光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

鉄道ミステリとNゲージ・20「子供のいる駅」と跨線橋

2017-02-27 05:59:37 | 小説
 久しぶりの「鉄道ミステリとNゲージを語る」ネタ。前回からかなり間が空きました。

 今回は「急行出雲」所収の黒井千次作「子供のいる駅」
 ミステリとは言ってもこの作品は推理ではなくメルヘンというかSF(それも「すこし、ふしぎ」系)チックな一篇です。
(実際、初出が「大人のメルヘン」の一篇だったそうですし)

 ストーリーは、初めての電車のひとり旅に出掛けた少年が味わう普段と違う非日常感を描くと見せて、後半に(子供にとっての)恐怖体験(それが何かはここでは書きません)というサスペンスに移行、
 クライマックスに意外性のあるオチが用意されているという構成ですが、これだけの変転が文庫本ではたったの8ページに凝縮されているところに作者の手腕が感じられます。

 実は本作の初読の時、私はまだ小学生でしたから読んでいてとても身につまされた思い出があります(爆笑)

 私もそうでしたが、初めての電車のひとり旅というのはそれがどんなに短距離でも本人にとっては非日常な体験な訳で、前半で主人公の感じるワクワク感というのは汚れた大人にとって余りに切ない思い出と重なります(笑)
 そして後半のサスペンスは初めての一人旅では誰もが必ず感じる不安の現実化(大人にとってはインシデントでも同じ事が子供にとっては世界の終りみたいな切迫感を感じさせる)も誰しも思い出がある事と思います。尤も、今どきの子供がこの小説のような状況に置かれた時、これほど切迫感を感じるか少し疑わしい気もするのですが(それ位当時と今とでは子供の気質が変わっている気もします)

 そんな訳で、いい歳になってからそんな目で本作を再読すると「大人のメルヘン」の意味も少しわかって来るような気もします。

 本編解説はこれ位にしてこれがどこで「Nゲージ」と繋がるかと言いますとこの作品では跨線橋が大きな役割を果たしているからです。
(ネタバレになるのでこれ以上は書けません。ぜひ本編をご一読を)

 Nゲージの世界では跨線橋はかなり早い段階から商品化されていたモデルで78年当時でもGMのキットとTOMIXの完成品から選べました。
 特にGMなんかは駅舎もローカルホームも出ない先から跨線橋を出していたくらいで後に車上駅の駅ビルが製品化された折には跨線橋が丸ごと付属していたりもしました。
 私の場合、車上駅は切り継ぎなんかで大きなビルに改造したりしているので結果「跨線橋のキットばかりが余る」という笑えない状況でした。

 後にはユニトラックの登場に併せてKATOも追随しており現在でもこの3社のなかから好みの跨線橋が選択できます。TOMIXのそれもいつの間にか40年近いロングセラーです。

 ですが今回紹介するのは初の完成品だったTOMIXのそれです。

 この作品のイメージではGMやKATOのそれよりもTOMIXの方が作品の描写に近いと思いますので。
 こちらは流石に駅舎と対向式ホームの後からリリースされています(笑)が、跨線橋が付くだけで駅がなんだか華やかになった様な錯覚を覚えさせる点で魔法の様なアイテムでした。
 しかも、既に駅セットを持っているユーザーでも手軽にバージョンアップできたわけですから跨線橋恐るべし。この辺の展開のうまさは流石プラレールで鳴らした(いい意味での)玩具屋さんらしい所だと思います。


 なお、跨線橋が出てくる作品というのは実は他にもあり双葉社の鉄道ミステリ傑作選(これも鮎川哲也監修)の中に泡坂妻男の「階段」というのが収録されています。
 こちらはこちらで「読了の瞬間に一瞬、ぞっとする」独特な展開が印象に残る佳品です。

 また、実録系の怪談話でも「うつむき加減の男の数歩後からついていくと、跨線橋の角を曲がった途端、その男が消えている」という幽霊話があったりします。

 してみると跨線橋というのはミステリの世界では異空間か何かの様に認識されているのでしょうか。

マイクロのEF59(1号機)

2017-02-26 05:57:32 | 車両・電気機関車
 昨年暮れに入線させていたNゲージロコから。

 物はマイクロのEF59 1号機です。
 EF59は以前にも同じマイクロ製品を入線させていますが、わざわざ2両目に手を出したのは
 「プロトタイプが違うから」というのに尽きます。

 瀬野八の後押し専門機関車であるEF59は形式名こそ同じなものの、種車がEF56とEF53の二種類があり外見上は「同じ形式名なのが信じられない」という特徴があります(笑)
 つまり前に入線させていたのがEF56ベースだったのに対して今回のはEF53が基になっています。

 しかも、この1号機は末期にはPS22パンタを搭載するという異色ぶり。
 PS22という下枠交差形パンタと言われて連想されるのはほぼ例外なく新型電機、昭和ひとケタ生まれのEF53にこれが載っている姿というのは違和感というか一種の異形感すら感じます。
 気のせいか避雷器も妙に近代的に見えますし。

 同じ瀬野八対応の改造をされたC52と同じ様な異形の匂いを感じさせるのが今回の1号機と思います。
 見るからに年季を重ねた古兵という感じで個人的には好きです。
 そして前面には見事なゼブラ模様。
 如何にも機能を特化した専用機と言った趣です。

