光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

カラーブックスの「日本の私鉄 東武」

2021-02-28 05:05:47 | 書籍
 鉄道ネタのカラーブックスから
 今回は先日ようやく古本を入手できた「日本の私鉄 東武」(花上嘉成 安田理 共著)をば。

 東日本最大規模の私鉄である東武は、それゆえに貨物列車が走ったり路面電車や非電化路線までも擁していた非常にバラエティに富んだ私鉄と言えます。

 電車ひとつとってもDRCやスペーシアに代表されるデラックスな優等列車に始まり急行形や快速電車が通勤形に入り混じり、さらにその通勤形も地下鉄乗り入れ用の18M車あり、63系ベースの20M4扉車ありとその沿革の複雑さを象徴するようなバラエティあふれるラインナップを誇っていました。
 (最も最近は車両の規格化がだいぶ進んだようではありますが

 ですが(わたし的には)それだけに全体像が見えにくい、捉えどころのなさを感じる私鉄もまた東武だったりします(汗)

 本書の初版は昭和56年。東武のバラエティが華やかりし頃なので通しで読むとまるで車両絵巻の如く多くの車両が俯瞰できて楽しめました。
 一方で他社のカラーブックスの様に一つの代表的な車両を掘り下げるような構成にはなりづらい恨みもありますが。

 私自身は帰省の時に時折100系スペーシアを使う事がある程度で一般的な東武の電車には縁が薄いのですが、それでも東武というと「DRC」か200系の「りょうもう」のカラフルさの印象は強いです。
 また、それらが活躍していたのと同時期の通勤電車や機関車類も割合好みの方で模型でも鉄これを中心にアイボリーカラーの通勤車を買ったりすることも多いです。

 本書はまさにそうした時代の末期の出版だけに「私の好きな電車がいっぱい載っている」と言うだけで盛り上がる一冊でもありました。

みにちゅあーとの「のび太の家」その3

2021-02-27 05:03:24 | ストラクチャー
 先日から続けてきたみにちゅあーとの「のび太の家」ネタの続きです。



 建物の形が出来上がり、ブロック塀を巡らせるとこのキットも俄然「昭和の住宅」の趣があります。
 ですがこれだけだと何か潤いが足りない。

 まるで「お引越し直後の建売住宅」という感じで潤いに欠けます。
 これだけの敷地があるなら植木のひとつ、花壇のひとつ(あと雑草もそれなりに)無いといけません。
 実はこのキットにはペーパークラフト製の庭木が2,3本、それに付随するフォーリッジもいくつか付いてきています。
 (因みに同じみにちゅあーとの住宅キットにも庭木のあるものがありますが何故かフォーリッジはついてきません)

 幹や枝を構成するパーツはまさに「ペーパークラフトの樹木」という趣。
 学習雑誌の付録に付いてくる「クリスマスツリーの付録」みたいで一瞬「リアリティに欠けるな」と思わせてしまうものがありました。
 これだったら手持ちの樹木キットから何本か都合しようかとか思いつつも一応フォーリッジを接着。

 ところがこれだけの事で一転、樹木らしい樹木が出現したのには驚きました。
 プラ製の樹木キットでもこれ位の見た目にはなる事を考えると案外リーズナブルかもしれません。
 恐らく幹がペーパー製ゆえに木工ボンドの食いつきがよくプラ製の幹のキット(特にジオコレの「ザ・樹木」なんか)によくある「貼り付けるたびにフォーリッジがぽろぽろ落ちる」事が少なかったことも影響しているような気がします。

 いずれにしても嬉しい誤算だったことには変わりありません。

 庭先の「布団を干した物干しざお」と併せてようやく「人の住んでいる家」っぽくなってくれました。

 さて、ここまで作ったところで当然誰もが感じる疑問。
 「これだけだったら『のび太の家』を名乗る必然性が薄いのでは?」

 これについては次回以降にでも触れたいと思います(笑)

鉄コレ30弾から「近鉄18200系」

2021-02-25 05:01:50 | 車両・私鉄/民鉄
 鉄道コレクション第30弾ネタから

 まずは近鉄18200系の2連から。
 私の様な歳を喰った田舎者のイメージからすると近鉄というとビスタカー、スナックカー、あおぞら号がまず連想されます。
 アーバンライナー、伊勢志摩ライナー、最近のひのとりの様な洗練されたデザインの奴も無論魅力的ですし、乗っていてらくちんなのもそっちの部類でしょうが、子供の頃のテツドウ絵本や図鑑の刷り込みという奴は恐ろしいもので、近鉄=「オレンジと紺のツートンカラー」が未だに私の中の近鉄の特急デンシャです。

 その目で見ると今回の18200系はまさに懐かしの近鉄カラーのイメージを体現しています。
 スナックカーやビスタカーに比べると標準軌の電車なのに幾分縦長に見える外見ですが、それもそのはずで当初の使用線区の条件から車体幅がひのとりなどよりも20センチ以上幅狭なのだそうで、モデルでも台車枠の一部が車体から外側にはみ出しているように見える不思議な印象を持ちます(実車もそうなのかな?)

