車パーツの構成になっているのならダミー台車だけでも実車準拠の13ミリゲージで出しても良かったのではないかな?とか思ってしまいます。

いわゆる「ガニ股論議」にこれ以上首を突っ込む気はありませんが、ガニ股が問題になるのは走らせる模型よりも飾る模型の場合の方が目立つし深刻な気がします。
(これが走らせる場合だったら実車ではあり得ない急カーブをどうかすると実車より高重心で走る13ミリよりは、パーツが豊富で素人でも安定した走りが実現しやすいHOゲージでも良いとは思うのですが)

せっかくコンバートが容易な構造ですから、ディスプレイ用に13ミリ仕様のダミーレールをつけても面白かったかもしれません。

まあ、台車を作る前に書くことではないですが(汗)




 先日書いたように天賞堂のパワートラックで自走化が可能な設計の当キットですが、ダミー台車用のベースとパワトラ用のベースが後から容易に交換可能なことが判明したのでダミー台車も安心して製作できます。

 このキットのふたつある台車、一見して同じDT22タイプのように見えたのですが動力伝達用と動力がない方では微妙に構造が異なる設計になっています。
 (前者はエンジンからのプロペラシャフトと繋がるデフ部分が台車内に表現されている)
 なるほど、台車の部分だけで説明書を2ページも使うはずです。

 と言いますか、今回キットを組むまでキハ200が片側台車駆動だと知りませんでした(大汗)
 なので、単純なキットメイクでも「同じ台車を二つ作る不毛感」は幾分薄められています(笑)

 例によって台車を構成するパーツはかなり細かく、もしこれが半田付けだけで作るキットだったら相当に時間がかかったであろうことは必定。このキットはパーツの合いがいい方なので嵌め込みだけでも十分仮組みができるのが有難いです。

 出来上がった台車は実車でも工場の定期整備の時でもなければ見ないような細密感。甲府モデルの車両整備工場なんかに置いてもいいアクセントになりそうです。

 ダミー用とパワートラック用で台車取り付けベースのパーツが異なる事は前述しましたが、各パーツは四方の爪で台枠にはめ込む仕様。
 これを4つとも嵌め込むとかなり丈夫にはなりますが、今回は将来の自走化に備える事もあってエンジン側の爪を一つ残して残りの3つをカットしてしまいました。
 これでも形態は保てますし、後からパワトラを入れるときの交換は容易になります。

猫屋線の短小無蓋車3両セット

2021-09-15 05:14:07 | 車両・16番

これまた久しぶりになる鉄コレ猫屋線のアイテムから。
 「短小無蓋車 3両セット」


 これまでのこのシリーズでは貨車や客車は機関車や気動車に付属した編成ものばかりで貨車単品のアイテムは珍しいと思います。

 一応他のアイテムでも無蓋車は設定されていますがDB機関車の編成に付いていた無蓋車よりも幅が狭く小ぶりなので混成するとちぐはぐに見えてしまいました。

 とはいえ、いかにもナローらしい短い車体にショートホイールベースの無蓋車は一言で言って「可愛らしい」と言う言葉がぴったりです。
3両と言う数は軽便貨物の編成としても適当でDB機関車なんかにはよく似合う車両です。


 ただ、このモデルで往生したのはカプラーの取り付け。
 アーノルドタイプをナロー用の左右に首を振るカプラーポケットのアダプターにはめ込むと言うプロセスが必要ですが、作業の過程で「車体がバラバラになりやすい」のです。
 まあ、床板と四方の側板で構成されている無蓋車なのでばらけても組み直しは容易でしたが(笑)


 また、車両に付属している積荷用の砂利をモールドしたウェイト兼用パーツは荷台の寸法よりも小さいためせっかくの積荷も間抜けに見えてしまうのも難点でした。

葛飾区亀有公園前派出所を作る その1

2021-09-14 05:08:07 | ストラクチャー
先日紹介した、今はなき「こばる」さんの「葛飾区亀有公園前派出所」のNゲージスケールキットのはなしの続きです。

このキット、完成写真を見ていただくとお分かりの通り「単なる箱型の建物」に過ぎません。形態上はジオタウンやジオコレなどの交番に比べても特徴がありませんし、GMの保線詰所のストラクチャーでも代用できそうなくらい地味なものです。

(まあ、派出所の建物なんて余程のマニアでもなければ形状の差なんてそうわかる物でもないでしょうしね。それにしても「交番の建物が複数のメーカーから選べる」事自体、考えてみれば凄いはなしです)

ですから、最初は塗装は別にしても30分くらいで完成できると思っていました。

ところがこのキットはそんな安直なレベルの代物ではありませんでした。

外見こそただの箱ですが室内の間取りは(アニメの設定準拠とはいえ)実に複雑。控室の6畳間の和室はもとより台所やトイレ、押入れまでもがきちんと仕切られています。
しかもそれだけに留まらず窓枠やドアの殆どがクリアパーツなので桟や扉の色差しが必須。