 走行性はまあ、いつものマイクロの機関車という所です。
 今気が付いたのですが、完成品のラインナップを見る限り瀬野八補機のNゲージモデルはほぼマイクロの独壇場ですね。
 これまで私が入線させたのもすべてマイクロでしたがこの種のロコのモデル化が体質的に似あうメーカーだと思います。

 それにしても瀬野八といい碓氷峠といい、用途を特化した機関車というのはどれをとっても個性の塊ですね。
 大抵の機関車が汎用性重視でマニア以外には見分けがつかないのと異なりこれらの機関車はどれをとってもすぐ分かる。
 例えは何ですがパトカーや救急車に近い魅力があります。

フルスクラッチのラーメン屋さん

2017-02-25 05:54:46 | ストラクチャー
 先日静岡に出かけた折にコメントなどで教えて頂いた地元の模型店を覗く機会を得ました。

 店内は新製品は勿論ですが、懐かしのモデルが展示品・あるいは委託販売品として並んでいてさしずめN&16番の博物館の様相でした。
 店そのものの広さは地方の店としては標準的なものですが、品揃えのセンスが私のツボにハマるものだったので、ほっといたら何時間でもモデルを眺めて居そうな感じです。

 とはいえこの辺の駐車場は30分350円ですのでそんな呑気な事を言ってられません。

 今回紹介するのはそこで購入した委託品から。

 フルスクラッチの「ラーメン屋さん」です。
 ここのラーメンは店の前を通るばかりで私自身は入った事はないのですが、店舗のセンスが21世紀的なので店頭でこれを見た時に飛びついてしまいました。
 店の前にはご丁寧に行列まで付いていますが、最後尾の人は私がモデルを持って帰宅中に卒倒された物です(爆)

 プラシートとテクスチャペーパー素材のモデルの様ですが、鉄道模型と(建築家がつくる様な)建築模型の中間的な表現で、レイアウト上に配置しても違和感はごく少ないです。
 が、これが街並みに入った途端にそれまで昭和50年代初頭という雰囲気だったのがいきなり「21世紀の街並みに変わって見えたのには驚きました。

 時計台ラーメンもモジャハウスの喫茶店も前のままなのに(笑)

 この手のチェーン店のモデル化はその配列と種類を吟味するだけでレイアウトの時代設定をかなり絞り込ませる効果がありそうです。
 (セブンイレブンですら看板の意匠を変えていますし、80年代初めまで非常によく見掛けた「小銭ずし」は今はどうなりましたか)
 あと何十年か先には「サークルK」があるから2010年代のレイアウトだとか言われるのでしょうか。

 このラーメン屋を見ていてふとそんな事を考えました。

駅でテツドウモケイを買うはなし

2017-02-23 05:51:36 | 思いつくままに・考察


 今回は「テツドウモケイの買い物」のはなしです。
 ちなみにこれを書いている今の私は少し酒が入っているので内容がやや支離滅裂になっているのはご勘弁ください。

 前に「デパートでテツドウモケイが買えた時代」の事を書きましたが、模型好きな人が模型を買う場合一番ぴったりくるのは当然模型屋さんだと思います。
 デパートがホビーショップとしての機能も司っていた頃はデパート(のおもちゃ売り場ではなくホビーコーナーの一角に、という意味で)も同様のステイタスがあったと思います。

 尤も私なんかは骨董品やジャンクものレベルの模型を買う事がとみに増えているので「中古ショップ」がメインになるというおかしな現象になっていますが。

 ですが「鉄道ファンが鉄道模型を買う」場合尤もそれにふさわしい気分になる場所というと、それはやっぱり「駅」ではないかと思います。
 まあ、少し拡大解釈して「駅ビルか駅舎と一体化したデパート」なんかも良いでしょう。

 こんな事を考えたのは先日静岡に出かけた折そこの駅ビルの中に「ポ●ンデッタ」で中古モデルを買ったからなのですが。
 あそこで中古モデルを手に取って駅のコンコースに下りた時「ああ、鉄道模型は駅で買うのが正しいな」なんてことをふと思ったのです。

 さて、駅舎や駅ビルの中で鉄道模型を買うというと例えば秋葉原のトレ●アートとか新宿の小田急トレインショップ、あるいは(ここ20年位行っていませんが)池袋のし●なるはうすなんかがすぐに浮かびます。
 実を言いますと盛岡の駅ビル(東北新幹線開業前年にオープン)でも最初の半年くらいの時期、鉄道模型を含めたホビーショップがあった時期があるのですが、さすがに続きませんでした。
 尤も今の秋葉原なんかは駅前に鉄道模型が買える店が何軒もあったりするのですが(但しいずれもビルの上層階なので手軽さの点では疑問符が付きますが)

 これらの中で個人的に印象的なのは「缶ビールとスポーツ新聞でも買うような(見た目の)手軽さで鉄道模型を売っている」様な構えの小田急のショップでしょうか。初めてあそこで鉄コレの動力を買った時の心理的衝撃といったら(笑)

 大手私鉄の場合、鉄道模型も一種のノベルティですから自社車輛を中心に模型を売るスペースがあってもそう不自然ではありません。

 中小私鉄でも私の経験で例えば、富士急行の富士山駅に富士登山電車の鉄コレを買いに行った折「切符売り場で模型が買える」なんて経験をして仰天すると同時に「ああ、こういうの、いいなあ」とか思ったりします。
 昔の鉄コレみたいに1両500円かそこいらで売られているレベルなら「旅先の駅でそこのゆかりの車輛をちょっと」なんて事も出来たでしょうが、今は何でも高騰していますから中古の、それもジャンク品でもないとそういう真似はできません。