 個人的にこの編成は手持ちのビスタカーやスナックカーと共に行き交いさせたい列車だったので今回の30弾では真っ先にN化、動力化させました。
 このモデルに限らないのですが、第30弾のラインナップは窓がでかい優等列車ばかりなので動力化すると鉄コレの動力ユニット(特にダイカストのウェイトが目立つ)が外から丸見えになってしまうウィークポイントがあります。今18200系は特にそれが顕著なのでそこを気にするかしないかで好みがわかれるでしょうね。

 とはいえ「走らせてこそ華」と思うなら気にはならないかもしれません(「安いから我慢する」がそろそろ通用しない値付けになりつつあるので個人の思い入れと割り切りが評価の分かれ目になるモデルの様な気がします)

 実車はその後「あおぞらⅡ」になっている様ですがそちらの仕様も鉄コレで出るのでしょうか?興味があります。

KATOの「ハイエーススーパーロング」

2021-02-24 05:59:47 | アクセサリー
 昨年暮れごろの事です。
 行きつけのショップに向かうためにS660で国道を走らせていた折、道端でいわゆる「ネズミ捕り」の現場に遭遇した事があります。

 通りがかりによく見ると一応は一種の検問ですからクラウン辺りのパトカーが停まっているのは勿論なのですが、それ以上のインパクトだったのが「ハイエースのパトカーが数台、列をなして停まっていた」事です。
 まずその物々しい雰囲気に驚かされたのですが、その足で到着したショップのKATOの予約中アイテムの中に今さっき見たばっかりの「ハイエースのパトカー」が出るという情報があるではありませんか(笑)

 実はこのアイテムの存在自体はかねて知ってはいたのですが「ハイエースのパトカーばっかり4台もあってどうする」という印象の方が強かったのでそれまで予約していませんでした。ですが間近に実例を見たら急に欲しくなってしまい、その場で予約してしまいました。

 先日ようやくその現物が入荷したので今回紹介できるという次第です。

 最近はジオタウンのミニカーも造形面ではかなりカーコレに肉薄しつつあるのですが、今回のハイエースは正にそうしたレベルの造形とレタリングである程度はカーコレと遜色ないレベルになっていると思います。
 ただし色刺しの一部に雑な所もありますが。
 
 その一方でお値段は4台で2200円とカーコレ並みかそれ以上のレベルになってしまいました(涙)

 最初はこれを使うにしても「警察署の駐車場」位しか使い道がないのではと思っていたのですが、交通取り締まりや検問であればアトランダムにミニシーンの設置場所が選べますし、レイアウトの空き地処理にも好適なのではないかと思います。
 (この種の交通取り締まりは「飛ばしやすい直線路の近く」に隣接した「手前からは建物などで見えにくい空き地」を舞台にしている事が多い。穴場として「高架道路の下」なんてのもあります)

 尤も、ミニシーンの題材としては物騒な事も確かですが(汗)

電気街をタイムスリップさせる(笑)

2021-02-23 05:54:59 | レイアウト・開運橋
 前回まで、折に触れて書いていた、みにちゅあーとキットを使う「ある目論見」の話です。


 自宅のレイアウトにはこれまで10年近く電気街を模したビル街が鎮座しています。元々は同じベースと線路配置を使い回し、風景を差し替え可能とするコンセプトで使っていたものでした。
 それも本来ならば、郊外観光地風景の「竹取坂」と地方拠点都市クラスの都会風景の「電気街」という「空間的な差異」を作る事が主な目的だったわけです。

 ですがここ1年くらいみにちゅあーとの積みキットを消化し30軒近い建物が増えたのですが、その大半が昭和30年代か40年代前半くらいまでの風景に似合うものばかり。
 そこで思いついたのが「同じ場所の時間的な差異」をレイアウト上に再現する事でした。

 電気街のビル街は差し替えの手間を楽にするために建物類は定位置は決定しているものの基本的にただ置いているだけです。
 これらを取り外し、みにちゅあーとの商店とを差し替えます。

 手間から言えばものの30分とかからずにレイアウトの風景のコンバートが完了。
 平成・令和のビル街が昭和30年代後半くらいの商店街に衣替えです。

 5階建て前後のビルが立ち並んでいた場所が木造2階建て中心の商店に変わっただけなのですが全体の雰囲気が不思議と落ち着いた感じになりました。

 何よりも前に比べて「空が広く見える」「道路が広く感じる」のが効果的です(これは実景でも感じられる事なのですがこれについては後述したいと思います)

