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H23/11/18 平成23年改正法 特許法30条

2011-11-18 07:12:20 | Weblog
平成23年改正法

(発明の新規性の喪失の例外)第三十条
1 特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。
2 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項各号のいずれかに該当するに至つたものを除く。)も、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

平成23年改正の趣旨
 平成23年改正前は、下記の問題があった。
 研究開発資金調達のために外部の投資家に発明を説明すると、その発明については、改正前の特許法30条1項の適用の対象とならない。
 多数の機関が関与して共同研究をした結果、その成果の公表形態が多様化しており、改正前の特許法30条1項の適用の対象とならない。
 インターネットで動画配信した発明は改正前の特許法30条1項の適用の対象となるが、テレビ放送した発明は改正前の特許法30条1項の適用の対象とならず、不均衡があった。
 学会発表の場合は、学会の主催者による申請がなければ特許庁長官の指定を受けることができず、主催者の対応によっては、改正前の特許法30条1項の適用が受けられない場合が生じている。特に学会が外国で開催される場合は、特許庁長官の指定を受けていないため、改正前の特許法30条1項の適用を受けることができないことが多い。
 そこで、平成23年改正においては、特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に公表したことによって特許法29条1項各号のいずれかに該当するに至った発明については、その公表の態様を問わず、特許法30条の適用を受けることができることとした。