 閑話休題。

 駅という施設が旅人にとって旅情を象徴するものである様に、鉄道模型だってそこから連想されるものはやはり「旅情」ではないかと思います。
 旅情を感じる施設で旅情の象徴である鉄道模型が買えたら、それはそれで素敵な事ではないかという気がします。

 もっと言うなら車両だけでなく、例えば情景モデルとしてのレイアウト用品や一部の専門書でもあったりすると帰りの列車の中がそれなりに楽しい気もしますし、前にも触れた鉄道模型ファンの新しい層の掘り起こしにも少しは繋がるのではないかと。
 まあ、鉄道模型という趣味自体がまだ特殊な部類ですし上記の例と照らし合わせるとびっくりするほどの効果はないとも思いますが、それでも複数の路線が集まるターミナル性のある駅にそう言うのがひとつくらいあっても良い気はします。

 それに、駅から離れた「クルマでしか行けそうにない様な所にあるショッピングセンター」とか商店街の中の模型屋にばかり鉄道模型が置かれているというのは、よく考えてみると少し変な気もしますし(但し「鉄道」を離れて「模型」と割り切るならこれは当然のことなのですが)
 
 余談ついでに
 これまで私が鉄道模型を売っている場所として一番違和感を感じたのは20年近く前に出くわした「高速道路のサービスエリアの売店でマイクロエースの車輛セットが売られている」ところでした。
 鉄道と競合する交通機関の施設でこういうのを見ると結構びっくりします。

「きかんしゃやえもん・D51の大冒険」

2017-02-22 05:49:26 | 映画・テレビ

 今回は久しぶりの映画ネタ。
 しかもアニメです(爆)

 昨年暮れにCSで掛かった東映まんが祭りのメインピクチャーだった「きかんしゃやえもん・D51の大冒険」(昭和49年・東映)

 あの頃の思い出から書きますと、昭和40年代当時は任侠映画か実録やくざ映画ばかりやっているという印象だった東映の映画館が春夏冬の休みシーズンだけは突然変異の様に「お行儀のいい長編名作アニメ」をメインとしたまんが祭りをやっていたものです。
 併映は決まって「仮面ライダー」「マジンガーZ」などの特撮・ロボットアニメか「ひみつのアッコちゃん」系の魔法少女ものが並び男の子も女の子も(ついでにその親たちも)一気に取り込もうというある意味「地引網的なプログラム」でもありました。

 (ちなみに当時の私はばりばりの「東宝チャンピオン祭り」派でしたが)

 上述の通りまんが祭りのメインプログラムは「長靴をはいた猫」とか「にんぎょ姫」とか「龍の子太郎」なんかの名作ものだったのですが、そんな中で突然変異的に公開されたのが本作でした。
 まあ「きかんしゃやえもん」もある意味名作のひとつと言えなくもないですが、ここはやはり当時大ブームだった「SL」「D51」にあやかったものでしょう。

 東映自体、他社に比べて鉄道映画に強いところでしたし。

 さて、本作はきかんしゃやえもんのストーリーそのものには忠実ですが脚色度が非常に高く、これを観てから原作を読むと絶句すること請け合いです。

 やえもんに住み着いている「ねずみの一家が石炭をくべたり」「主人公の子どもがやえもんやネズミと普通に会話をしたり」「EF58や0系新幹線はもとより踏切のトラックまでもが人語をしゃべる世界」
 そうしたキャラクターの描写や描き分けもなにかステレオ的で物足りない印象が残ります。

 何しろクライマックスが「駅を襲ってDD51をジャックしたギャングを追ってやえもんことD51(因みに声は熊倉一雄)が山岳線を激走する」なんてなものですから原作の持つ独特の長閑さは無きが如し。

 もともと「やえもん」のモデルは鉄道博物館に展示されている150だったと聞いていますが、それがいつの間にかD51に差し替えられ、デザインも意外にD51に忠実な(あ、でも顔や手はないか)ものになっていますから雰囲気が変わってしまうのも無理はありません。

 とまあ、アニメパートを見る限りは鉄道ファンが見ても手汗をかきながら顔から火が出そうなほどの代物だったりします。
 しかし本作は実は「実写とアニメのコラボ作品」である点が最大の特徴です。
 しかもその実写パートが意外に豊富。

 アニメパートの合間に挿入されるD51の実写の走行風景はまさに「鉄道映画の東映」の面目躍如です。
 シネスコの横長画面と列車の走行風景は実に相性がよく、長編成を牽引するD51の実景場面には殆どハズレがありません。

 あらゆるシチュエーション、あらゆる季節の中を貨物や客車を牽きながら悠々と走行するD51の画には全く酔っぱらえます。
 
 ある意味「列車走行風景の撮り方のお手本」みたいな構図が続出しており鉄道ファンにとってはここが見どころでしょう。
 これを参考にしてレイアウトの走行風景を撮ったりしても案外良いかもしれません。

 映画の性格上主役はD51ですが、よく見ると一般型とナメクジがちゃんぽんしているのはご愛嬌。
 クライマックス近くでに引かれてゆくやえもんのシーンでは「DD51に牽かれるD51の廃車回送」がちゃんと用意されています。