 まだアクセサリや車両を差し替えていませんが、カーコレでは昭和30年代の車が無闇に充実(おまけにモデルも安い)しているので車を変えるだけでもかなり雰囲気は変わりそうです。

みにちゅあーとの「のび太の家」その2

2021-02-21 05:50:04 | ストラクチャー
 先日紹介したみにちゅあーとの「のび太の家」
 正月明けくらいに取り掛かって就寝前のひと時を使って十日くらいでどうにか形になりつつあります。

 前にも書いた様にこのキットの魅力は「昭和40年代のモルタル住宅のベンチマーク」とでもいうべき「普通の家」のモデル化にあります。
 Nゲージストラクチャーの家屋モデルでこれに肉薄するというとTOMIXの近郊住宅くらいしか思いつきません。

 間取りの複雑さ(と言っても普通に見かける住宅は大体こんな物ですが)は以前製作した「サツキとメイの家」に匹敵。単に家本体を組み立てるだけでもGMやジオコレの様に「箱に屋根を付けてハイおしまい」なんてレベルではありません。
 が、形状が複雑なだけに作りでのある、楽しめるキットであることも確かです。アニメやマンガの舞台という事もあり、間取りや構造の設定がしっかりしているからこそなのでしょう。

 また、このキットは庭先のパーツにもかなり意を用いているのも特徴です。
エアコンの室外機とかは後付けパーツでも見かけますが「庭の隅っこに物置がある」のは製品としてのストラクチャーではモデル化の盲点ではなかったかと思います。物干し台なんかはここだけ別売りパーツで出して欲しいくらいです(もちろん洗濯物や布団もw)
 ・・・とか書いていたらみにちゅあーとのアクセサリシリーズで物干し台や物置、洗濯機までもが別売りされていました。これは大いに助かりますね。

 敷地周囲を囲むブロック塀は昭和40年代を象徴するパーツのひとつ。

 実は昭和53年の宮城県沖地震で倒壊したブロック塀の下敷きで多くの犠牲者が出て以来、こういう単純な形状のブロック塀は急速に影を潜めており、GMのブロック塀の様に裏側につっかえを大量に付けるか塀の中に鉄筋を入れる構造になっています。それ以降の住宅でもブロック塀よりもフェンスかアルミ柵を使うケースが主流となっているので野比さんの家は昭和40年代に建てられた戸建てであることが推定されます(ドラえもんの連載開始は昭和44年頃、現行のアニメの放映開始は昭和54年)

 前述した様に寝る前のひと時を使って少しづつ組み立てているのですが、寝る前のレクリエーションとして充実感のあるひと時を楽しませてもらっています(プラキットと違って接着剤や塗料のシンナーの心配もないですし)

「テツドウモケイとインターネット」のこと

2021-02-20 05:48:44 | 思いつくままに・考察
 今回はネットとブログに関するはなしです。

 先日来何回かに分けてワールド工芸のC55流改仕様の動力ユニットのトラブルについて記事を上げてきました。
 走行性が悪い中古モデルにはこれまで何両かに当たってきましたし、その中には手を加えれば改善するものもあれば、お手上げだったものもあります。

ですがこれまでのレストアは基本的に腰だめの対応の独学に近い状態(ネットの記事を参考にする事はあるにせよ)でした。
今回のワールドの動力ユニットはこれまで私が手を掛けてきたものとは異質な構造で、これまでのレストアの経験則が通用しない個体だったためにずいぶんと往生しました。
少なくとも1月半ばくらいまではそういう状態だったわけです。

ですが、そのことを当ブログで記事に上げたところ、複数の同好の士の方々から色々なアドバイスを頂き、しかも手持ちのユニットを提供してくださる方まで現れたのは私にとっては予想外の事でした。
と、同時にネットでブログを上げる事の有難さをこれ程痛感した事もありません。

今回コメントをくださった方々、ひとりひとりはそれぞれ模型に対するスタンスも異なる上に在住地も(おそらく)全国のあちこちだったと思われます。
つまり、ブログをやっていなかったら一生接点のないまま終わってしまっていたかもしれない方々である事は間違いありません。

それがブログの記事やコメントという形であれこうして親身にコメントをくださった事、その有難みが今回身に沁みています。

以前所属していたSNSでのコメントの応酬や管理者まで巻き込んだ諍いの数々を目にしているので、ブログやSNSでの交流のデメリットについてはある程度認識しているつもりでした。
ですがその一方で今回の様な形で同好の士の方々から暖かい対応を頂ける事もまた確かな事ではないかと感じます。