とどめに「派出所に必要な家具類が一通り揃っている」のに驚かされました。
「家具」と一言で言いましたが事務机と椅子なんてレベルでなく「ガラス戸のついた戸棚」や「冷蔵庫」に「流し」「ガスコンロ」なんて代物まで別パーツ化されているのです。

天井パーツにはこれまた後付け別パーツの「蛍光灯」や「ペンダント」まであったりするのです。

Nゲージスケールの日本型建造物で内部がここまで凝りに凝った建物というのはそうそうありません。

実はこの凝りっぷりが制作途中から私を悩ませることになります。
それについては次の機会に。

夏の夜にふたつのNEXを走らせる・・・

2021-09-12 05:05:44 | 旅行・探訪・イベントなど

 昨日紹介した「JRの特急列車Ⅰ」の表紙を眺めていたら急に253系を走らせたくなって(笑)真夜中というのにレイアウトに引っ張り出しました。

 お盆からこっち熱帯夜はなくなったものの梅雨時並みの蒸し暑い夜が続いていますが、そんな時のひとり運転会もそれなりに華やいだ気分に離れるものです。

 さて、253系を出したらこちらもという事でE259系も繰り出しました。

 このふたつ、どちらも中古モデルをサルベージしたものですが発売時期が20年近く開いているものの、どちらも時代を反映した意欲的なモデルだったと思います。
 今回のモデルは両方ともKATOの製品ですが、253系のTOMIX仕様の方はいわゆるHG化のはしりとしてTNカプラーの採用や専用パンタの新製などで人気だったモデルでした。

 ほぼ同時期のリリースだったKATOの方は割合コンベンショナルなモデルでTOMIXほどの個性には欠けましたが、安定感のある造形と走行性はこれはこれで安心できるモデルという印象です。
 モデルは室内灯を標準装備していましたし、先頭車同士の連結がなかなかいい雰囲気だったので一時期レイアウト上でもよく走らせていた個体です。ただ、流石に足のくたびれ加減も半端なくなっていますがそろそろ再整備のタイミングでしょうか(汗)

 その20年後にやはり2大メーカーの競作となったE259系ですが、今度はKATOがヌメヌメした質感の塗装(これは誉め言葉です)と連結面のダンパーまで表現した気合いの入った造形で逆にコンベンショナルなTOMIXに差をつけました。
 こちらは最近のモデルらしく滑らかな走りで時代(とコンディション)の差を見せつけられます。

 とはいえ、遠目で見るとカラーリングが華やかなので多少の細密感の差は感じないのも確かですが。

 NEXが新宿まで乗り入れ始めた時期、帰省の折なんかにホーム上でこれらの電車が並んでいるのを見ると中央線のE351や湘南新宿ラインのスペーシアなんかと併せて物凄く華やかな並びに見えたものです。

 このコロナ禍でターミナル駅に繰り出すこと自体ご無沙汰していますが、今はレイアウト上で再現して楽しむのが無難かもしれませんね。
 
 こんな事を書いていたらなんだかE351とスペーシアを走らせたくなってきた気が(笑)

カラーブックスの「JRの特急列車Ⅰ 北海道 東日本」

2021-09-11 05:03:11 | 書籍
 カラーブックスネタから。
 先日の「JRの特急列車Ⅲ」に続いて「JRの特急列車Ⅰ 北海道 東日本」(諸河久 松本典久共著)も手に入りました。偶然ってある物です。

 本書もⅢと同様平成3年現在のJR北海道 及びJR東日本の特急列車を俯瞰した内容です。

 平成3年という年代、最初はピンと来なかったのですがふと、本書の中に「ある車両」が載っていない事に気付き「ああ、そうか」と膝を打ちました。

 「ある車両」とは、中央本線のスター特急のひとつだった「スーパーあずさ」のE351系の事です。
 E351系の先行量産車が登場したのは本書の2年後の平成5年。
 ですから載っていないのは当然なのですが、そのE351系が引退したのは平成30年でした。

 本書が出た当時まだ登場していなかった車両が、本書をわたしが手に取った時は引退していたという事実を知った時27年という時間の長さを感じさせられました。
 平成3年なんてわたしの感覚からすれば「ついこの間」の様なつもりでいたのですが、令和も3年になってみると確かに「ムカシ」ではあります。

 表紙の253系もいまや長電の湯けむり号やっているくらいですしね。

 このほか、251系「スーパービュー踊り子」185系の「なすの」などついこの間までお目にかかっていた列車も掲載されていますが本書に取り上げられた車両の殆どは今では見られなくなった事に改めて気付かされました。

 平成と言っても30年続いたわけですから(汗)