 まさか1号機関車でこれだけバンバン実写パートは作れないでしょうから、この為に主人公がD51に設定されていたのではないかと思います。

 そこに注目すれば意外と鉄道ファンにお勧めできる作品かもしれません。

 因みに同時上映は「仮面ライダーX」 「飛び出す立体映画・イナズマン」「キューティハニー」「マジンガーZ対Drヘル」「ミラクル少女リミットちゃん」だったりしますが(爆)

偉大なる凡庸のそれから・EF58編

2017-02-21 21:45:59 | 車両・電気機関車
 5年くらい前に書いた「偉大なる凡庸」たちの5年後の現状のはなし。


 2回目はEF58をば。

 前にこのブログでEF58を取り上げた時はKATO製の58がメインでKATO4TOMIX1エンドウ2の計7両でしたが、それから更に3両増備されています。

 それがエンドウが2両、更に16番で香港トミーが1両という、とても21世紀の増備体制とは思えない増え方なのには我ながら笑ってしまいますが。

 エンドウのEF58はNの58としては最初のモデルですが、唯一のブラス製量産モデルでもあります。当時はC-C配置動輪の電機のモデルがそれまで無かった事もあってバキュームマーケット的な売れ方でその後のエンドウのブランド確立に一役買ったモデルでもありました。
 ですが直後のEF58ブームの到来とそれに合わせたかのようなKATO、TOMIXの怒涛のリリース攻勢の中で急速に影が薄くなり中古モデルの出物もそれに比例して増えています。

 これまで入手したエンドウの58は何れも中古ショップの出物でどれもジャンク扱い。
 今のユーザーの目からすればあまりにも大雑把な造形ゆえに見向きもされないというのが現状らしいです。
 KATO辺りの半額くらいの相場で入手した物ですが、これまで持っていなかった茶色、ブルトレ塗装なので無駄は感じませんでした。実際同じエンドウの24系辺りと組み合わせるとなかなか良い味を出します。
 まるで重戦車を思わせるノイズに乗った豪快さんな走行性も味の内…でしょうがエンドウの動力は押し並べて信頼性の高い物が多い(多少ギアが割れていても力技で押し切る様な所があります)ので40年前のモデルでも割合安心して使えるロコです。

 そういえば二年ほど前に銀座の某中古屋さんにこの58のボディだけが安価に売られていた事があり、うちのラインアップの中でもくたびれていたロコとボディコンバートして「カッコだけ新品同様」と言うコンディションに持って行った事もありましたっけ。

 もうひとつの16番の58はTOMIX登場直後にトミーHOスケールとしてリリースされた香港製。
 まるで当時のNゲージプラ量産モデルをそのまま巨大化させたかのような悪い意味でトイライクな造形で当時のユーザーに違和感を与えてしまいぱっとしなかったモデルでした。

 私の場合16番でもバンバン走らせる事が本領と思っているのでこういうモデルは結構喜んで飛びついたりします。プラの質感が当時としても安っぽいのが惜しいですが、走らせるのにこれほど気楽に扱える16番の日本型はなかったのでその意味でも貴重な存在ではあります。

 こうして俯瞰してみて思うのですが、実はこれまで入手しているNの58はひとつ残らず前面が小窓仕様の物ばかり。
 そろそろ大窓仕様が1両くらい来ても良いのかもしれませんね。

 こうして見ると、EF58に関しては曲者ばかりが増えている印象ですね(汗)
 そういえばKATOやTOMIXも最近は58の新製品の話を聞かない気がするのですが、そろそろこちらもリニューアルしてもよさそうなタイミングの気もします。

TOMIXの313系ジャンク品のはなし

2017-02-19 23:07:27 | 車輌・電車
 今月の入線車その2です。

 こちらはジャンクに近い中古と言ったところでしょうか。

 TOMIXの313系5000番台の3連。
 安価な理由は外箱なし、動力車のパンタ欠落という所でしょうか。いずれにせよ手当は可能と判断しての入線です。

 JR東海の顔のひとつとなっている感のある313系ですが実物は見たり乗ったりしているくせにこれまでKATOの1300番台2連しか持っていませんでした。
 この辺り「自分がよく利用する車両ほど模型を買わない」という天邪鬼な性質が反映しています。
 尤も、313系は中古モデルの出物も意外と少なくその意味でこれまで余り目に触れにくかったというのもあると思います。

 今回はメーカーの異なるTOMIX製という事もあって入線させた次第です。

 造形面では「よく見る電車」だけに実車の印象がどれだけ再現できているかが肝になるのですが流石に最近のKATOやTOMIXでそうそう粗が見える事もありません。
 313系自体はJR東の701系の「モダンだけどあっさりしすぎ」なのに対して独特の朴訥としたフェイス(115系や211系のノリでモデルチェンジした様な)が妙に親しみやすいデザインで個人的には好みなタイプですが、今回のモデルについても不満は感じません。

 それは走行性にしても同様で最近のモデルに比べるとややスムーズさに欠ける物のレイアウトで走らせる分には十分。
 第一、ミニSLレイアウトの棚幡線の140Rのカーブを悠々クリアしてくれるのは流石TOMIXです。

 こうしてレイアウト上に313系が居るところを見るとまるでもう何年も前からこの編成がそこにあった様な錯覚を感じます。
 これこそが「偉大なる凡庸の人徳」みたいなものでしょうか(笑)