少なくともネットが登場、普及するまでは「鉄道模型」という趣味は基本的にインドアな趣味であり、特に地方の在住者にとっては中央や他の同好の士との交流は専門誌を読むかクラブに入るか(それもクラブがあったとして)しかありませんでした。その意味では同好の士との横のつながりを作る事が困難でしたし、一般向けのライトな形でのアピールとマニア相手のディープな部分との使い分けも難しかったと思います。
それがネットの普及と浸透によって未知の同好の士同士の交流が可能になった事はとても大きな変化だったと思います。

 まあ、今でも依然としてこの趣味に係る部分で主にマニア同士の諍いという形でただ読んでいるだけで不快な思いをすることはままあります。
 が、それとは反対のポジティブな面も同じくらいには存在している、それも昔よりは良くなる方向もあるという事を改めて認識しなければならないと感じます。

 最後になりますが、

 改めて今回コメントとアドバイスなどをくださった皆様に御礼を申し上げます。

「鉄道コレクション第30弾」

2021-02-19 08:46:12 | 車両・私鉄/民鉄
 昨年は通常品ブラインドパッケージの鉄コレが(おそらくコロナ禍の影響?)出ませんでしたが、前回から1年2ヶ月ぶりに第30弾がリリースされました。

 第30弾という節目だからなのでしょうか、今回の鉄コレは大手私鉄の優等列車(及びその譲渡車)中心の構成で華やかさがある反面、いつになく異色な感じ(笑)もします。
 お値段も遂に1両あたり1500円越え。殆ど普通の鉄道模型レベルになりました。
 これ以上高くなったらブラインドパッケージとはいえ、おいそれと手が出なくなるレベルに近づきつつあります。

 ラインナップは鉄コレらしく単行〜2連、3連で収まる短編成向けが揃っていますがいつになくカラフルに見えるもの(昔の乗り物図鑑でもみているような)ではあります。

 そして、幸か不幸か私の個人的なお目当ては「名鉄7700系以外の全部」だから始末が悪い。
 (7700系だけはGMのモデルが入線していましたから)
 ただ、そのお陰で今回の鉄コレはわたし個人としては「当たり」の部類でして、いわゆる「埋蔵金車両」が少ないのが特徴です。

 それぞれの編成について私なりに思い入れや比較の楽しみが多く、楽しむネタに事欠かないラインナップと言えます。

 と、いう訳で各入線車両及び埋蔵金化した編成については次回以降折りに触れて書きたいと思います。

ワールド工芸動力を再度レストアする

2021-02-17 05:44:37 | 車両・蒸気機関車
 先日動力のコンバートで走りが改善したワールド工芸C55の動力ですが、元々の動力についてもレストアというか整備を再試験してみたので今回はその報告です。

 前々回の記事で思い出の小豆島さんから、問題点はギア同士の噛み合わせではなく、車軸とギアの間の滑りに問題があるのではないかとのご指摘をいただきました。
 これまで他社の不動、または不調の動力をいくつかレストア(もしくは諦めw)した経験では車軸とギアの間のトラブルを経験していなかったので確かに盲点と言えます。
 早速取り外した動力をチェック。
 車輪を固定し、ギアをドライバの先で動かしてみたところ

「見事に空転しました。それも4軸全部が」

 これではまともに走らないはずです。
 思い出の小豆島さんのアドバイスに従いまず車輪をギアから外します。
 このモデルでは左右の車軸の絶縁の意味もあってかギアがシャフトを兼用しており、そこに中空軸の車軸・車輪パーツをはめ込む構成でした。
 その中空軸とシャフトの間の遊びのせいで独特の「クラッチが滑った様な走り」になっていた様です。

 早速シャフトのプラパーツに少量クリアボンドを塗布し、嵌め直しました。
 ここで失敗したのが第3軸のシャフトが弱っていたために片側の車輪がシャフトが嵌ったまま折れてしまった事。
 一瞬焦りましたがやむなく瞬着で再固定。ただ、今後いつかはまた外れそうで不安ではあります(大汗)

 ですが他の3軸7箇所の羽目合わせは無事接着の上嵌め直しました。

 ここまでの状態で試走。
 流石に完調の動力とは比較できませんが、それまでとは見違える走りに改善しました。個人的な印象では「劇的」といってもいいレベルです。

 ただ、1軸の折損だけは不安要因なので折を見てダミーの車輪でも装着してみようかと(おそらく今の状態なら3軸でも十分走れると思いますので)