フライッシュマンの小さなレールクリーニングカー

2017-02-18 05:30:12 | 車両・電気機関車
 先日の入線車から。

 ローカル線レイアウトの葉純線、ミニSLレイアウトの棚幡線とファイントラックのミニカーブを多用したレイアウトをこれまでいくつか作ったり使ったりしていますが、運用していて問題になる事がレールのクリーニングです。
 綿棒やクリーニング棒などで拭くのが一番効果的ですが週何回かの運転に供するとなるともっと手軽なクリーニング手段が欲しくなります。

 かといってTOMIXのクリーニングカーはミニカーブに対応不可能ですし、もっと小型のクリーニングカーを買ったり試作したりしてもどれもが一長一短。
 今回のもそうした試行錯誤の一過程と思ってください。


 先日上京の折に見つけた中古車もそのひとつです。
 フライッシュマンが以前紹介したアブト式電気機関車の姉妹品でリリースしていたクリーニングカー。
 このモデル、1977年版の工作ガイドブックにも掲載されていましたから少なくともそれ以前から出回っていたモデルと思います。
 という事はそろそろ40年選手という所でしょうか。

 サイズ的には河合のCタイプディーゼル機関車に毛の生えた程度で140Rのミニカーブもクリア可能です。
 レール清拭は前後2軸の間にパンチ穴程度の大きさの丸い紙やすりが一対になった構造。
 それぞれにサスペンションの様なバネが入ってレールに追従するタイプの様です。


 TOMIXのクリーニングカーのブラシをそっくり縮小した様な構造と言うとお分かり頂けるでしょうか。

 このモデルの利点は小型である事と自走が可能な事。
 姉妹車のアブト式機関車譲りで車体はずっしりと重く、しかもかなり古いモデルであるにも拘らず結構じりじりとしたスロー走行が可能です。
 (ノイズは盛大ですがw)
 標準で付いていた紙やすりのブラシはつるつるに近いレベル(あと一回分の予備がありました)ですから前ユーザーのもとでは一定期間クリーニング車として活動していたのは確かです。


 棚幡線で試走させた範囲では140Rポイント込みの線路はどうにか追従可能。但しポイント部でたまに割り込みを起こします。
 車重が重いので覚悟はしていましたが、ポイントでの使用は原則定位方向の方が無難でしょう。
 ただ、前述の様にスローがよく効くのでクリーニングカーの走りとしては合格点です。
 後はクリーニングの効果ですが、これについてはブラシを交換後に改めて確認する積りです。

偉大なる凡庸のそれから・EF65編

2017-02-17 05:26:49 | 車両・電気機関車
 数年前から断続的にこのブログで書いてきている「偉大なる凡庸の系譜」シリーズ。
 第一回でED75を取り上げてからもう5年近くになります。

 ですが、それから5年ほどの間に構成にそれなりに変化を見せた機種もいくつかあったりして来ましたし、読み返してみると初期の頃には書き足りなかったポイントもあった事に気づかされました。
 今回はそうした変化のあった機種の補追もかねて「それから5年」を振り返ってみたいと思います。

 第一回はEF65から

 私の手持ちではEF65は特に500番台のラインナップは殆どKATO製品の独壇場です。
 もうすでに10両近くになりますか。5年前からくらべても2,3両増えている筈です。
 ただ、その増え方の特異な点として「選ばなくても勝手に増えてゆく」と言う他の機種にない特徴があります。

 これがどういう事かと言うと「箱入りのジャンク品をまとめて入手したりするとその中に必ずKATOのEF65が居る」という事だったりします。この種の玉手箱(と勝手に呼んでいる)は大概の場合年季の入ったユーザーさんが何らかの事情で纏めて手放すパターンが多いと思われるのですが、そう言うユーザーにとってもっともポピュラーに入手しやすい機種、使い勝手の良い機種がEF65だったという事が言えるのではないでしょうか。

 してみると「偉大なる凡庸」と言うのは一人私だけの話でなく、ある世代以上ののNゲージャーにとっても同じことが言えるのではないかと思います。お蔭で「アゴワレの500番台ばかりが無闇に多い」という事にもなってしまいましたが。中にはごく初期のモデルである、EF70のスカートを履いたモデルもあったりします。

 そうやって増えたEF65ですがそのうちの2両は3年ほど前に腕試しの意味も込めて0番台にリペイント・ディテール追加などを試したりしましたし、持っていなかった仕様違いはそのままラインアップに加えたりもしています。

 一方でEF58やED75はその後16番のモデルも増備されているのですが、EF65については1000番台のアリイのプラモデルが1両居るのみで、運転に供する事の出来る機種はありません。

あの頃の「電車工作集」

2017-02-16 05:25:02 | 書籍
 昨年暮れの静岡行きで入手した一冊です。

 「TMS特集シリーズ・電車工作集」
 このシリーズは例えば秋葉原の専門店なんかだと大概2,3千円位はするのが普通ですが今回のショップでは本自体がボロボロだった事もあって500円位で入手できました。
 まあ、見ての通り本当にボロボロなので内容が楽しめなかったらこの値段でも高いと感じるかもしれないですが。

 本書は昭和30年代のTMSに掲載された電車モデルの記事をまとめたものです。
 当然今のモデルのレベルとは大きく異なりますし、本書で取り上げられている技法が今のレベルに通用するという訳でもないのですが。

 TMSのこのシリーズは安価な出物があれば押さえる様にしている物です。
 というのも記事の技法が古臭くとも、この頃の記事に共通している作者たちの「作るのが楽しくて仕方ない」様な雰囲気が活字を通して透けて見える気がするからです。

 時代を反映してか、素材はブラスありペーパーありと様々ですがプラスチックは流石に少ないですね。

 本書の出た頃は一般レベルでは80系湘南電車や151系「こだま型」なんかが人気車だった反面、車両工作に使われる様なパーツの類が少なく、例えば、151系のユニットクーラーなんかも木でスクラッチしていたようです。
 (度々紹介している機関士の親類が16番で151系を作ったのは昭和40年代半ばでしたがやはりユニットクーラーも木製でした。その頃には屋根上、床下パーツなんかはそこそこ出ていたと思いますが製作に使ったテキストが昭和38年の奴でしたからそれに準じる形でスクラッチしたものと思います)

 とはいえ、本書に出て来る電車モデルは大半が昔の私鉄モデル。
 阪和電鉄モヨ100とか阪急810系なんかの渋い選択のモデルも多かったですから、その製作記はワタシ的に興味と刺激を与えてくれます。
 特に製作の具体的な技法では結構図版が多く、製作のイメージがつかみやすいのも今どきの専門誌にない人徳です。
 これを読んでいるだけでも十分おなかいっぱいです。

 本書の技法をそのまま今の工作に当てはめるのは難しいですが、大概の記事に側面図や前面図がついてきているのでこれを参考にNか16番サイズで何か作ってみたい気になって来ます。

ふと思うことから

2017-02-15 05:19:23 | 思いつくままに・考察
 先日、久しぶりに興味のある問題提起のブログを拝見しました。

『通常の鉄道模型同好会に「若い人」がいない』という奴でコメントやらツイッタ―やらでいろいろ意見やコメントが出されているようです。


ただ、そこでの本題は主に車両工作派の視点からのものなのですが、今回は運転派、レイアウト派に近い視点から少し思う所を書いてみたいと思います。


 若年層が入ってこないというのは鉄道模型に限らず例えば、オーディオやスポーツカー、オートバイなど他のジャンルの趣味でもおおむね共通の傾向のように思います。
 その原因としてマニアに阿り過ぎた結果、一見さんが入りにくくなったとか、対象が高価すぎて手が出せなくなったとかいろいろな理由があると思います。

 ただ、鉄道模型の場合、その趣味に魅力を感じるか否かという以前に「そもそもその趣味の楽しさに触れる機会がない」という面もあるのではないかと思えます。
 グランシップとかJAMとかのイベントがある様な都会ならいざ知らず、どこにショップがあるのかすらわからない様な田舎とか地方ではそれは顕著な傾向ではないかと思います。

 上述のメジャーなイベントですら開催は年に一回か二回。それ以外は秋葉原とか新宿辺りの魔窟じみたショップにでも行かないと鉄道模型を見たり感じたりしにくい面もあります。
 しかもそういう所はかなりの確率でマニアの巣窟。素人がいきなり入るには結構な度胸を要する場所と言えます。

 (鉄道模型でないのですが秋葉原の某パーツショップに入った時に私が感じた印象にかなり近いのではないかと。マニアの巣窟というのはたとえ何もなくても素人に恐怖感を与える場所といえます)


 私が所属しているクラブはある程度模型の扱いがわかっている事を条件に入会を認める形式を取っているのですが、それでも下は小学生(原則親同伴に近い扱いで)から上は60代くらいまでとこの種のクラブとしては割合年齢層の広がりがある方です。

 それだけの広がりが得られている理由のひとつが年に何回か行われている公開の場での運転会にあると思います。

 これまでの運転会のブログを読まれた方には前の繰り返しになってしまうのですが、ショッピングセンターや駅のコンコースなどの運転会の目的のひとつに「鉄道模型に触れた事のない層へのアピール」というのが確かにあると思います。
 実際、同じ会場で何度も運転会をやっている場ですら毎回「初めてこういうのを見た」と言って下さるギャラリーの方々が必ず見ています。

 中にはこれをきっかけに鉄道模型に興味を持ち、メンバーの説明を受けたりパンフレットを持ち帰る方も結構います。
 (私の見た範囲では女性や年配の方々が意外に多い)

 そしてそうした方々の中から折を見てクラブに入会してくる方も居られます。
 実を言いますと私もそういう中の一人です。

 最近はこれも中学生前後の結構若年層の入会者もそれなりにいたりしますが、クラブの活動に参加する事で設営のテクニックとか運転時のトラブルへの対処とか、あるいは目上の人や一般のギャラリーへの態度とかを腰だめで身につけてゆくわけです。
 そういう意味では若年のメンバーの存在は(大人たちも責任を感じつつクラブを運営したり、それなりに手本を示さなければならない面もあるものの)心強い物があります。

 ただ、その割合は観に来た人に比べてそう多いという訳ではありませんし、そこから自作のモジュールを持ちこんでくるまでにはこれまた長い期間を要する事が多いです。
 
 そんな流れを見ていて思うのですが若年層と言えども鉄道模型に興味を持つ層は潜在的には結構あるのではないかと思えます。
 ですがそこから踏み込むきっかけがなかなかない事も一因ではないでしょうか。