 思い出の小豆島さんには詳細かつ具体的なアドバイスをいただきありがとうございました。
 この場を借りて改めてお礼申し上げます。

 さて、こちらの動力(及び予備としてoomoriさんからいただいた動力)ですが箱型の小型電機などの動力には使えそうな印象なのでこの機会にスクラッチかキットバッシュによるボディを載せて使ってみたいと考えています。
(あるいはモータを抜いた初期型のKATOのD51のテンダ動力に使うという選択肢もありますが、流石にそこまでする様なロコでもないですか)

ワールド工芸の動力ユニットのその後・・・

2021-02-16 05:39:07 | 車両・蒸気機関車
先日来あちらこちらからコメントを頂いているワールド工芸C55の動力のはなしその3です。

前回の記事を挙げた折にoomoriさんから手持ちのワールド動力を提供して頂ける申し出がありまして、自分の技量では既存動力のレストアには限度があると思い、有難くお受けする事にしました。

先日その動力が届き、早速試走してみたのですがユニットの見た目は同じなのに通常の速さでは前の動力とではまるで別物と思えるくらいにスムーズで粘着力もあり、非常にいいコンディションで走ってくれました。

ここでテンダー上屋を合わせてみたところネジ穴も完全に一致。
動力のコンバートも問題なさそうです。

早速動力を交換しエンジン部を繋ぎます。
走行性については他社モデルと遜色ないレベルの走りになり、ワールド工芸のモデルらしい細密感あふれるロッド周りのアクションを十分堪能できました。

今回のC55でワールド工芸の蒸気用動力には初めてまみえたのですが完調の状態の動力であれば十分に使える事を改めて認識した次第です。

oomoriさんには今回ひとかたならぬお世話をいただきありがとうございました。ブログ上でも改めてお礼を言わせて頂きます。

さて、コンバートを済ませた元の動力についてですが、こちらについてもレストアを敢行したのでそれについては次回に。

「鉄道模型の至適サイズ」はどれくらいなのかを考えてみる

2021-02-14 05:58:02 | 思いつくままに・考察
このネタはだいぶ前に下書きだけ書いたままの物を引きずり出してきたものです。
これは簡単に結論の出る問題ではなく、私自身未だに結論が出てこない未消化の状態でのはなしなのですが、その辺りはご勘弁ください。

ここ数年の間にNばかりかHO(16番)やZゲージにまで手を広げてしまいましたが、そのお陰でそれぞれの規格の走行性の違いや質感、細密度の違いをいやでも感じる事も増えました。

その中でサイズの違いからくる造形の仕方の差異や、走行性の違いは特に感じるところです。
特にOゲージからHOゲージ、HOからNへとゲージやサイズの変化に伴うメインストリームの変遷はそれ自体が興味深いものがあります。

さてそれらについて語られる時、一般的にはゲージの幅の観点から捉えられる事が多い気がします。
あるいは実物に対する再現性の観点からスケールの違い(広義にはいわゆる「ガニ股論議」もこれに含まれる気がします)が論じられる事も。

ですが不思議な事に「それでは鉄道模型の場合、模型として楽しむにはどれくらいの大きさが良いのか」という観点からの論議を殆ど聞きません。

これはある意味仕方のない部分です。
走らせて楽しむ前提なら既存の規格に乗っ取ったモデルの製作や購入が一番楽ですし、予算も掛かりません。
特に日本の場合、戦後に鉄道模型車両自体が輸出産業として成立してきた経緯から既存の規格に依存した模型作りがなされてきています。

ましてや走行に限らず、工作やコレクション、レイアウトなど目的の幅が意外に大きいのが鉄道模型ですからそれに応じた最適サイズというのも自ずから異なって来るのも仕方ありません。

今回の話はそういった要因がある事を承知で敢えて考えて見たいと思います。

一般的に子供が手にとって愛玩する「オモチャ」の場合は設計ポリシーとして、それを扱う子供の手の大きさが玩具のサイズ(操作するオモチャならその操作部のサイズ)を決める大きな要素となっているのではないかと思います。
欧米に於いてすらその出発点が子供の玩具である鉄道模型フォーマットは多く、アメリカなら少なくともライオネルのOゲージモデル辺りまではその影響も大きかったと思います。

同様に欧州のファンが生まれて初めて手に触れるテツドウモケイというと恐らくかなりの確率でメルクリンのHOゲージが当たるでしょう。

実は今回の考察の出発点となったのは私が初めてNゲージのモデルを見た時の感動と違和感からです。
16番の場合は既に親類が何両か製作したり買ったりしたモデルを見ていますから「プラレールより長くて精密」という位の先入観は持っていました。
ですがNの場合それまでが精々広告写真程度でしたから実際に店頭でN(当時のナインスケール)を見た時「こんなに小さいのか」と驚かされたのです。