 商売としてのレンタルレイアウトなどはその店に行かない限りは観られない訳ですし、そもそも一見さんが入りやすい雰囲気が薄い気がします。
 又、自作派などがマニアの内輪や専門誌上を除いて自作の車輛などを一般に魅せる様な機会があるのかというのも現状を見ると疑問です。

 マニアでない一般の方々に鉄道模型の面白さ、楽しさをアピールする機会がなければ趣味そのものが先細りになるのは当然という気もします。
 尤もそんな機会が今の10倍出来たとしてもそこからこの趣味に入って来るのはほんの一握りでしょう。

 ですが趣味というのは本来そういう物ではないでしょうか。
 かつてのSLブームとかがそうでしたが、一般にその趣味が認知される事で一気ににわかのファンが増えて盛り上がってもブームの後にも残るのはほんの一握りでしょうし。
 でも僅かでもそうして残る層がいて、ブームの以前より深化できるならそれはそれで効用ではあると思います。
 この問題の背景に、実際には一部マニアのペダンティックなエリート意識とか、偏狭なテリトリズムとかのもっと根深い問題もあったりするのでしょうが、現状ではまだそれが問題になるほど裾野が広がっていないというのが正直なところではないかと思います。

鉄道コレクションの京阪1900系と小春日和の冬の日

2017-02-14 05:22:35 | 車輌・電車
 今月の入線車から

 まずは鉄道コレクションの京阪1900系の3連から

 3連とは言っても片側の1905は普通の1900系とはやや異なる趣のデザイン(しかも見た目に両運転台車)なのですが、後で調べてみたらこの車両は先代テレビカーの1810系1815形からの編入組だそうです。
 ですので3連で運用するというなら前と後ろで顔が異なる独特の風情が楽しめるという事になります。

 ただ、私の手持ちには事業者特注品仕様の2連が既に入線している関係で1905を真ん中に押し込んだ5連での運用を想定しています。
 (こんな編成が実在しているか否かは別として)

 テレビカーを名乗る編成なら5連くらいあった方が見栄えがしますし。
 そんな訳で1905は増結用にアーノルドカプラーに換装して使います。
 但し現時点ではパンタが調達できていないので鉄コレ仕様そのまんまです。

 こうしてでっち上げた5連をレイアウト上で走らせるは2連に比べて迫力が違いますね。
 実車の編成も5連か6連位だった様なので当然と言えば言えますが。

 個人的に暖色系の組み合わせのカラーリングの電車はこの季節、なかなかに良い雰囲気を見せます。
 小春日和の夕方にこういうのを走らせると実車のイメージとは別にしてもほっこりとした気分にはなれますね。

 私自身は冬場の京都に行った事がないので想像するしかないのですが、織田作之助の「聴雨」とか夏目漱石の「京に着ける夕」なんかを読んでいると実に寒々しい雰囲気を感じます。
 そんな気候に合わせてこういうカラーリングにしているなら考えているなあとか思ったりもします(でも普通車は寒色系なので思い過ごしでしょうね)

 似たような立ち位置に70系の新潟色なんかがありますがあちらは完全に豪雪地帯の仕様(雪の中でも目立つ色という理由らしいです)ですが。

ターミナル駅モジュールの再改修・その1

2017-02-12 14:19:12 | モジュール4
 今年の正月、一年の計と称して上げた課題の中のひとつ、モジュールの改修にいよいよ取り掛かろうと思います。

 今回の改修対象はターミナル駅のモジュール。
 ここの左半分はビルが一軒だけという状態でしたが、これをビル街に差し替えるというのが今回の改修の眼目です。

 その「ビル街」ですがかつて製作した二番目のモジュールで使っていたものを移転させる事にしています。

 これは元々隣接する1番目のモジュールとの連続性を与えるために「大通りの左半分」として作っていたもので、GMのビルを中心に構成していました。

 今回はまず第一段階としてターミナル駅のモジュールにその部分を仮合わせしてマッチングを見ます。
 サイズ的にはどうにか適合している様なのを確認しビル街についていた脚(もともとこの部分はモジュール内の市街線の線路を跨いでいたので5センチ高の足を履かせてかさ上げしていました)を外します。

 あとはターミナル駅のベース板をカットして二つのブロックを接合する訳です。

 ただ、ここで余ったのがそこにはめ込んでいたロウレリーフのビル街。
 元々目的の異なる二つのモジュールを併せて連続した風景にするための方便みたいなものでしたから単独で使うと違和感が物凄い物でした。
 ここは今回の改修に合わせて取り外してしまいました。
 こちらはメインのレイアウトにでも移設して使おうかと思っています。

六半のDE10

2017-02-11 05:47:05 | 車両・Zゲージ
 先日の運転会でも軽く紹介しましたが昨年暮れに入線させたZゲージの機関車から。

 今回増備されたZゲージモデルはこれまでとは逆に「初めに牽引される車両ありき」でチョイスされた物です。
 つまり、これまで増備してきた二軸貨車が似合いそうな機関車と言う事で。実は今回のロコが初めて「単品を新車で購入したもの」だったりします(汗)流石に地元のショップではZゲージ自体殆ど見ませんからこの間の上京の折に値引きの良い量販店を探して見つけたものです。
 

 ものは六半のDE10。

 DE10はNでも16番でも使い勝手の良い万能機ですからZでも当然出ていていいDLといえます。
 が、小スケールでは動力の処理が大変そうな「小型のボンネット機関車」ですからメーカーも大変だったのではなんて事を考えてしまいます。