それは結構新鮮な感動でしたが、同時に「このサイズで大丈夫かな」という違和感があったのも確かです。
当時小学生だった私にもNの華奢さは壊れやすさの印象に繋がり、当時からあった「Nゲージなんてオモチャ」といった世間の論議と逆に子供には手に負えない代物ではないかと思えたのです。

実際には細密な車両工作さえやらなければそれほどでもなかったですし、大事に使えば50年前のモデルでも十分走行可能という事もその後認識しました。
実際使い慣れてくればこの大きさで十分だなと思えてきましたし。

ですが「実際に手に持って見た時の馴染みやすさ」については16番やHOのモデルの方が良かったとも感じます。

Nの場合、サイズの小ささから車両の保持も拇指~中指までの3本の指で行なう事が多いのですが16番だと機関車だったら指5本、20M級の電車だったらどうかすると両手で持った方がぴったりきます。
細密度も計算すると実際にはそうもいかないのですが(特に高級ブラスモデルなど)機関車1両をゴジラさながらに手で握って遊ぶというなら16番くらいが手になじむという意味では、遊べるサイズとしての下限の様な気がします。

NやZだと線路に車両を乗せるだけでも余程熟達していない限りリレーラーが必須ですが16番以上なら手で楽に載せられる事が多いですし。

16番のサイズの模型にごく近いサイズの玩具というとまず思いつくのが「プラレール」です。これなどは未就学児が手に持って遊ぶ前提の玩具ですが、それだけにサイズの設定はかなり熟慮されていたのではないでしょうか。
最近の「たのしい幼稚園」なんかだと「プラレールの既存の足回りを使ってペーパー車体のボディを作る付録」なんていうのも登場していますがこの大きさが単に遊ぶだけでなく自分で作るにも子供の玩具としてはほぼ最下限のサイズという事は言えそうです。

一方でNゲージ以下のサイズというとこれは車両そのものを愛でるというよりはある程度走らせる、それも風景の中を走らせることで真価が発揮される事を念頭に置いたサイズ設定という事は言えそうです。
ただ、そうなると今度は「走らせるうえでのスペースの至適サイズは?」という話になりますがこれについては以前レイアウトのサイズの話で仮説は立てていますからここでは割愛します。

ここまで考えているうちに感じることですが、鉄道模型の様にサイズやスケールの規格化されたフォーマット単位で趣味を楽しむという方向性の強い趣味はどうしても既存の規格に縛られがちです。
そして大概の場合「自分の子供の頃に主流だった規格」を持って優劣が語られる事が多いようです。

いま、この趣味のメインストリームを担う世代の半数以上は生まれた時に既にNゲージがあってそれを当たり前として育った世代と思います。
ですから「テツドウモケイ」のサイズとしてのNゲージの大きさには大した疑問は持っていない気もします。

同じ事はそれより上の世代にとっての16番についても言えるでしょうし、アメリカンドリーム華やかりし頃の1940年代後半~50年代に少年時代を送った世代のアメリカン人にとってはライオネルやアメリカンフライヤーのOゲージモデルのサイズこそが当たり前の存在かもしれません。
ですがそれらはあくまでも「子供の頃にそうだった」というだけの話なのではないかと。

ミニカーの事実上の世界統一規格である43分の1というのはOゲージスケールのそれに近接していますし、ミリタリージオラマの72分の1や76分の1もHOや16番のスケールに近接していたり航空機の144分の1がNゲージのそれに近い事には何か意味があるのかもしれないですが。


この種のサイズ論は以前触れた「鉄道模型の価格のはなし」と同様に今すぐ結論が出るという性質のものではありません。
ですが自分がこれまで慣れ親しんでいた規格やサイズが果たして本当に自分にあったものだったのかを考えるきっかけ位になれば面白いかもしれないという程度の事です。

みにちゅあーとの「のび太の家」

2021-02-13 05:56:06 | ストラクチャー
 今年最初に製作したみにちゅあーとネタから

 みにちゅあーとのアニメ関連シリーズというと「トトロ」や「魔女の宅急便」などに代表される一連のジブリ作品が有名ですが、そのほか「ムーミンの家」なんてのもNスケールで製品化しています。
 (でもムーミン谷には鉄道は通っていないはずなのでレイアウトに組み込むには無理がありますが注)

 私も「サツキとメイの家」とか「グーチョキパン店」なんかを作っていますが基本的にレイアウトの仮想風景に落とし込むことを前提にしているのであまり突拍子のないものには手を出さない事にはしています。

 ですが、昨年暮れに見つけたアイテムには(作品とは別の意味で)大いに心を動かされました。
 それがドラえもんの「のび太の家」です。

 私自身はドラえもんは連載当初からの付き合い(歳がバレる笑)ですが、その舞台の家自体に思い入れがあったわけではありません。
 ですがHPで見た完成写真を見ると、そこにあったのは「昭和40年代のモルタル二階建て住宅のベンチマーク」みたいな「普通の家」のモデルでした。
 これが大いに私の琴線を刺激したわけです。

 写真を見るとおわかりの様に、この家の間取りと形状は鉄道模型のストラクチャーと比較してもかなり複雑です。階段部を本屋から出っ張らせたり二階屋とはいえ2階はのび太の部屋しかありそうにない狭さだったりします。

 ですが昭和40年代当時は普通の下町(都会、地方を問わず)で「二階建ての家」と言うのは外見の意匠の違いを別にすればこういう家が一般的でした。
(あるいは私の故郷がそうだったように「郊外の団地の規格化された住宅の建て増しで「一部屋だけの二階部」がちょこんと乗っかった形状の家とかも含みます)
そうした家は街中をぶらつけば今でも一軒や二軒、あるいはそれ以上目にすることが出来るはずです。

 こうした「普通の家」は貨物列車における「黒い有蓋車」とか道路上における「スーパーカブやサニーのトラック」みたいに街中で実物を見てもそのまま見流されてしまうものですが、いざ模型として出てくるととても愛おしさを感じさせるものだと思います。

 ドラえもんはともかくとしてもこの「普通の家」に惹かれた私が、乏しかった年末調整の戻しを使って通販サイトをクリックしたのは無理からぬ話とご理解いただきたいと思います(大汗)

 実際の製作については次回以降に。

TOMIXのED750番台初期型ひさし付き

2021-02-11 05:54:33 | 車両・電気機関車
 前々から折に触れて書いている事ですが当鉄道で一番在籍数が多い機関車というとダントツでED75が挙げられます。

 古くはSONY製から過去にはナインスケール、エーダイナイン、マイクロエース等でもリリースされてはいます。
 が、増備が増えている最大の理由と思うのが「Nゲージメーカーの両横綱といえるKATOとTOMIXが複数のタイプをリリースしている事」そして「この2大メーカーが定期的にモデルのアップデートを繰り返している事」ではないかと思います(汗)

 これと同じ事はEF65でも言える事なのですが私の場合個人的な理由として「故郷で見ていた電気機関車がED75しかなかったこと」そしてそれ故に「ED75が何十両もひとところにいるのを見ているので数が増えても気にならない」という側面も大きい様な気が。

 さて、KATOがED75をリニューアルしたのは確か一昨年くらいだったと思うのですが、まるでKATOの後を追う様にTOMIXもリニューアルモデルを投入してきました。
 まあこれだけだったら「買える時に買えばいいや」位で済まされるのですが事もあろうにTOMIXが投入してきたのが「東北仕様の0番台」それも「庇付き、なしの2タイプ同時発売」ときたからたまりません(大汗)

 暮れから正月にかけて鉄道模型の散財が少なくて済んでいたのにここに来てまさかの増備となりました。
 そして今年最初の機関車入線でもあります。

 今回紹介するのはその中の「0番台庇付き」から

 ED75については幼少時からよくこの機関車を見ているので実車との印象の違いという観点で語りやすいのですが、前のKATO と同様に印象把握は非常に素晴らしいものがあります。
 強いてKATOとの違いを挙げれば、KATOの取り澄ましたようなそつのなさに対してTOMIXの方が幾分か機関車らしい表情が微妙に感じられるくらいでしょうか。
 恐らくTOMIXの方が窓回り、特にワイパーの造形がKATOよりもメリハリを感じやすい造形になっている事も関係していそうですね。

 細密感が上がっているのは間違いありませんが反面模型としてはずいぶん華奢になってしまった様な印象を受けました。特に屋根上の高圧配線はKATOが金属パーツ化で質感と強度の両立を図ったのに対しTOMIXのは従来のプラパーツを更に細く造形しており下手に触れると折れてしまいそうな感じです。今回のモデルの個体差かもしれませんが配線がたるんでいるように見える所も散見されました。
 碍子がプラの造形色(銀色っぽいグレー)のままなのもKATOに比べるとマイナス点とは言えます。

 今回のモデルからモータがM13と呼ばれる新型になったのも大きな変更点。
 四季島の時もそうでしたがスローでスムーズな、見様によっては「ぬるぬるした様な走り」を感じさせます。昔だったらこういう走りは機構が大きい16番の独壇場だったのですが今どきのNだったら走行性に不満を感じる部分は少ないでしょう。
 ギア比の関係か従来モデルに比べて最高速は遅めなようで「フルスロットルで新幹線並みに突っ走る」なんて危険は若干ですが少なくなりました(笑)
ただ、個体差なのか発進時に引っかかる様なところが残っています。