 見た印象では「C11に輪を掛けて小さい」のに改めて驚きます。
 手すりの処理はメルクリンでもよくやっている金属のエッチング打ち抜き素材の様ですがこれが強度と細密度のバランスをよく取っている印象でした。
 この辺は40年間の技術進歩という奴なのでしょう。

 しかもN同様に「チェーンがモールドされている」のが凄い。
 ナンバーは固定の様ですが、さすがにここまで小さいモデルで「ナンバー付け替え機能」なんてあったら確実に目をやられますからこれはこれで仕方ないのではないかと。

何れにしろこれだけアップで撮影しても破綻のない造形が出来ているので外見は十分に合格点だと思います。

 そして、走行性も流石にスムーズ。蒸機程にはレールオンに手間が掛からないのは運転会では有難いポイントです。
 先に「二軸貨車が似合う」と書きましたが、物が入替機なだけにコンテナ貨車なんかひかせても違和感ありませんし、旧客の牽引も中々様になります。牽引する題材を選ばないという点ではこれまで入線させてきたZロコの中では文句なしに一番でしょう。

 NでもZでもDE10は万能機(偉大なる凡庸ともいう)ですね。

「Nゲージレイアウトプラン集50」

2017-02-10 05:45:36 | 書籍
 先日入手した鉄道模型本から
 前回のは40年以上前の古書ですがこちらは昨年の夏に初版というこの種の本ではバリバリの新刊と言えます。


 実は本書は昨年鉄道博物館の売店で見つけていたのですがその時は手持ちがなくて買えず、後になって地元の本屋を廻っても見つけられなかったという代物でした。

 今回はどうにか入手できましたが、専門書一つ買うにも東京の本屋でないと見つからないという辺りに地方との格差のような物をつい感じてしまったりします。

 それはさておき、その一冊というのは

 「Nゲージレイアウトプラン集50」(池田邦彦著 技術評論社刊)

 扉のあおりに「KATOユニトラック&TOMIXファイントラック全50プランを収録」とある通り市販の組線路を最大限に活用するポリシーで構成されたプラン集です。
 メーカーの出版物でない「普通の本屋で買えそうな単行本」としてはおそらく日本初の本格的な「レイアウトプラン集」ではないでしょうか。

 ベースのサイズは一般的な900×600と畳一枚分の1800×900がメインで最後の数プランがそれ以上のいわゆる「大レイアウト」に割かれているという日本で使うプラン集としては王道の構成です。

 本書の特徴は「シーナリィのモチーフを先行させ、それに合わせる形でトラックプランを構成するパターンが多い」事と完成予想図をイラストや写真で表示している点です。

 メーカーサイドのプラン集(とは言っても私が持っているのは殆どが2,30年以上前の奴ですが)ではどちらかというと「運転パターンや運転目的がトラックプランに先行する事が多い」のが常でしたからここでまず本書に惹かれてしまいます。
 目次を斜め観するだけでも
「工場専用線をテーマにした自動運転向けプラン」
「国鉄電車ファンのための瀬戸内風プラン」
「小高い丘に聳える天守閣と併用橋の組み合わせ」
「タタミ1畳に要素いっぱい 充実の江ノ島電鉄を」
 といった調子で目次を見るだけでワクワクしてきます(笑)

 また一方で「大カーブの愉楽」「デルタ線の効用」「複線オーバルとヤードのコンビネーション」といった組線路を用いるメリットを最大に生かしたり、組線路では困難とされていた要素に斬りこむヒントを与えるなど、お座敷運転に慣れた運転派をレイアウトに引き込んだり、既にレイアウトを作っている層への配慮もぬかりありません。

 それらの完成予想図は大半がイラストで処理されているのですが、これがまた予想図としては的確な表現で完成後のイメージがとても分かりやすいです。

 上述の様に線路についてはユニトラックとファイントラックのどちらかを使う前提でプランが構成されていますが、一方でストラクチャーについてはメーカーの出版物ではやりにくい「ライバルメーカー同士のちゃんぽん」が使われている辺りにレイアウトとしての不思議なリアリティを感じさせてくれます。
 ジオコレとジオタウン、GMのストラクチャーも加わった風景処理は、アイテムのセレクトに意を用いる事で「作者のイメージする街並みにどれだけ近づけるか」を感じさせます。
 (そこまではいいのですがビル街の角地に判で押したように「ジオタウンの商業ビル」ばかりが使われているのは風景の画一化の面ではあまり感心しないですが)

 とにかく本書は日本初の本格的なレイアウトプラン集の単行本であり決定版と言っても差し支えない内容と思います。
 唯一難点は一冊3千円近いお値段ですが、複数のメーカーのレイアウトプラン集を揃えてもそれ位のコストはかかる気もしますから、中身の濃さと合わせるとコストパフォーマンスはかなりいい方だと思います。

 本書の作者は(わたし的には)「陸蒸機からひかりまで」の再来を思わせる「列車紳士録」の著者として印象深い方ですが、漫画家としても一線で活躍されておられているというのは本書のプロフィールで初めて知りました。
 なるほど本書のシーナリィテリングの見事さには漫画家やイラストレーターとしてのセンスがかなり反映していたと思います。
 
 一般書として出された鉄道模型の新刊本としては久しぶりの名著だと思います。