 今回のモデルチェンジではバージョンアップ感は感じられるものの最近のKATOのモデルと同様に「恒常的に走らせる、ラフに使い倒す」と言った旧来のレイアウト派や運転派のユースには少し厳しいモデルになった様な気がします。
 言って見れば「フランクな付き合いがしにくい」感じでしょうか。
 これを指して私が歳を喰ったと言われればそれまでなのですが(汗)でも少し寂しい感じもしているのも確かだったりします。

みにちゅあーとの駅舎・その2

2021-02-10 05:53:02 | ストラクチャー
 前回もみにちゅあーとの駅舎のはなしをしましたが、今回紹介するのはそれとは別なタイプの駅舎です。

 実はこちらの駅舎は10年ほど前に初めて作ったみにちゅあーとのキットでもあります。
 前回紹介の木造板目張りとは異なりモルタル造りでややモダンな雰囲気を持つタイプです。
 実はみにちゅあーとのキットをいくつか入手した時に試作兼腕試しの積りで製作した物でした。製作自体はこれまで紹介したキットと変わるところはなかったのですがそれまでのGMやジオコレに比べると何となく億劫な気がして以後政策をする事がないまま昨年のTamTam岐阜店を作るまで長い空白を作ってしまっていた物です。

 この駅舎自体は自宅のレイアウトで竹取坂の旧駅舎(橋上駅の新駅舎が完成後は駅前広場の観光センター)としてしばらく使われていましたが、今回のある目論見をきっかけに久しぶりに引っ張り出して見たところでは10何近く経過している割には劣化ややれも少なく今でも使えそうです。

 サイズも前回の駅舎Dとほぼ同じですし、都会風の風景にはむしろこちらの方が似合うのではないかと。
ですので今回の目論見にはこちらの方の駅舎を使ってみようかと思います。

鉄道ミステリとNゲージ その34「急行列車」と457系

2021-02-09 05:49:32 | 小説
 久しぶりの鉄道ミステリとNゲージ(及び鉄道模型)ネタ
 今回は徳間書店版アンソロジー「殺意の終着点」から耕原俊介作「急行列車」を紹介します。
 列車の車内で2人の乗客が語り合う形の短編は結構ありますが、本作の2人は聞き手の学生と完全犯罪の殺人を成功させた犯人という取り合わせ。

毎日の無聊な生活に倦怠した僕は、故郷に向かう列車の中で前席に座った怪しげな男に激しい興味を覚える。その男は、過去に完璧なトリックで伯父を殺し、今乗ってるこの列車は、そのことに感づいた妻を殺害する為のアリバイに利用しているのだ、と話すのだった。
(上掲書111Pより引用)

 この冒頭の一節がこの短編の全てを語っています。
 本作は「僕」の出会った「男」の犯罪の告白のみならず、その「男」は「今現に乗っている列車上でリアルタイムに完全犯罪を遂行中」と言う二重の構造で語られます。
 これだけなら非常にスリリングかつ緊迫感あふれる展開になりそうなものですが「男」の語り口はあくまで淡々としていますし、聞き手の「僕」も人生に対する倦怠から「男」の持つ倦怠感あふれる語り口に引き込まれています。

 トリック自体はいわゆる「時刻表トリック」の典型で今となっては新味がないですし「男」の過去の殺人トリックはこれまた今となっては古典的と言える機械仕掛けの殺人パターンですが「僕」と「男」の間の言葉のキャッチボールの雰囲気は昼下がりに疾走する列車の車内が持つ独特のアンニュイな雰囲気と重なって独特な雰囲気を持ちます。
 実は本作にはラストに更にひっくり返しがありますがそれについてはここで書かない方が良いでしょう。
 今読み返すと「昭和50年代の急行列車」の雰囲気を思い起こしつつ読み流すのが一番ぴったりくる一編と思います。

 さて本作の舞台となっているのは12時40分博多発15時51分大分着の「ゆのか3号」となっています。
 この列車についてネットで当時の写真を検索するとヒットするのが大概457系の急行型電車です。
 457系(或いは475系)は当時交流電化区間を走る急行電車の定番車でした。
 私も東北本線ではずいぶんお世話になっています。
 急行型と言うと都会では緑とオレンジの「湘南カラー」の165系とか153系が連想されると思いますが、サーモンピンクとアイボリーの組み合わせは地方に行くほどその比率が増えます。
 カラーリング自体は湘南色に比べると些か野暮ったさを感じさせますが、逆にその朴訥さは独特の魅力を感じさせます(あくまで個人的な印象ですが)
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 私の手持ちではKATOの奴がひと編成あるのですが、これを走らせると故郷の鉄路を走っていた急行電車のイメージ画像を結びます。